取材

グアテマラのジャングルを140km踏破してエル・ミラドール遺跡に行ってきた


海外で観光地に行くとき、たいていはバスなり列車なりの交通手段があるものです。しかし、グアテマラのマヤ文明の巨大遺跡、エル・ミラドールへ行くにはジャングルを徒歩で2日歩かなければなりませんでした。これは6日間で約140kmの道のりを突き進んだ記録です。

こんにちは。世界新聞特命記者の清谷啓仁です。世界一周中のわたくし、現在、グアテマラのフローレスという町にいます。今後はホンジュラスに入り、そのままパナマまで中米を下っていく予定です。

緑がフローレス、赤がエル・ミラドール遺跡

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ペテン・イツァ湖に浮かぶフローレスの街。のんびりとした雰囲気です。


グアテマラの遺跡といえば世界遺産のティカル遺跡が有名ですが、今回はアクセスが悪すぎて観光客がほとんど足を踏み入れないというエル・ミラドール遺跡に行ってきました。

エル・ミラドール遺跡へ行くには、フローレスでツアーに参加する必要があります。6日間のツアーで相場は2万5000円ほど。ツアー代金には、拠点となるカルマリータまでの往復バス、ガイド、給仕、お手伝いさん、荷物を運んでくれる馬、日数分の食事と飲み水、テントなどが含まれます。

フローレスではここのゲストハウスを拠点にしていました。エル・ミラドール遺跡へのチケットは、ゲストハウスや旅行会社で購入できます。


チケットゲット!相場通りの2万5000円でした。このあたりではコーラ1缶が60円で買えると考えると、かなり高額です。


旅の準備完了。これで6日間生き延びられる……はず!虫除けスプレーは必須です。


翌朝の午前5時に出発。シャトルバスに乗って、まずは出発地点となるカルマリータの街へ向かいます。


カルマリータに近づいてきました。


バスに揺られて約4時間、ようやく到着です。ここから140kmの旅が始まるのか……。


中央下にちょろっと見える道の終わりがカルマリータで、赤の目印がエル・ミラドール遺跡。完全なるジャングルを行く行程です。

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旅を支えてくれる食料や水など。どのように馬に積んでいくかを話し合い中。


お馬さん、本当にありがとう。


いよいよ出発!最初は木が低くて、ジャングルというよりは山の中を歩いている感じでしたが……


どんどん進んでいくと……


ジャングルっぽくなってきました。


こんなお化けみたいな木が、そこら中に生えています。


これで一本の木だそうです……自然って不思議だなぁ。


ジャングルの中ではたくさんの動物を見つけることができました。猿は縄張りに近づくとかなり威嚇してくるんですが、人間というより、動物として対応されているように感じて面白かったです。


茂みから現れた蛇。戦闘モードで今にも噛み付いてきそうでした。


鮮やかな羽を持つ鳥に目を奪われました。


大きなくちばしが特徴的なオオハシ。こんなの動物園でしか見たことありません。


6日間のツアーは、いくつかあるベースキャンプを拠点にして進んでいきます。基本的にここで食事をして、夜を過ごします。


ツアー参加者たちと。いろいろな国の人たちが入り交じり、会話が弾みます。


グアテマラのソウルフード、トルティーヤ。ジャングルの中でも作ってくれるとは感服です。


寝床はハンモック。毎日歩き疲れて、20時くらいには寝ていました。


時にはこんな風に道が塞がっていることも。


道は自分たちで切り開く!


なんとか通れるようになりました。


どんな障害が現れても、前に進むには、乗り越えていくしかないんです。


歩き疲れて少し休憩。楽しい旅に来ているはずなのに、なんでわざわざこんなしんどいことを……と素朴な疑問が頭に浮かびます。


しばらくすると、食料と水を運んでくれている馬が到着しました。


サンドイッチを作ってくれています。


水は命の源です。もし何かの手違いで十分な水がなかったら……と思うと、なんだか自分の命を握られているような感覚に陥りました。普段でもそうやって大事なことを他人任せにしていないかなぁと自問自答。


ジャングルの中を歩き続けていると、「歩くこと」以外のことは正直どうでもよくなってきました。頭の中でごちゃごちゃ考えていたことが削ぎ落とされていって、すごく清々しい気分でした。


そして2日目、突如、木々の間から……


おお!


ようやく姿を現しました。エル・ミラドール遺跡です!すでに50〜60kmは歩きました。


エル・ミラドール遺跡は1926年に発見されたもので、面積は16平方km。3段になった階段状のピラミッドが、1つ1つはあまり高くないものの、多数分布しています。中でも、55mに達する「エル・ティグレ」と、70mに達する「ラ・ダンタ」と呼ばれる建築が有名。これはマヤの建造物の中で最も高く、また、ピラミッドが載っている基壇の底辺は18kmもあるそうです。

エル・ミラドール遺跡の全貌です。


エル・ミラドール遺跡はほとんど整備されていないので、こんな具合に遺跡から草木がにょきにょきと生えています。


ジブリの世界に迷い込んだようです。


根っこが遺跡を突き破り、強い生命力が感じられます。


ジャングルのそこら中に遺跡が転がっています。


こちらは何のレリーフでしょうか。


発掘途中のものは黒いビニールシートで覆われています。エル・ミラドール遺跡の全貌が明らかになるのは、まだまだ先のことになりそうです。


エル・ミラドール遺跡に多数あるピラミッドのひとつ、「ラ・ダンタ」。高さ70mに達し、右下の人と比べるとその大きさが分かります。


頂上からの景色に期待!疲れた身体にムチを打って階段を登っていくと……


目の前に広がる360度、見渡す限りのジャングル。地球は丸いんだなぁと実感できます。感動!


朝焼けを見に行ったり……


夕日が沈むのを眺めたり……


思わずジャンプしたり!


1日目15km、2日目35km、3日目10km、4日目20km、5日目50km、6日目10km……総距離およそ140km。

しんどいことが9割でしたが、この雄大な景色を見るために頑張って歩いてきたんだなぁとしみじみ思います。「自分の見たい景色があるなら、自分の足で歩いていくしかない」。当たり前のことかもしれませんが、歩き続ける中で僕が一番強く感じたことです。

僕たち、140kmを歩き切りました!


(文・取材:清谷啓仁 @t_kiyotani
監修:世界新聞
http://sekaishinbun.blog89.fc2.com
)

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in 取材, Posted by logc_nt

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