取材

ワールドカップ開幕を控えたブラジルをどれぐらい知っていますか?


開催決定からつい最近に至るまで、絶え間なくニュースとなっていたスタジアム工事への不安。でも、さすがに仕上がっていますよね。この後にはオリンピックも控えているブラジルですから、世界中から注目を浴びるワールドカップで下手な真似も出来ません。1ヶ月半前のサンパウロ滞在中に開幕戦のスタジアムを訪れたのですが、急ピッチで工事が進められていました。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。ブラジルは16日と短い滞在でしたが、それでも足を運んで良かったと思える国でした。日本から遠く離れた地球の裏側では、このような日常が刻まれています。

◆基本
日本だとブラジル通貨は「レアル」で知られていますが、現地では「数字+ヘアイス(reais)」とポルトガル語の複数形で呼ばれています。単数形は「ヘアウ」。1レアルあたり50円で計算していました。物価は言われるとおりに南米では高いものの、日本に比べると幾分か安いようで、ヨーロッパよりはマシという感覚です。


「Banco do Brasil」で現地通貨を引き出したのですが、ATMの利用手数料はかかっていません。


公用語がスペイン語の国が多い南米ですが、ブラジルは唯一ポルトガル語圏となっています。スペインもポルトガルも隣同士だし言語も近いだろうという期待とは違って、全く聞き取れなくて困りました。ただ似ている単語もあって、何とかならない訳でもなく、ブラジルを旅した日本人に「ボンジアがこんにちはだよ」と教わっても掴めませんでしたが、よく考えてみるとフランス語の「ボンジュール(Bon jour)」と同じ「ボンジア(Bon dia)」といった具合で、何かと興味をそそられました。

橋を意味する「ponte(ポンテ)」の単語はスペイン語の「puente(プエンテ)」とフランス語の「pont(ポン)」が合わさった感じ。


郵便局の「correios(コヘイオス)」はスペイン語の「correo(コレオ)」と似ています。


南米最大の面積と人口を抱えるブラジルは、BRICSの一員として著しい経済成長を続けています。エンブラエルの航空機、マルコ・ポーロの大型バスといった国産の重工業は特筆すべき点。天然資源として鉄鉱石の産出は大規模でブラジル資本のヴァーレは、世界的な資源メジャーの一角。大西洋沖合では海底油田も操業しており、石油の国内需要は自給自足を達成。広大な国土を使った農業は大豆、砂糖、牛肉といった農産品を世界に輸出し、鶏肉も有名で日本でも目にする機会があるでしょう。

こうした華やかな一面とは反して、どうしようもない貧富の差が存在し、ストライキやデモ活動が盛んに行われています。ワールドカップ直前だというのに、サンパウロの地下鉄はストライキをしている様子……。この貧富の差から治安に関しても気をつける必要があり、世界中の殺人件数におけるリストでも、ブラジルの都市は上位に名前を連ねています。今回のワールドカップに伴う渡航に関しても「相手は銃を持っているので抵抗しないように」と外務省から注意が促されていました。

高層ビルが並ぶクリチバの街並み


サンパウロ中心の幹線道路


ガソリンスタンドでは自動車の燃料として「エタノール(アルコール)」を販売中。これは1970年代の石油危機を教訓に、国を挙げてバイオ燃料の普及を目指す方針があって、国内では原料となるサトウキビも大量に生産されています。


日本企業の進出も盛んでヤクルトとタフマンもスーパーマーケットの店頭に並んでいました。


おしゃれなデザインの日清カップヌードル


今回はパラグアイのシウダー・デル・エステからブラジルに入ってクリチバまでは自転車で走行。後はバスでサンパウロに移動して、飛行機でチュニジアに抜けました。パラグアイで地元の人に「ブラジルはもっと暑くなるぞ、緯度が上がるからな」と脅され心配したのですが、自分が通ったルートでは標高800m辺りをウロウロとしていたので、日中は暑さも厳しくなく快適。常夏がイメージのブラジルですが、冬の南部では雪も降る場所もあるようですね。

◆食事
ブラジルの食事といえば食べ放題のビュッフェでした。街のレストランもポスターを張ってアピールしていますし、お昼時になると現地の人たちで賑わいます。走行中に立ち寄って、お腹をいっぱいにして、その代わりに夜は控えめに。レタスやトマトなどの新鮮な野菜もあるので、栄養のバランスも取れていました。

11ヘアイス(約520円)のビュッフェ


メインはチキンライスやソーセージ


15ヘアイス(約710円)のビュッフェには……


ステーキがあったので、ここぞとばかりに平らげました。


実はホテルに泊まると朝食もビュッフェになります。パンにハムとチーズ、菓子パンにフルーツ、ジュースにコーヒーと朝から至れり尽くせり。宿に泊まった日の朝は、何が出てくるのか楽しみに、食堂に向かっていました。

これだけ揃っていると、朝から幸せになれます。


こちらは割とシンプル。


クリチバのユースホステルの朝食


菓子パン類に果物はスイカとパパイヤです


一口かじってみてびっくり。これ、カステラですよ。ポルトガルの文化はブラジルにも伝わっていました。


小腹が空いたら、街で簡単に見つかる軽食スタンドに立ち寄りましょう。日本のおにぎりのように、ブラジルにはサルガドスと呼ばれる惣菜パンの文化がありました。

このようにショーケースに並んでいます


ハムとチーズ入りのサルガドス


◆飲料
ブラジルではガラナ系の味が人気で、コカ・コーラも「KUAT」という炭酸飲料を出しています。日本でも販売になるみたいですね


ファンタにはパッションフルーツ味が存在。宗主国のポルトガルにも同じ味がありました。


ペプシ系でセブンアップが見つからない代わりに、このレモン系の炭酸飲料が販売されています。酸味が効いたくせになる味。


そして忘れてはいけないコーヒー文化。

道路沿いのパーキングエリアには機械があって、ドライバーに無料で提供されていました。


お代わり自由で眠気が覚めます


ホテルでもコーヒーは無料で飲めるようになっていました


◆宿泊
1000円を出せば十分だった南米北部のようにはいかず、安宿の目安はシングルで50ヘアイス(約2350円)前後でした。安宿はバスターミナル付近に集まっている傾向。

これだけ綺麗な部屋が50ヘアイス(約2350円)なら、悪くはないかもしれません。


シャワーはガスではなく、電熱タイプが多かったです。


テレビと天井ファン


コンセントは日本やアメリカと同じプラグと、ヨーロッパで主流の二つ棒プラグが、両方使えるようになっていました。


会員証の提示で48ヘアイス(約2260円)だった、クリチバのユースホテル。ドミトリーではなく、トイレ・シャワー共同の個室です。


サンパウロでは長距離バスが発着するチエテバスターミナルの近くで、50ヘアイス(約2350円)の安宿を発見。


田舎で20ヘアイス(約940円)の安宿を見つけたのですが、部屋にコンセントがありませんでした。


◆地下鉄
サンパウロには移動に便利な地下鉄があります。リベルダージの日本人地区にも地下鉄で遊びに出かけました。

発達した路線網


1回の乗車で区間に関係なく3ヘアイス(約140円)という一律料金


改札口


乗る人と降りる人を隔てる仕切りがあった駅のホーム


◆開幕戦のスタジアム
サンパウロ滞在中の4月27日、せっかくなので開幕戦が行われる「Arena de Sao Paulo」の見学に出かけました。市中心部から東に約19kmも離れていますが、地下鉄と繋がっているので「Corinthians Itaquera」の駅を降りればすぐ。急ピッチで工事が進められていました。このスタジアムは2016年のオリンピックにおけるサッカーの試合にも使われることになっています。

とても大きな駅


駅周辺も工事中


スタジアムは駅から見える丘の上に建設中でした


5分ほど歩くと、スタジアムのすぐ側に到着。


こちらの剥き出しの観客席も、出来上がっていることでしょう。


さまざまな重機が稼働中


工事中の雰囲気が漂う舞台裏


この時点でグランドも芝生で覆われていますし、大まかには完成しているようでした。


スタジアムは完成していないにも関わらず、地元民も足を運ぶ観光名所となっていました。


ブラジルとクロアチアによる開幕戦は日本時間で13日の早朝5時にキックオフ。きっと素晴らしいスタジアムが姿を見せることになるでしょう。


2002年は日本一周、2006年はオーストラリア、2010年はヨーロッパにとワールドカップ開催時は、何かと旅行している自分ですが、今回も世界のどこかで日本代表を応援しています。それと同時に、ブラジルがワールドカップを成功させて、次のオリンピックへと繋げていくことを願って止みません。世界中が熱くなる4年に1度のビッグイベントの幕は、今切って落とされようとしています。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
)

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in 取材,   , Posted by logc_nt

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