VOCALOIDで手本の歌い方を再現できる「VocaListener(ぼかりす)」10月19日発売
By c_pichler
ヤマハの歌声合成技術「VOCALOID」に、歌声と歌詞を入力すると歌い方の細かいニュアンスまで真似してくれるプラグインとして「VOCALOID3 Job Plugin VocaListener(ぼかりす)」が登場します。発売日は10月19日で、価格は税込1万9800円。「VOCALOID3」発表時に「ぼかりす」の発売を予定していることも告知されていましたが、1年以上の間を置いて、とうとう発売が決まったというわけです。
実際の歌声から歌い方をまねて再現、より人間らしく自然な歌声合成が可能に ヤマハ ソフトウェア『VOCALOID3 Job Plugin VocaListener』 - ニュースリリース - ヤマハ株式会社
ヤマハは2003年に歌声合成技術ソフトウェア「VOCALOID」を開発しました。歌詞とメロディを入力するとボーカルパートが作れるということで、ボーカル担当がいなくてもその役割をVOCALOIDが果たしてくれるようになり、特にVOCALOID2エンジンを使用して作られたクリプトン・フューチャー・メディアのボーカル音源「初音ミク」は非常に高い人気を集めました。
しかし、歌声を合成してくれるとはいっても、メロディそのままではいかにもロボットめいた歌い方になってしまうため、人間が歌っているかのような自然な歌声を作るためには歌詞や音符の長さ、高さ、さらにいろいろなパラメータをユーザ自身が調整する必要がありました。
これとは別に、お手本の音声(歌唱)をもとにして歌声合成のパラメータを自動で作り出す研究も行われていましたが、こちらは歌声合成システムや音源データなどによって差異が出てしまったり、そもそもお手本を越えることができないという問題を抱えていました。
そこで独立行政法人産業技術総合研究所が研究開発したのが「VocaListener(ぼかりす)」。目標とする歌唱と合成歌唱を比較し、時間対応や歌唱スタイル(ビブラートや音高、音量、有声・無声)などを補正するという技術です。
2009年からはヤマハと連携して「ぼかりす」の実用化へ向けた取り組みが始まり、産総研が作ったサイバネティックヒューマン「HRP-4C未夢」が歌ったことも。
人の声や表情をお手本により自然に歌えるようになった美少女ロボ「未夢」が初音ミクの声で歌うムービー
「VOCALOID3 Job Plugin VocaListener」は、VOCALOID3のプラグインとしてインストールするだけで使用が可能、単体では動作しません。使用時はVOCALOID3 Editorが必要で、別途、「VOCALOID2」または「VOCALOID3」対応の日本語の歌声ライブラリが必要となります。
使い方のイメージはこんな感じ、歌声ファイルを読み込ませると歌い方を自動解析し、歌詞を入力するとそれに合わせてVOCALOIDの歌声合成パラメータが自動調整されます。
ちなみに、お手本として使用できる歌声ファイルはWAV形式のみ(44.1kHz、16ビット、モノラルのものを推奨)。伴奏やエフェクトが含まれる場合は合成した歌声にノイズが含まれたりすることがあるとのこと。
操作画面
10月19日から「VOCALOID STORE」での販売がスタート。価格は税込1万9800円です。
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