体温と光の両方から電力を作って自給自足、世界初のハイブリッド型発電デバイス
電力の自給自足を実現するために、周囲の環境からエネルギーを収穫して電力へと変換する技術を「エネルギー・ハーベスティング・テクノロジー」と呼びますが、「CEATEC JAPAN 2011」会場の富士通ブースでは「熱と光の両方から電力を作り出すことができる」という世界初のハイブリッド型発電デバイスが参考出展されていました。
光と熱の両方から電力を作り出すハイブリッド型発電デバイスを開発 : 富士通
富士通ブース内にある「エネルギー・ハーベスティング・テクノロジー」コーナー。
実際に発電デバイスの試作品などが参考出展されています。
そもそも「エネルギー・ハーベスティング・テクノロジー」とは何かというと、身の回りの小さなエネルギーを収穫して電力に変換する技術で「環境発電」とも言われているもの。電力の自給自足が可能になることで配線や電池交換といったメンテナンスが不要になり、環境にも優しいセンサーネットワークが実現できるようになります。富士通は「エネルギー・ハーベスティング・テクノロジー」に重要な、発電と蓄電技術に取り組んでいるとのこと。
これが「全固体二次電池試作品」と「ハイブリッド発電デバイス試作品」。
これまでの「エネルギー・ハーベスティング・テクノロジー」では光、振動、熱、電波といった1つの環境だけしか利用できなかったために微小な電力しか得られませんでしたが、「ハイブリッド型発電デバイス」では複数の環境に対応することでより多くの電力を生み出せます。
また、従来の二次電池では環境温度耐性や安全性の問題からエネルギー・ハーベスティング用のエネルギーマネージメント(要するに蓄電)素子として不向きでしたが、新たに開発に成功した「全固体二次電池」では蓄電が可能となりました。
「熱と光の両方から電力を作り出すことができる」ということはすなわち、体温や室内光で発電できるということなので医療分野での利用が想定されています。具体的には、デバイスを患者の肌に取り付けることで体の状態を常にチェックしておき、緊急時には自動で救急サービスが受けられるといった利用方法が考えられるとのこと。また、「昼間のうちは発電量の多い光を利用し、夜には体温で発電する」ことで、装置を低電力で長時間動作させることが可能になっています。
「光と体温で電力が生み出せるのなら、携帯電話に応用すれば非常に便利なのでは」と思いますが、残念ながら現在生み出せる電力は非常に微弱なものなので、バッテリーの充電のようなことはできません。もしかしたら非常に遠い未来に実現できるかも、とのことでした。
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