日本ハムファイターズが大谷選手に入団を決意させた資料をネットで公開
12月9日、日本ハムからドラフト1位指名を受けていた大谷翔平投手が日本ハムへの入団を表明しました。もともと、大谷投手はメジャー挑戦の意思を表明していましたが、なぜ入団を決意するに至ったのか。あまりにも問い合わせが多かったということで、日ハムが交渉時に使用した資料をネットで公開しています。
ニュース | 大谷選手との入団交渉時に提示した球団資料について | 北海道日本ハムファイターズ
http://www.fighters.co.jp/news/detail/3251.html
2012年のプロ野球ドラフト会議では、大阪桐蔭高校の藤浪晋太郎投手や亜細亜大学の東浜巨投手などが人気を集めましたが、同じように注目されていたのが花巻東高校の大谷翔平投手。早いうちから日本のプロ野球ではなくメジャーリーグへの挑戦の意思を表明していたため、ドラフト会議では多くの球団が指名を回避しました。
しかし、北海道日本ハムファイターズはそれでも大谷投手を1位指名。大谷投手は、当初はメジャー挑戦の意思を変えませんでしたが、日ハムの粘り強い交渉を受けて入団することを表明しました。その交渉時に使用されたのがこの資料。内容については「個人情報など公開が適当でないと思われる一部を除く全文」だとのこと。
タイトルは「大谷翔平君 夢への道しるべ~日本スポーツにおける若年期海外進出の考察~」
公開されたのは全26ページのスライドと、別紙資料が5ページ分。
大谷投手の希望は「MLBトップの実力をつけたい」「トップで長く活躍したい」「パイオニアになりたい」の3つ。このうち、「パイオニアになりたい」を除くと、日本のプロ野球(NPB)から挑戦するのと、いきなりメジャーリーグ(MLB)へ行くのとは、どちらも「△」、いろいろ条件が付くことになります。
今いるところからMLBのトップまでの、競技力や環境の差。メジャーリーグだとAAA、AA、A、ルーキーリーグと下部組織があり、デビューまで最速で3~5年かかります。また、競技レベルの差、ハングリー精神、身体能力など、いろいろな環境の違いもあります。しかし、NPBであれば環境の差は小さく、海外FA取得までにはだいたい9年。
日本人メジャーリーガーで活躍している選手の多くはNPBで多くの実績を挙げていた選手。今のところ、NPBを経由せずに早期渡米しても、結果には結びついていません。
こちらが別紙資料に挙げられている、日本人メジャーリーガーの実績。高卒でNPBに所属、海外FAを取得してメジャーリーグに移籍するとだいたい30歳前ぐらいになりますが、それでも活躍は可能。一方、早期に渡米しても「MLBトップへの到達」「長く活躍」には、今のところ結びついていません。
韓国野球の事例がこちら。韓国プロ野球を経由せずにMLBトップで活躍した選手はいますが、全員が野手で、活躍期間も長くありません。しかし、大谷投手の目指す「高卒メジャー」というのは、日本国内ではパイオニアとなっても、世界から見ると珍しくはない、ということになります。
卓球は若いうちから海外に出て行く種目の1つですが、条件などを見てみると、野球には若年期から海外に進出する必要性は大きくありません。
資料は、NPBで実績を積む中で野球技術の確立と人として自立していくことが、MLBでの即戦力・長期活躍につながると結んでいます。
入団会見の中で、大谷投手は「長く活躍するためにはアメリカへ早く行った方がいいと考えていたが、資料をもらって考えが入団に傾いていった」ということを語っており、入団の決め手はこの資料であったことがうかがえます。
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