デザイン

スタイリッシュにこの世を去るためのひつぎ


2010年に創業100周年を迎えたデンマークの葬儀社Tommerup Kister社は、「現在広く好まれるタイプのひつぎは、40年前の1970年代にデザインされたもの。40年後も古びないような、かつ国境を越えてアピールできるような、洗練されたユニバーサルなひつぎを新しくデザインすべき時が来ている」と考え、これまで数々の「古びない」デザインを生み出してきたJacob Jensen Designに新作のひつぎと骨つぼのシリーズを依頼したそうです。

衣服や装身具、家電や家具、自動車から家屋まで、身の回りを囲むものはすべてデザインが気に入ったものでないと気が済まないというデザイン・コンシャスな人に最適かもしれません。


詳細は以下から。Tommerup Kister

Bang and Olufsen時代に数々の名作を生み出したデンマークを代表するプロダクトデザイナーヤコブ・イェンセン。その息子でありJacob Jensen DesignのCEO兼チーフデザイナーを務めるティモシー・ヤコブ・イェンセン氏は、「ひつぎは一目見てひつぎとわかる必要があり、敬意を払うべき伝統もあり、デザイン的に満たす必要のある条件の数も多く、普段手がけるプロジェクトよりもタイトな骨組みの中でデザインすることになりました。Tommerup Kister社とともに広く深く可能性を追求した結果、最終的にたどり着いたフォルムは、シンプルに、かつ敬意を持って、『ひつぎ』というものをリニューアルすることができたと思います」と語っています。

ティモシー・ヤコブ・イェンセン氏(右端)。


「Diamant(フランス語でダイヤモンドの意)」と名付けられたシリーズは、ひつぎ3種と骨つぼ1種があり、それぞれ白と黒の2色展開。北欧産のバーチ(カバ)の集成材をデンマークの職人が一つ一つカットし、手作業で組み立て、ラッカーと水性ペイントで絹のようにマットな質感に仕上げられています。材料も工程も環境に配慮し、かつ平均的な葬儀コストにあわせた価格帯に収まるように作られているとのことです。

リムフィヨルド沿岸のHejlskov村にあるJacob Jensen Design社で昨年開催された発表会の様子。


ファセット(カット面)が32面ある「Diamant 32」は、マット仕上げのほか光沢仕上げでも提供されます。


ちなみに発表会場の駐車場には霊きゅう車がずらりと並び、ちょっと異様な雰囲気になっていたようです。


14面カットのひつぎ「Diamant 14」


白バージョン。側面のハンドルは両側に計6つあり、葬列でひつぎを持つための取っ手です。


26面カットの「Diamant 26」


「Diamant 26」の白バージョン。教会などでの葬儀にも、宗教色を廃した葬儀にもマッチしそうです。


32面カットの「Diamant 32」


「Diamant 32」の白バージョン。ちなみに内装はすべて、「魂が肉体から飛び立つ」様子を象徴したチョウの模様のオーガニックコットンの布を使用しているそうです。


無駄をそぎ落とし合理性を追求しつつ、「新しいが奇抜ではない」「いままで見てきたものと明らかに違うが変ではない」という、逸脱一歩手前で止めるような絶妙なさじ加減で常に次の時代のスタンダードとなり得るようなデザインを生み出し続けてきたヤコブ・イェンセン。シンプルでありながら葬具にふさわしい威厳を保った「Diamant」シリーズは、伝統を尊重しながら新しいスタイルを提案することに成功しているのではないでしょうか。

こちらは骨つぼの「Diamant Urn」。ひつぎと同じ黒または白のシルクマット仕上げとなっています。


コットンのリボンは、地面に埋葬する場合につりひもとして使用するものです。


ヤコブ・イェンセンのデザイン哲学「Different but not strange」という言葉のように、「個性的でありたいが変人にはなりたくない」人、「ほかの葬儀と違うが奇妙ではない葬儀」を望む人に最適なのでは、とのことです。

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in デザイン, Posted by darkhorse_log

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