戦場の世界遺産、プリア・ヴィヘア遺跡に行ってきた
世界遺産は数あれど紛争地域にある世界遺産というのは、レアなケースなんじゃないでしょうか。カンボジアのプリア・ヴィヘア遺跡はタイとの国境線上に位置し、昨年、銃撃戦の舞台になりました。
皆さんこんにちは。世界新聞社の松崎敦史です。世界一周中のわたくし、現在ベトナムのホーチミンにいます。
ところで、カンボジアとタイの国境近くの紛争地域に世界遺産であるプリア・ヴィヘア遺跡(寺院)があります。カンボジアのシェムリアップ滞在時、事態が落ち着いている今なら見学可能ということで行ってきました。
プリア・ヴィヘアはこの辺り。アンコールワット拠点の街・シェムリアップから約250kmの地点にあります。
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拡大した地図。点線ラインがタイとの国境。
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プリア・ヴィヘア遺跡はカンボジアとタイの国境線上に位置し、長年その領有問題が懸念されてきました。1962年に国際司法裁判所はプリア・ヴィヘア遺跡をカンボジア領だと認めましたが、その後もタイが領有を主張するなど、国境を巡る問題はくすぶり続け、2008年に同遺跡が世界遺産に登録されたことにより事態は悪化。2008年10月、2009年4月には両軍による銃撃戦の末、死傷者が出ました。最近では2011年2月4日に銃撃戦が発生し、民間人にまで死傷者が及び、周辺住民も一時避難を余儀なくされました。現在、外務省は同地域に「渡航の是非を検討してください」との危険情報を出しています。
今回は現地旅行会社催行のツアー(ガイドつき)に参加。遺跡まではミニバスで片道約4時間半の道のり。
しばらく走ると、ひたすら緑の平原が広がります。
車が急停車したので検問かなと思いきや……
牛さんのお通りでした。紛争地帯ということで、特に物々しい雰囲気は感じません。
遺跡のある山の麓に着きました。プリア・ヴィヘアは山の斜面に建てられた山岳寺院です。
遺跡へのチケット
四駆に乗り換えます。これで比高500mを一気に登りきるそうです。
荷台へ。
現地人もやはり同じ方法で行くようです
どんどん山を登って行きます。道は舗装されているので揺れはあまり感じません。
だいぶ登りましたが、
まだまだ登ります。
人が住んでいました
かなりの急こう配です。
途中、兵士(国境警備兵とのこと)がいましたが、止められることもなく。
広場のような開けた場所に出ました。ここで車を降ります。
少し歩くと遺跡が見えてきました。水色の旗は世界遺産であることを示す旗。
プリア・ヴィヘア遺跡の第一塔門
カンボジア通貨の2000リエルにも描かれています
横から見るとこんな感じ
崩れているところもたくさんあり、保存状態は良くありません
遺跡の上で現地人がご飯を食べていました
傍らでは兵士がゲームに興じています
プリア・ヴィヘアは9世紀末に創建されたヒンドゥー教の寺院。標高525m~650mの山の斜面に建てられた山岳寺院は第一~五の塔門と一つの祠堂から成っており、それぞれを参道が結ぶ構造になっています。
参道
脇には兵士。そこら中に兵士がいます。警備しているというよりは「住んでいる」という印象。
第二塔門
柱にあった彫刻
転がったまま。
居住区を訪れます
水浴びしてました
女の子
銃とロケットランチャーが無造作に置いてありました
ここに弾などが入っているそうです
居住区のすぐそばには……
「地雷危険」の標識
第三塔門
別角度から
ひっそり佇んでいます
いつの間にか子供がついてきていました
崩れかかった一角
その前で男がナイフを研いでいました
中に入ると時が止まったかのような感覚にさえなります
地面から覗くレリーフ
遺跡の終わりにすばらしい景色が広がっていました。
おお!
見渡す限りカンボジアの平原
未だにたくさんの地雷が埋まっているそうです
下は切り立った崖
僧侶がいました
岩の下を見ると、こんなところにも兵士が……。
遺跡の近くにあった見張り小屋
国境の様子を監視しているそうです。覗いてみると、タイ側の施設が映っていました。
世界遺産が紛争の引き金になるというのは何とも皮肉なこと。事態が良い方向に向うことを願うばかりです。
(文・写真:世界新聞社/松崎敦史http://sekaishinbun.blog89.fc2.com/)
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