Microsoftとの交渉の裏側などをWindows XPの「草原」壁紙の撮影者が語る
2001年に発表されたWindows XPは2014年4月9日にサポートが終了し、MicrosoftはユーザーにWindows 8.1へのアップデートを呼びかけています。長きに渡って多くの人に使用されてきたWindows XPの中でもユーザーの心に残っているのが「Bliss」という名前のデスクトップ背景です。Microsoftのオランダにおける事業を展開するMicrosoftNLはBlissの撮影者Charles O'Rear氏という写真家にインタビューを実施し、その様子を撮影したムービーを公開しています。
The story behind the wallpaper we'll never forget - YouTube
Windows XPを使用したことのある人なら誰でも見たことのある壁紙Blissは、CGで作成されたものではなく、カリフォルニアにある実際の風景を撮影したものです
MicrosoftNLはカリフォルニア州に住むO'Rear氏を訪ねて、当時の話を聞きました。
こちらがO'Rear氏で、取材チームを快く出迎えてくれています。
「私の住むカリフォルニアには雨期の季節があって、雨が降った後は草原の緑色がとても映えるんです。確か1月のことでした。私は毎週金曜日に、当時付き合っていた彼女に会いにいくため、サンフランシスコまで自動車を走らせていたんです」と早速Blissを撮影した時の話を語り始めるO'Rear氏。
自動車を運転していたO'Rear氏が、道の脇に広がるワイン牧場を見ると、雨がやんで太陽が空に出ていて、草原はきれいな緑色に輝いていました。O'Rear氏は「その時は少しだけ雲が出てたんです。もう少し撮影するのが遅かったら雲は消えていたかもしれません。あの辺りは風が強いですから」と語っています。
O'Rear氏は自前のMamiya RZ67を取り出し写真を4枚撮影。O'Rear氏によると、RZ67で撮影したからこそ、他とは違う素晴らしい写真がとれたのとこと。
その後、O'Rear氏の所属していた会社にMicrosoftから「O'Rear氏が撮影した草原の写真が欲しい」と連絡が入ります。O'Rear氏は「連絡をくれたのがMicrosoftの技術者なのか、何なのかはよくわかりません。Microsoftはおそらく、平和な雰囲気を醸し出す写真を探していたのではないでしょうか。とにかく彼らは、『私たちにはオリジナルの写真が必要です。会社まで送ってくれませんか?』と強い意志で依頼してきたわけです。私は写真を送るに当たって、Microsoftに写真の値段を提示しましたが、断られてしまったので、『私の方では値段を決めらません。あなたたちで決めて下さい』と伝えると、Microsoftは飛行機のチケットを私に送付して、写真を会社まで持ってきて欲しいと依頼してきんですよ」とMicrosoftとの交渉について明かしました。
実際にMicrosoftに写真を持っていくと、交渉はスムーズに進行。しかしながら、O'Rear氏は写真が何に使われるか知らされていなかったそうです。
その後、O'Rear氏の撮影した写真「Bliss」を壁紙に採用したWindows XPが発表されます。「ニュース番組でホワイトハウスのデスクに並べられたPCが映ったとき、PCの画面にはBlissが映っていました。何かの国際会議でロシアのプーチン現大統領が話しているとき、彼の後ろのスクリーンにはBlissが映っていたんですよ!Blissをそこら中で見かけましたし、自分の写真が人々の生活に溶け込んだような感じでした」とうれしそうに話すO'Rear氏。
Windows XPの発売から7年後、O'Rear氏の元にMicrosoftの技術者から1通のメールが届きます。メールには「あの写真はフォトショップで加工したものですよね?」と書かれており、O'Rear氏は「違いますよ。あれはカリフォルニアにある私の自宅近くで撮影したものです。あなたが見ている写真の風景は実在する場所ですよ」と返信しました。
Blissを撮影した場所を通っている道路は、速度制限が高く設定されていて、ガードレールもつけられていないので、いつもパトカーが巡回している危険な場所とのこと。O'Rear氏は「もし撮影に行くなら気をつけてくださいね」と優しい一言を取材チームにかけていました。
ムービーからはBlissと同じように平和で、優しい雰囲気のO'Rear氏の人物像が伝わってきます。O'Rear氏はインタビューの最後に「実はWindows 8の壁紙になるような写真を撮影したくて、Microsoftに私の電話番号を渡してたんですよ。でもMicrosoftから電話がかかってくることはありませんでした。ハハハ」と笑いながら話していました。
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