サイエンス

わずか数分でHIVや結核を検査できる血液診断チップ


わずか数分の内に病気を診断できるという、血液診断チップが開発されました。

このチップでは、患者の血液を使ってHIVや結核の検査ができるとのこと。外部機器との接続なしに検査可能な上、電源も不要、非常に安価で検査方法も容易ということで、医療診断の現場での活躍が期待されるそうです。


血液診断チップの詳細は以下から。New blood analysis chip could lead to disease diagnosis in minutes

チップは略称SIMBAS(The Self-powered Integrated Microfluidic Blood Analysis System)と呼ばれ、チューブや外部装置を使わずに血液サンプルから診断が可能とのこと。

カリフォルニア大学バークレイ校で生物工学を教えるLuke Lee教授は、「これは医療診断の分野にとって非常に重要な発展です。現場の医師たちは、このチップを使えばHIVや結核などの病気をわずか数分の内に診断できるようになります」と語っています。

SIMBASチップはナノスケールの微小な溝を利用して、血液がチップの口に投入されると、血液の成分の中で比較的重い赤血球と白血球が、血漿から分離して溝の中に落ちて行くようになっています。こうして赤血球および白血球を血漿と分離することによって、血液中に存在するビオチン(ビタミンB7)を検出することができるとのこと。

SIMBASチップのイメージ図。左側の「Whole Blood」と書かれた溝に血液を落とし、検査を行います。


カリフォルニア大学バークレイ校の大学院生Benjamin Ross氏は「妊娠検査キットと同じくらい手軽で安価な装置で、HIVや結核が数分の内に診断できると考えてみてください。これは数百万人の命を救うことができるでしょう」と語っています。

Luke Lee教授は「我々はチップの構造を簡略化し、プラスチック部品を使用することで、従来のチップよりも製造が容易で、安価に大量生産できるチップを作ることができました。我々の目標は、世界的なヘルスケアのニーズに対応した診断機能を持ち、安価で実際に携行可能なデバイスを提供することです」とした上で、今後の発展について「SIMBASのプラットフォームを応用して、がん、心臓病、敗血症などの疾患に対する効果的な診断チップのプラットフォームを作成することができます」と述べています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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