取材

至近距離で燃えさかる炎と戦う男たち、がんがら火レポート後編


さらし姿の男衆が100kgのたいまつを担いで町を練り歩く「がんがら火祭り」の様子を、前編につづいてお伝えします。

クライマックスの全たいまつドッキングシーンを目撃した後、たいまつが御神火を授かった愛宕神社まで帰って行くところまで追いかけました。たいまつは燃えれば燃えるほど短く、軽くなっていくのですが、途中で火を付け替えて疲労困憊の状態で再び最初の重量にリセットされるなど、祭りの気合いは並々ならぬものだというのが場面場面から伝わってきます。


大阪池田のがんがら火 公式ホームページ

前編のラストで駅前の歩道橋の底をあぶって突き進んだたいまつは、ロータリーをぐるりと回って突き進みます。


交差点を渡るためにたいまつを横倒しし、かつぎました。目線の近くに火元が来るので、その熱さにおののきました。


ここでまた一息。


ルートが細すぎるせいか出店などは物理的に出せないところが多かったのですが、ここにはアイスクリームの簡易屋台がありました。たいまつを担いでいる男衆は当然ものすごく暑いわけですが、随行するだけでも人ごみと残暑の暑さでかなりじわじわと体力が削られるのでちょっと誘惑されそうになりました。


すべての道を交通規制しているわけではなく、車通りが多い駅前でなおかつ見物客があふれかえっているため、多数の警察官が辺りを包囲。


付近には予備校などもあったのですが、そんなことはおかまいなしに鐘の音はガンガン鳴り響いています。何も知らなければ消防車の音と勘違いしてしまいそう。


【2011がんがら火祭り】駅前から市役所方面へと向かっていく男衆 - YouTube


池田市役所の前に到着。


広い車道が祭りのために封鎖されているため、これまでの細い路地とは違い、休憩時も余裕を持ってたいまつを置くことができます。


ここで新しいたいまつへの火を移します。このため、これまで燃やして軽くなってきた重量はすべてリセットされ、再び100kgの重さの物を担ぐことになります。

【2011がんがら火祭り】たいまつからたいまつへと火を受け継ぐ - YouTube


再びたいまつを持ち上げました。


別ルートをたどっていた子どもたいまつがここで合流。


鐘を鳴らす子どもたちも合流したので、再びガンガンという鐘の音がスタート時と同等に増幅されました。


【2011がんがら火祭り】子どもたちが手にたいまつを持って登場 - YouTube


大人のたいまつもそれに応えるようにしっかり先端を合わせていました。


燃えさかる炎がごうごうと音を立てているのが聞こえるようです。


市役所の前では「がんがら火保存会」の会長を招いて放送されていたラジオ番組がスピーカーから流され、会長自ら祭りの様子を実況していました。お祭りのいわれはやはり地場で伝わる部分が多く、調べても出てこないことも多く語っていたため、遠方から来た見物客向けに事前アナウンスがあればと思わずにはいられませんでした。


アナウンスの一部はこの動画の音声で聞き取ることができます。

【2011がんがら火祭り】「がんがら火保存会」会長がたいまつを解説 - YouTube


市役所前でたいまつを交換したので、ほとんど標識に触れそうなくらいの高さに炎がゆらめいています。


かなり近くをたいまつが通過していきます。かけ声がこれまで以上にはっきり聞こえました。

【2011がんがら火祭り】間近から眺めるたいまつの運搬 - YouTube


男衆のかけ声は「わっしょい」以外にもさまざまな気合いにあふれるフレーズが飛びだしていたのですが、なかなか1つのフレーズを抜き出すのは難しいくらいに喧噪に包まれています。そんな中、随行している最中に一番印象に残ったフレーズが「タカシー!!」でした。


ルートを突き進む内に、再び狭めの道路に突入。


この辺りは商店が多く、男衆に麦茶を提供する人も見受けられました。


出店を発見。ここはお祭りの定番・金魚すくいを出していましたが、この周囲は移動し続ける見物客が絶えず通行していたため、いつか水槽がひっくり返らないかヒヤヒヤしながら通過。


そしてこの場所でもたいまつを横にして休憩。少しずつ休憩を挟まないと、とてもではないですが完走できる距離ではありません。


いよいよ祭りも佳境に入っていて体力もかなり削られているはずなのですが、2組のたいまつは華麗にドッキングを披露。ラジオの解説によれば、このドッキングによってたいまつで「人」の文字を表しているのだとか。


先端に金具のついた棒でたいまつを支え、移動をたくみにサポートする男衆。


たいまつが通過した後に人々が群がっています。これはたいまつの消し炭が防火の御利益があるとされているため。毎年来ているとおぼしき地元民は手慣れたもので、紙皿や空の牛乳パックを持参し、割り箸でひょいと持ち上げて確保していました。


【2011がんがら火祭り】たいまつから落ちた燃えかすを集める人々 - YouTube


火がすぐに大きくなってしまうので、休憩中は各所に用意されているホースで放水して火を小さくしていました。


【2011がんがら火祭り】たいまつに水をかけて火の勢いを弱めている様子 - YouTube


ルート上には祭りにちなんだ「酒房 がんがら」というお店を発見。


鐘の鳴らし手に新顔が登場していました。


心なしかたいまつが下がってきているように見えますが、ぐいぐいと進んでいます。


ゴールの前がなんと傾斜のきつい上り坂になっているのですが、それでもなお、男たちは勇ましく進んでいきます。

【2011がんがら火祭り】上り坂のラストスパートから、ついにゴール! - YouTube


たいまつの練り歩きのクライマックスは、池田城山町の交差点で見られました。


2組のたいまつをすべてドッキングし、炎を1つに集結させます。


難易度の高い技なので、成功した瞬間歓声が上がっていました。

【2011がんがら火祭り】ゴール地点で4本のたいまつが合体しました - YouTube


浴衣の女性たちもラストの展開を見逃すまいとじっと見つめています。


そして4つのたいまつを垂直に立ててから……


1本ずつ担いで運びだしました。


【2011がんがら火祭り】最後は神社へ向かってワッショイワッショイ - YouTube


2本目のたいまつを傾けたところ、先端の火だねがごっそりと地面に落下。


まるで地面に炎が流れ落ちているかのような壮絶な光景。


火だねが多く落下したため、地面がごうごうと燃えている状態になったので警官がたちまちそこをぐるりと包囲し、人がうかつに近づかないように警備。


たいまつは愛宕神社まで帰っていきます。神社は火事を防ぐことに御利益があると言われていて、たいまつの火だねはこの神社で授けられたものです。


そんな防火に御利益のある消し炭を発見。しかし明らかに燃えさかっていて消える気配もなく、拾うための装備も持ち合わせていなかったのでやむなく諦めました。


役目をまっとうしたたいまつが横たえられています。


そして最後の1本が神社にやってきました。


男衆の中には、ドイツからこの祭りのためにバケーションを利用してやってきた男性もいました。


この日一番近くで炎を体感しましたが、厳重な警備にも納得してしまうほどの熱を感じ、正直身の危険を感じました。


先端の火だねを鍋の上に落として、火の消えたたいまつは他のたいまつと同じく並べて置かれました。


最後は神主が登場し、玉串奉納やお祓いの儀式が厳かに執り行われました。


神主が宣言し、これにて祭りは終了。この後は地元の人々に御神酒が振る舞われていたようです。


街中を遠慮無く炎を燃えさからせて巡る壮絶な「がんがら火祭り」は、曜日は関係なく毎年8月24日に行われています。ルートのほとんどが車1台分通れるかどうかといった細い路地で、なおかつ人手はかなりのものなので、見に行く際は事前にルートや場所取りなどを十分検討してから参戦すべきものでした。

勇壮果敢な男衆の姿や燃えさかるたいまつの迫力は相当のものだったので、興味のある人はぜひ来年池田市を訪れてみてください。

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in 取材,   動画, Posted by darkhorse_log

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