映画「風立ちぬ」に対して日本禁煙学会が苦言
7月20日から公開されている宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」の中に出てくるタバコの描写に対して、NPO法人の日本禁煙学会が要望を発表しました。日本も批准している「タバコ規制枠組み条約」第13条で、あらゆるメディアでのタバコの広告・宣伝が禁止されているので、これを遵守すると作品は条約違反になるとのこと。
映画「風立ちぬ」でのタバコの扱いについて(要望) 日本禁煙学会
http://www.nosmoke55.jp/action/1308kazetatinu.html
「風立ちぬ」は、宮崎駿監督がモデルグラフィックスに連載していた同名のマンガを映画化したもの。作品の主人公は実在する航空技師・堀越二郎をモデルとしており、堀辰雄の小説「風立ちぬ」からの着想も交えながら作られています。
日本禁煙学会が問題だとしたのは、教室での喫煙、職場での喫煙、リゾートホテルのレストランでの喫煙と、作中に喫煙の場面が多く登場すること。特に問題として取り上げたのは、妻の手を握りながらの喫煙シーンで、「なぜこの場面でタバコが使われなくてはならなかったのでしょうか。他の方法でも十分表現できたはずです」と指摘しています。
スタジオジブリ作品・宮崎駿作品ということで小学生を含む子どもたちが見に来ることが十分に考えられる作品ということもあって、「さまざまな場面での喫煙シーンがこども達に与える影響は無視できません」とのことで、「映画『風立ちぬ』制作担当者」に向けて「企業の社会的責任がいろいろな場面で取りざたされている昨今、貴社におきましてもぜひ法令遵守をした映画制作をお願いいたします」と要望しています。
なお、要望書によると誹謗中傷目的ではないとのこと。
映画を観た人であれば「喫煙シーンが多い」という事実は認めるところ。指摘のあったシーンについて、ライターの久保内信行さんは「彼女の体を思いやり外で吸おうとする二郎を止めて、ここで吸ってくださいと菜穂子が言うエクスキューズがあるものの生理的に受け付けない! と言う人も多いようです」と賛否両論あることを認めた上で、「美しくもエグい運命観が見えてきます」と表現しています。
賛否両論、タバコシーンから「風立ちぬ」を考察する(エキサイトレビュー) - エキサイトニュース(1/4)
http://www.excite.co.jp/News/reviewmov/20130802/E1375377673396.html
下記のムービーで「風立ちぬ」の映像のほか、タバコを吸う宮崎駿監督の姿が見られます。
風立ちぬ スタジオジブリ最新作 公開記念スペシャル 1/3 2013/07/13 - YouTube
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