サイエンス

世界で初めて新型コロナウイルス感染症への「再感染」が確認される


香港大学が2020年8月24日に、以前新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染したことがある33歳の男性が、回復から4カ月後に再びCOVID-19に感染した事例が香港で確認されたと発表しました。COVID-19の「再感染」の事例が初めて確認されたことで、専門家は「集団免疫がパンデミックを撲滅できる可能性は低い」と警鐘を鳴らしていますが、2回目の感染では男性に症状がまったく見られなかったことから、ワクチンや免疫の有効性を改めて指摘する声も上がっています。

World’s first coronavirus reinfection case confirmed in University of Hong Kong study | South China Morning Post
https://www.scmp.com/news/hong-kong/health-environment/article/3098551/hong-kongs-third-wave-losing-momentum-city

First case of coronavirus reinfection confirmed, researchers say | Live Science
https://www.livescience.com/coronavirus-confirmed-case-reinfection.html

香港大学は8月24日に、COVID-19から4カ月前に回復した香港の男性がCOVID-19に再感染したことを発表しました。この発表によると、男性は2020年3月26日にCOVID-19に感染して入院し、その後4月14日に退院しましたが、スペインに行ってからロンドン経由で帰国した8月15日に、再びCOVID-19に感染していることが発覚したとのことです。


再感染ではないかと疑われる事例はこれまでも報告されていましたが、厳格な検査によりCOVID-19への再感染が確認されたのは「今回が世界で最初の事例」と香港大学は指摘しました。

香港大学で微生物学を研究している医師のYuen Kwok-yung教授らは、再感染の事例について「本件のように、再感染時は最初の感染の時よりも軽症で済む可能性はありますが、集団免疫がパンデミックを撲滅できる可能性は低いと考えられます。なぜなら、COVID-19は他のヒトコロナウイルスが引き起こす感染症と同様に、ヒト集団内を循環し続ける可能性が高いからです」と述べました。

また、研究者らは報告の中で「COVID-19への抗体が一定のレベルに達していたにもかかわらず、再感染したと見られるケースが複数あります。従って、ワクチンはCOVID-19に対する保護を生涯にわたって提供できるものではない可能性があるため、今後のワクチン研究にはCOVID-19から回復した元患者も含めるべきです」と結論付けています。

一方、再感染が確認された男性にはまったく症状が見られなかったことなどから、改めてワクチンや免疫の有効性を指摘する専門家もいます。アメリカのイェール大学の岩崎明子教授はTwitterに「香港のケースでは、1回目と2回目では新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のゲノム配列が異なっています。従って、これは警戒の原因になるものではなく、むしろ免疫がどのように働くかを示す教科書的な事例といえます」と投稿しました。


続くツイートで、岩崎氏は「二次感染は無症状でした。つまり、免疫は再感染をブロックするほどではありませんが、病気から身を守ることはできました」と指摘。さらに、患者が再感染時には抗体を持っていなかった一方で、再感染後にはすみやかに抗体が産生されたことから、「再感染が発生するため、自然感染による集団免疫ではSARS-CoV-2を撲滅することはできません。従って、集団免疫を達成するための安全かつ効果的な唯一の方法は、ワクチン接種です」と結論付けました。


世界保健機関(WHO)でCOVID-19対策の技術責任者を務めるマリア・ヴァン・ケルコフ氏は8月24日の会見で、香港の再感染事例についての質問に対し、「私たちがCOVID-19について知っていることは、人々がCOVID-19に対して免疫応答を起こすことができるということです。この免疫応答がどれくらい強力で、どれくらい長く続くのかは、まだはっきりとは分かっていません」と述べました

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in サイエンス, Posted by log1l_ks

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