「まんが日本昔ばなし」制作会社の「グループ・タック」が準自己破産
「まんが日本昔ばなし」は市原悦子さんと常田富士男さんの二人がすべての登場人物を演じ分けて多くの昔話を紹介するアニメで、1975年から2006年の31年にわたって放送されたので知っている人は多いと思います。
この「まんが日本昔ばなし」のほか、「タッチ」シリーズなども手がけてきた老舗のアニメーション制作会社グループ・タックが準自己破産申請を行いました。負債は約5億8500万円(2009年8月期末時点)。
その背景には少子化でアニメスポンサーの撤退が相次いで受注が減少したことがあり、また、7月に代表が亡くなり社内体制再構築に難航したのも原因と見られています。
詳細は以下から。
GroupTAC Website
http://www.g-tac.co.jp/
「まんが日本昔ばなし」などアニメ制作 株式会社グループ・タック
準自己破産を申請 負債5億8500万円 大型倒産速報 | 帝国データバンク[TDB]
グループ・タックは1968年に設立された歴史あるアニメーション制作会社で、もともと虫プロダクションで音響スタッフをしていた田代敦巳さんが杉井ギサブローさんや明田川進さんらを誘って設立しました。
田代さん、明田川さんが音響関係の仕事をしていたからか、当初は他社制作作品の音響を制作するのが中心でしたが、1975年からスタートした「まんが日本昔ばなし」でアニメの元請制作(企画から制作までを担当)を開始。同作は長らく高い視聴率を記録していましたが、90年代になると他番組に押されて苦戦するようになり、1994年に全国ネットを終了しローカル枠に降格しました。その平均視聴率は関東で20.9%、関西で18.1%だったそうです。
「まんが日本昔ばなし」というと市原悦子さんと常田冨士男さんが二人で登場するすべての役をこなしていましたが、これは田代さんが選んだキャスティング。いわゆる「アニメ声」が気になった時期があり、自然体の声で快く聞いてもらえるにはどうしようかと考えた末に、市原さんと常田さんに自由に語ってもらうを思いついたのだそうです。
「まんが日本昔ばなし」以外にも、あだち充の原作で知られる「タッチ」シリーズ、NHKオリジナルアニメの「飛べ!イサミ」などを制作。劇場作品としては杉井ギサブロー監督の「銀河鉄道の夜」(1985年)が毎日映画コンクール・大藤信郎賞を受賞しているほか、2005年にも同じく杉井ギサブロー監督の「あらしのよるに」が高い評価を受け日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞を受賞しています。
アニメ制作会社をめぐっては中小制作会社の収入低迷が目立っているという報告があります。帝国データバンクによれば、2009年度のアニメ制作会社118社の収入高は1648億3000万円で、版権収入が望めない中小の会社はスポンサー撤退などによる制作収入の減少が経営を直撃しているようです。
グループ・タックでは、新規受注の獲得やスタッフ削減などによって回復を試みたそうですが、7月に代表だった田代さんが亡くなり、社内体制の再構築に難航したため、事業継続を断念したとのこと。
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