コーヒー豆が2080年に絶滅する可能性を調査してまとめたムービー「The Forgotten Home of Coffee」

世界中で出回っているコーヒー豆は大別するとたった2種類になるそうです。その内のコーヒー豆の1種類がどこで作られ、どのような問題を含んでいるのかを調査したムービー「Kew Gardens - Beyond the Gardens - The Forgotten Home of Coffee」がYouTubeで鑑賞できます。

Kew Gardens - Beyond the Gardens - The Forgotten Home of Coffee - YouTube


エスプレッソをいれるモカエキスプレス。

今にも良い香りを感じられそうなコーヒー豆。

「一杯のコーヒーが私の人生を変えたことがあるよ」と語るおじいさん。

サーブされるコーヒー。

「庭を越えた向こう側」

「忘れられたコーヒーの故郷」

コーヒー研究チームのヘッドであるAaron Davisさんは「コーヒー豆には全部で約125種類あると言われていますが、そのうち世界中で出回っているものを大別すると2種類になります」と言っています。

2種類のコーヒー豆は「アラビカ・コーヒー」と「ロブスタ・コーヒー」。今回研究するアラビカ種は、全く別の種類とかけ合わさった特別なハイブリット・コーヒーです。約100万年前から生息しているものの、約5万年前ですらコーヒーは人間に知られていませんでした。

奇跡的に生まれたコーヒー豆であるアラビカ種はエチオピア原産であり、エチオピアから世界中へ輸出されています。しかし、アラビカ種は遺伝的限界から、気候変化や害虫、疫病に対する適応力が弱く、エチオピアの気候もアラビカ種の栽培に適しているというわけではありません。

「アラビカ・コーヒーは世界中で飲まれていますが、その行く末が心配です。このままではエチオピアはやがて輸出をストップするからです」と、科学者のJenny Williamさん。

「気候変化に伴い、コーヒーの世界価格は上昇しています」と語るのはSpatial情報科学研究所のヘッドであるJustin Moatさん。

近年の32℃という気温は、コーヒー豆には暑すぎるため、コーヒー畑にはストレスがかかっており、将来的な遺伝子資源の確保のためにも、野生のアラビカ種を注意深く保護しなくてはいけないレベルに達しています。

このまま気候の上昇が続けば、アラビカ種を栽培できる地域が少なくなり、研究者たちの地点分析結果によると、2080年には野生のアラビカ種は最悪の場合99.7%の縮小に至る可能性があります。

「いつかコーヒーが飲めなくなる日が来るなんて、想像できないよ……」とショックを隠せないコーヒー好きの男性。

アラビカ種のコーヒー豆はエチオピアでも重要な収入源となっているため、エチオピア国民にとっても生計に大きく関わる問題です。

気候の変化の影響により、凶作から収穫量が減るものの、コーヒー豆の品質を維持しなければならないため、エチオピアへ産業を誘致するなどの対策がとられていますが、状況はなかなか好転していません。

Kew's coffee researchではこの問題のために寄付を募っています。

もし野生のアラビカ種が絶滅しても、すぐに世界中からコーヒーがなくなるわけではありませんが、原種が絶滅すると今後のアラビカ種の存続に多大な影響を及ぼすとのこと。このまま放置していると、いつも何気なく飲んでいる朝のコーヒーがいつか飲めなくなる日が来るのかもしれません。

Kew News - Is Our Daily Cup Of Coffee Under Threat?
http://www.kew.org/news/arabica-coffee-could-be-extinct.htm