取材

はだか男たちがもみ合い渦を巻く奇祭「国府宮はだか祭り」を見てきました


2014年2月12日、国府宮神社に伝わる1200年以上の歴史を持つ神事で神男(しんおとこ)と呼ばれる一人のはだか男を目標に約9000人のはだか男たちが群がるという奇祭が行われました。今回は直径2メートル40センチ、重さ約4トンの大鏡餅作りと奉納、そして儺追神事(はだか祭)が行われるということで、一連の様子を見学してまとめてみました。

儺追神事(はだか祭)
http://www.konomiya.or.jp/main/hadakamatsuri

開催地は国府宮神社です。

大きな地図で見る

2月6日、国府宮神社に奉納する大鏡餅は毎年担当の地区が変わります。2014年は稲沢市平和町で行われるということで大鏡餅作りの現場を訪ねてみると朝7時には餅つきが始まっていました。


12基の石臼と3機の餅つき機が用意されており同時に餅をつきます。使用する道具はこの日のために新しく用意されたものです。


つき上がったお餅はステージに運ばれ、男たちが全体重を掛けてひとつにまとめていきます。


大鏡餅を裏返す作業では大型クレーンが用意され、ずれ落ちない様に体で餅を支えるなど体を張った大がかりな作業となっており見どころの一つです。


お昼過ぎに神男が登場しました。神男に触れることは一切許されないため厳重な警備を伴っての移動です。


神男も餅つき。


午後5時まで餅つきは行われました。朝7時にはもう作業が始まっていたので、この時点で10時間以上はかかっているわけです。この日は部位ごとに形を整えるまでの作業となり、締めのあいさつで終わります。


五日後の2月11日、前日に飾り付けされた重さ約4トンの大鏡餅はトラックを使って国府宮神社へ運ばれます。


国府宮神社では神男が食事をする様子が見学できました。翌日の儺追神事(はだか祭)本番に向けて神男はさまざまな儀式をこなしていきます。


参道では踊りなどの行列が始まり祭りを盛り上げます。


行列の最後に大鏡餅が到着し、本殿へ奉納されました。


そして翌2月12日が儺追神事(はだか祭)当日。裸になれない人たちの厄よけを託された布が巻いてある「なおい笹」と呼ばれる棒をかかえたはだか男たちが続々とやってきます。


はだか男が持っている「なおい布(ぎれ)」を分けてもらうと厄よけや願い事がかなうということなので、途中で分けてもらいました。


市内各地から続々とはだか男が集結してきました。


稲沢市のご当地キャラで、はだか男の姿をモチーフにした「いなッピー」も登場、周囲の見物客から「いなッピー頑張れ」と声援を受けています。


午後4時半頃に全てのなおい笹の奉納が終わり、神男の登場を待ちますがどこから現れるかは知らされていません。


午後4時50分、会場がざわめく方向に目をやると水しぶきが見えます。神男が登場しました。


神男は神社の中にある儺追殿(なおいでん)に駆け抜けていかないといけませんが、はだか男たちに進行を阻止されます。水は進行を妨げるはだか男たちをひるませるために掛けられるとのこと。


登場から30分経過し、やっと神社の正門にたどり着きますがここで立ち往生。しばらくの間ここから抜け出すことができませんでした。


正門から境内に進入すると、もみ合いが起こり、はだか男たちから湯気が沸き上がります。


はだか男たちが向いている方向でかろうじて神男の位置がわかるという状況で、神男の姿を確認することはできません。


引き上げ役の人たちは遠くの位置にいる神男を助けに行くことができないため、儺追殿の入り口で神男が近づいてくるのを待ちます。


登場から50分が経過したころに、神男が儺追殿の入り口近くまでやってきましたが再び立ち往生。すると「上げろ、上げろ」とはだか男たちが叫びはじめました。


ここで引き上げ役が神男を助けに飛び込みますが失敗します。


体勢を整え再度挑戦。今度は一人の引き上げ役が飛び込み足場となり、さらにもう一人の引き上げ役が神男を捕まえる作戦です。


見事成功、神男を捕まえることができました。


はだか男たちが万歳と雄たけびをあげる中、神男が儺追殿に引き上げられていきます。


儺追神事(はだか祭)は神男が儺追殿に到着すると終了で、はだか男たちは寒さに凍えながら帰って行きました。


大鏡餅は13日の早朝に切り分けられ参列者に配布されることになっています。


興奮冷めやらぬ中、稲沢市を後にしました。


今の時代では珍しい荒行事ですが、参加しているはだか男たちはお互い励まし合い、助け合うなど古き良き時代がそのまま受け継がれおり、「失われた何かを思い出させる」ようなお祭りでした。2015年は3月3日に行われるので興味のある方は見学してみてください。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
立ち見厳禁、300年の歴史を持つ「土下座祭り」を見てきました - GIGAZINE

巨大な男根のご神体に初嫁を乗せて練り歩く奇祭「ほだれ祭り」写真&映像集 - GIGAZINE

裸の男たちが凍った川で水を浴び炎の上で叫ぶ「蘇民祭」現地取材~極寒編~ - GIGAZINE

裸の男たちが凍った川で水を浴び炎の上で叫ぶ「蘇民祭」現地取材~灼熱編~ - GIGAZINE

裸の男たちが凍った川で水を浴び炎の上で叫ぶ「蘇民祭」現地取材~争奪編~ - GIGAZINE

in 取材,   ピックアップ, Posted by darkhorse_logmk

You can read the machine translated English article here.