「頭文字D」藤原拓海と「豆腐屋の息子」という共通点を持つ宮野真守さんにインタビュー
8月23日(土)公開の映画「新劇場版 頭文字D Legend1-覚醒-」で主人公・藤原拓海役を演じるのは、数々のアニメで主人公や重要キャラクターを演じている人気声優の宮野真守さん。宮野さんがどうやって拓海というキャラクターと向き合ったのか、いろいろとお話を伺ってきました。
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GIGAZINE(以下、G):
「拓海役に決まって原作を読み込んで役作りをした」と舞台挨拶でお話がありました。「藤原拓海」というキャラクターへの宮野さんの第一印象はどんなものでしたか?
宮野真守(以下、宮野):
「頭文字D」という作品から受ける印象が加味されていたのかもしれませんが、第一印象としては大人びているというか、クールなところがあるという印象でした。しかし、読み進めているうちにそうではない部分を感じるようになり、今回、新劇場版でアフレコをするにあたって「高校生らしさを大事にして欲しい」という演出指示をいただいたときに「なるほど」と納得しました。
「高校生が大人びている」というのと、大人の僕が大人の芝居をするのでは、雲泥の差があるんですよね。拓海は高校生らしい等身大の悩み、モヤモヤを抱えています。だから、大人として役にアプローチをするのではなく、高校生がいかに思春期を過ごしているのか大事にするように演じました。タイトルに「覚醒」とあるように、今回の映画は、拓海が自分でも気付いていなかった、心の奥底に眠っていたものが少し顔を出すというストーリーです。だから、原作を読んで感じた、拓海の「高校生の日常」をしっかりと捉えて表現できればいいなと思いました。
インタビューに応じてくれた宮野真守さん。
G:
確かに、学校のシーンに出てくる拓海は、いかにも等身大な高校生の男の子でした。
宮:
もちろん、女の子にはドキドキしちゃうところもあるし、クルマに乗って、みんなが自分の走りを見て褒めてくれることが嬉しかったり楽しかったり……周りの環境にガンガン影響を受けつつも、その中で自分自身を見つけていく。成長していく拓海の姿に感情移入して、読んでいる側・見ている側ものめり込んでしまうというところがありますよね。
G:
最初はボーッとした姿が多いんですが、クルマに乗るとボーッとしつつもキリッとスイッチが入りますよね。そんな拓海ですが、宮野さんご自身と似ていると思うところなどはありますか?
宮:
パーソナルな部分、性格の部分になると僕と拓海は別の人間なので一口に似ているというのは難しいですけど、拓海が「運転はできるけれど、クルマに関する知識はあまりない」という部分は助かりました(笑)。僕もそれほどクルマの知識がある方ではなかったので、拓海と同じ目線でいろんなものに感動することができたし、拓海がクルマのことを覚えていくのと同時に、僕も覚えることができました。拓海が走ることの熱さのようなものに気付くと、僕も何か走り屋の魂みたいなものが眠っているのかなという感覚を覚えましたし、作中で樹が拓海に語っていたエンジン音やスキール音といった走ることの面白さに、たぎるようにもなりました(笑)。この作品に出会って、僕の中でも車への憧れみたいなものが“覚醒”したというか、そんな感覚があります。
あと……実家が拓海と同じ、豆腐屋です。
G:
あっ!それが一番大きい共通点じゃないですか!(笑)
宮:
拓海役に決まったときから言っているんですが、キャラクターとの共通点としては珍しいものですよね(笑)。だから、拓海がボーッとしていることを樹に指摘されて「本当に眠いんだよ」って言っているのは、言い訳ではなく本当に眠いんだというのがよくわかります。豆腐屋の朝は相当早いですから。僕は拓海みたいにガッツリとお父さんの手伝いをしていたわけではありませんでしたけど(笑)。
G:
拓海の場合、「俺の代わりに配達させてた」なんて文太が言ってました。
宮:
さすがに映画には出てこないですが、原作では13歳から手伝ってるって、すごいですよね。
G:
この経験の積み重ねがあったおかげで、拓海は高橋兄弟が秋名山に乗り込んできたときもハチロクで戦うことができました。宮野さん自身のことになりますが、拓海と同じように、宮野さんも小学生時代から役者・演技者としての仕事をされていて大きな積み重ねがあると思います。仕事をする上で気をつけていることや、心がけていることはありますか?
宮:
「役を演じる」ということは子どものころからやってきたことですが、舞台でやるお芝居とは違い、アニメはみんなで「キャラクター」を作り上げていくものなのだと、声優になって気付かされました。僕は「こういう人生を歩んできたキャラクターなんだ」ということを読み込み、作り込んでいくわけですが、そのキャラクターを描き、動きをつけてくれるのはアニメーターさんたちなんです。僕が想像もしていなかったような表現を使ってキャラクターに命を吹き込んでくれています。そうして、僕一人ではできないけれど、みんなで力を合わせて作り上げていく。誰かに身を委ねすぎるのではなく、自分自身のポリシーはしっかりと持ち、役に対して「こういう表現をしたい」「自分だからこその表現を注ぎ込みたい」という思いを持った上で挑むことで、スタッフさんとの支え合い、そして相乗効果によっていいものが生まれてくる、そういう世界だなと思います。
だからこそ、役の人生を「僕が演じる」のではなく「生きる」という思いになります。役という存在が一人の個人として存在するからこそ、その声を担当する僕が役の人生を生きたいと、強く思います。
G:
仕事をしていく中では体調管理が重要で、特に声のお仕事だと喉の管理は大事なポイントだと思います。夏は暑さで体調を崩しやすいですが、何か体調を維持するコツなどはありますか?
宮:
人並みにケアはしていますが、特別なことはしていませんよ(笑) 乾燥する季節ならマスクで保湿したり、自分に合ったのど飴を持っておくことで安心したり。
G:
最後の質問です。こうしてLegend1が完成して、新劇場版3部作が動き始めました。次に向けての意気込みをお聞かせ下さい。
宮:
新しく走り出した頭文字D、一作目となる「Legend1-覚醒-」には僕らの本気・全力をぶつけて、できることをすべて注いで作り上げました。みなさんの思いや感想を受け取って次に向かうための糧にするためにも、まず見ていただいて、一緒に進んでいけたらいいなと強く思います。完成したLegend1を見たときは僕も「これは凄いものが始まったな」と圧倒され、今も自分の中に熱い何かを感じていますので、Legend2以降もすごいことが巻き起こるのは間違いありません。その時には、またできることを注ぎたいと思います。
G:
まずはこの新たな伝説の幕開けを見て欲しいですね。本日はありがとうございました。
作品の中で演じる拓海とは「豆腐屋の息子」という、なかなか他に適格者のなさそうな共通点を持っている宮野さん。拓海がクルマに目覚めていくのと同じくして、自らもその楽しさを感じるようになったとのことで、その演技にもぜひ注目してみてください。「新劇場版 頭文字D Legend1-覚醒-」は今週末、8月23日(土)に公開です。
© しげの秀一/講談社・2014新劇場版「頭文字D」製作委員会
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