アポロ11号が月面から持ち帰ってきた「月ダスト」が40年ぶりに発見される
歴史上初の人類による月面着陸に成功したアポロ11号により収集された「月ダスト」、これが入ったガラス容器が40年近くも行方不明になっていたのですが、先月ようやく見つかったようです。
Lost Apollo 11 Moon Dust Found in Storage | Space.com
http://www.space.com/21050-apollo-11-moon-dust-found.html
月ダストが入ったガラス容器は、今月の初めにカリフォルニアのローレンス・バークレー国立研究所の公文書保管人であるカレン・ネルソンさんによって発見されました。なんと40年以上も誰にも気づかれないまま、カリフォルニアの研究所倉庫内の保管庫で保管されていたそうです。
「いつ、どうやってこの保管庫に月ダストの入ったガラス容器が入れられたのか、私たちにはわかりません」とは発見したネルソンさんの言葉。ネルソンさんは「1970年7月24日」という手書きのラベル付きの、真空密閉されたガラス容器約20個を見つけました。このガラス容器と一緒に、Proceedings of the Second Lunar Science Conferenceで公表された「アポロ11号とアポロ12号の持ち帰った月のサンプルに関する炭素化合物の研究」という学術論文も発見します。
この論文の著者はノーベル賞受賞者のメルビン・カルビンさんを含めた、カリフォルニア大学バークレー校の宇宙科学研究所の研究員チームでした。月ダストは、この研究チームの行った実験後にNASAに送られるはずでしたが、何かしらの手違いにより研究チームの保管庫に保管されたようです。発見後ネルソンさんは宇宙科学研究所に連絡を取り、次にはNASAの職員に連絡、そこでNASAにこの月ダストのサンプルを返却するために保管庫を開けてガラス容器を移動させる許可をもらい、それらを無事NASAに返却しました。
1970年にカルビンさんたち研究チームに提供された月ダストは68グラムでしたが、そのうち50グラムだけが当時返却されており、不明であった18グラムは試験中に破壊されてしまったのだろうと、ヒューストン州にあるNASAのジョンソン宇宙センターのアポロサンプルの管理人であるライアン・ジークラーさんは認識していました。「発見された約3グラムの月ダストは伝達ミスの結果研究所に保管されていたのだろう」とジークラーさんは言います。
この研究サンプルである月ダストが、なぜNASAに返却されなかったのかは不明瞭なところが残ります。この貴重なサンプルは、将来何かしらの研究に提供されることもあるだろう、とのことですが、現在はNASAのサンプル保管庫にて保管されています。
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