Appleに対してロシアがソースコードへのアクセス権を要求、その目的は？

By Nopporn Kungsapichart

クリミア侵攻やウクライナ東部ドネツク州上空で起こったマレーシア機撃墜事件など、2014年はロシア近辺で騒乱が相次いでいます。そのロシアが巨大IT企業のAppleと、ドイツに本社を置くソフトウェア企業SAPに対してソースコードへのアクセス権を要求していたことが判明しました。

Russia wants Apple, SAP to cooperate against foreign spying | Reuters
http://uk.reuters.com/article/2014/07/30/russia-software-idUKL6N0Q52UD20140730

ロシアがAppleとSAPに対してソースコードのアクセス権を求めたのは、7月末に行われた同国通信相Nikolai Nikiforov氏がAppleのロシア本部長であるPeter Engrob Nielsen氏とSAPロシアの取締役代表Vyacheslav Orekhov氏と会合を開いたときのこと。ロイターによると、ロシアは世界中で使用されているAppleとSAP製品がロシアに対するスパイ行為のツールとして使われていないか明確にする、という理由で両社にソースコードへのアクセス権を要求したとのことです。

By P L.

ロイターは「ロシアが自社製品に対して徹底的な極秘主義を貫いてきたAppleとSAPにアクセス権を要求したことは、アメリカとEUがウクライナ問題について厳しい制裁をロシアに下そうとしていることに対する措置の可能性がある」としています。アメリカは7月29日に、ロシアのエネルギー・金融産業に科している経済制裁をVTB銀行・モスクワ銀行・ロシア農業銀行まで拡大することを明らかにし、また、EUはロシアの金融や防衛などの分野に及ぶ経済制裁を科すことで合意済です。

Nikiforov氏がAppleとSAPに対してアクセス権を要求した会合の報告書には「アクセス権の要求は、消費者や企業ユーザーの個人情報を保護するためであり、セキュリティに関するロシア国益のためでもある」と書かれているとのこと。

Nikiforov氏は2003年からロシアにWindows製品のソースコードを提供しているMicrosoftを引き合いに出し、両社に対してソースコードへのアクセス権を求めたようで、「ロシア政府とソースコードを共有できない企業の製品は信頼に値しない可能性がある」という同氏の発言が報告書に記載されていました。

By Nils Geylen

なお、記事執筆現在AppleおよびSAPは同件に関するコメントを発表していません。