「MacBook Pro Retinaディスプレイモデル」の分解レポートがiFixitに登場
10月23日にAppleが実施した発表会イベントで、Retinaディスプレイを搭載したMacBook Proが発表されました。過去モデルからの大きな変更点は、インテルの第4世代コア「Haswell」によって、処理速度が90%も高速になっていること。そんなMacBook Pro Retinaディスプレイ搭載モデルを分解・修理のプロフェッショナル集団のiFixitが早くもばらばらに分解してフォトレポートを公開しています。
MacBook Pro 13" Retina Display Late 2013 Teardown - iFixit
http://www.ifixit.com/Teardown/MacBook+Pro+13-Inch+Retina+Display+Late+2013+Teardown/18695/1
まずは分解する13インチのMacBook Pro Retinaディスプレイ搭載モデルを用意。
モデルナンバーは「A1502」
本体に向かって左側にはSDXCカードスロット・HDMIポート・USB3.0ポートが並びます。この反対側にはThunderbolt、USBポートがあります。
ネジ止めされている底面の取り外し
HDDではなくSSD搭載になり、ファンの位置やバッテリーの種類も変更されています。
バッテリーを取り外したりするとAppleの保守が受けられなくなるという警告ラベル。「修理はリサイクルよりエコ 修理は世界を救う」というマニフェストを掲げるiFixitは気にせずに分解を続けます。
第一に感電を防ぐため、バッテリーの電源が流れないようにコネクタ部分を取り外しておきます。
次にAirPortカードに接続しているアンテナケーブルを取り外して、AirPortカード自体を引き抜きます。
802.11n/acのWi-Fi接続に対応した新しいAirPortカード「BCM94360CS」。
これは内蔵フラッシュストレージであるサンディスクの128GB SSD。
赤枠の中に1枚16GBの「SanDisk 05131 016G 16 GB NAND Flash」が4枚。黄色の枠にはSK Hynix「H5TQ2G63DFR」DDR3-1600。
裏側にもNAND Flashが4枚搭載されていて16GB×8枚=128GB。より容量の大きなモデルは256GBと512GBがあり、512GBモデルは1TBまでアップグレード可能とのこと。オレンジの枠にはMarvell Semiconductor 88SS9183 SSD Controller。
ソケットの外側にあるI/Oボードケーブルを取り外し……
Pro Tech Screwdriverを使ってスピーカー周りを解体していきます。
スピーカーの取り外しが完了。このパートはかなり簡単な作業とのこと。
バッテリーの上に置かれているデバイス分解作業用プロキットのiOpenerの中には、接着剤を剥離させるためのプラスチックピックやスティックなどが詰まっています。
プラスチックカードを差し込みながらバッテリーの取り外しに着手。
接着剤が驚くほど強力なので苦労しつつも、連結されているパネルバッテリーの取り外しが完了。
6つのパーツに分かれたパネルバッテリーにより電力効率は大幅に改善され、通常であれば9時間の連続使用が可能。電力量(バッテリー容量)は71.8Wh、電圧は11.34V。
バッテリーをマザーボードと接続するコネクタ部分。
CPU上のヒートシンクの固定部分をコテで外しています。
CPUはインテルのHaswellプロセッサーを採用し、GPUはIrisを搭載しているため、ヒートシンクは大型化。
ファンもヒートシンクに合わせて少し大きくなっています。
次はファンの下にある本体右側のI/Oボードを取り外し。
赤枠の中にParade Technology「PS8401A」というHDMI Jitter Cleaning Repeaterを搭載。黄枠の中にはSDXCカードリーダーコントローラーのGenesys Logic「GL3219」。オレンジ色の枠内にはNXP Semiconductors「PCA9501」8-bit I/O Expander with an On-Board 2-kbit EEPROM。
ロジックボード(マザーボード)を固定する留め具を外します。
ボードの取り外しも完了。
ロジックボード(マザーボード)の表側。黄色の枠の中には、HDコーデックのCirrus「4208-CRZ」、緑色の枠内はThunderbolt 2をコントロールするIntel 「DSL5520」、2か所の青色の枠内にはFairchild Semiconductor「DD18BB」220A。オレンジ色の枠内はMicron「D9PXV」4GB(512MB)DDR3L SDRAM(合計8×512MB=4GB)、赤い枠の中にIntel SR18A Core i5-4258U Processorという配置になっています。
裏側。緑色の枠は、Cypress「CY8C24794-24LTXI」Programmable System-on-Chip、青枠にはBroadcom BCM15700A2、赤枠にはMicron「D9PXV」4GB(512MB)DDR3L SDRAM。ピンク色の枠にP13WVR 12612NEE、黄色の枠にTexas Instruments Stellaris LM4FS1EH Microcontroller、オレンジ色の枠にはMXIC MX25L6406E 64M-bit CMOS Serial Flashとなっています。
新型モデルから変更された充電コネクタの新規格であるMagSafe 2のポート部分。
次はトラックパッドの内側にあるプレートを取り外します。これは2012バージョンと同じものでした。
トラックパッドのIC部分。オレンジ色の枠内にiPhone 5に使用されているものと同じタッチスクリーンコントローラーであるBroadcom「BCM5976」を発見。赤枠の中にはMacronix「MX25L2006E」16M-bit CMOS Serial Flash。
ディスプレイを固定する3つのネジを覆う黒いゴム製のヒンジを取り外し。
ネジを取り外して本体を立てました。
Retinaディスプレイの取り外しも完了。これで全ての分解作業は終了。
MacBook Pro Retinaディスプレイモデルの修理難易度は最も難しい「1」とランク付けされているため、もし分解するなら細心の注意と覚悟が必要です。
なお、15インチのMacBook Pro Retinaディスプレイモデルの分解レポートもiFixitで公開されており、「ヘッドホンジャックがロジックボードにはんだ付けされている(青色の枠内)ため、普通に使用していても故障しやすい上、修理には1000ドル(約10万円)近く修理代が必要になる」と懸念を示しています。
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