【訃報】パンクの父マルコム・マクラーレン、中皮腫によりスイスの病院で死去
セックス・ピストルズの生みの親として、またデザイナーのヴィヴィアン・ウェストウッドの元パートナーとしても知られるマルコム・マクラーレン氏が2010年4月8日、悪性中皮腫(ガンの一種)により療養中のスイスの病院で亡くなったそうです。享年64歳でした。
詳細は以下から。Sex Pistols manager Malcolm McLaren dies - Telegraph
Malcolm McLaren dies aged 64 | Mail Online
ガールフレンドのYoung Kimさん(37歳)によると、しばらく前に中皮腫と診断されたものの公表はしていなかったというマクラーレン氏は、2月に新しい本のプロモーションのためニューヨークを訪れたのち治療のためスイスへ戻り、スイスの病院で亡くなったとのこと。マクラーレン氏とKimさんはここ数年間主にニューヨークとパリで暮らしていたそうです。
Kimさんは「彼は、ガンの治療を受けていたスイスの病院で亡くなりました。マルコム・マクラーレンは世界を変えた人物、その影響がずっと残る人物です」と語っています。
マクラーレン氏のエージェントのLes Molloy氏は「彼は長い間ガンで苦しんでいましたが、最近は健康そのもののように見えました。そして突然悪化したのです。今日はとても悲しい一日です。遺体はロンドンへ移送され、彼の最後の願いの一つに従ってハイゲート墓地に埋葬される予定です」と語っています。
マクラーレン氏の影響抜きでは音楽業界は語れません。「マルコム・マクラーレンがいなければ、パンク・ムーヴメントはあのように爆発的に盛り上がることはなかったでしょう」とMolloy氏は語っています。
マクラーレン氏が最初に有名になったのは1971年のことで、当時のパートナーであったヴィヴィアン・ウエストウッドと共にチェルシーのキングス・ロードに「Let It Rock」というファッション・ブティックを開いたときです。
ヴィヴィアン・ウェストウッドは今回の悲報を受けて「わたしたちがまだ若くて、わたしがマルコムと恋に落ちたときには、彼のことを美しいと思っていたし、今でも美しい人だと思っています。とてもカリスマ的で、特別で、才能のある人でした。長い間連絡をとっていませんでしたが、彼がもうこの世にいないというのは、本当にとても悲しいことです」と語っています。
なお、ヴィヴィアン・ウェストウッドとの間の息子Joseph Corre氏(1967年生まれ)もスイスの病院でYoung Kimさんとともにマクラーレンの最期をみとったとのこと。
マクラーレン(左)とヴィヴィアン・ウェストウッド。
1975年、そのころには「Sex」という店名に改名していたキングス・ロードの店の前でたまっている若者の中から、破れたピンク・フロイドのTシャツを身につけた緑の頭のジョン・ライドンを見いだしたマクラーレンは、当時マネージャーをしていたパンク・バンドのフロント・マンとしてライドンを起用し、セックス・ピストルズが誕生しました。
ジョン・ライドン(ジョニー・ロッテン)とマクラーレン。
また、初期アダム&ジ・アンツのマネージャーをしていたほか、その後メンバーを引き抜き「I Want Candy」のヒットで知られる80年代のニューウェイヴ・バンドBow Wow Wowを結成したのもマルコム・マクラーレンです。
パンクやニューウェイヴのムーヴメントが収束したのちもマクラーレンは音楽業界で働き続けたほか、売名行為好きも健在だったようで、近年では1999年にロンドン市長に立候補する意向を示したほか(2000年の選挙には結局立候補しなかった)、2004年にはイギリスのリアリティー番組「I’m A Celebrity... Get Me Out Of Here!」に出演するものの一日で降板したこともあったそうです。
セックス・ピストルズとパンクの歴史についての著書「England’s Dreaming」で知られる音楽ジャーナリストのJon Savage氏は「マルコム・マクラーレンがいなければブリティッシュ・パンクは生まれなかったでしょう。彼は、この国の文化と社会に非常に大きな衝撃を与えた、まれな人物の一人です」と語り、マクラーレンの元代理人のMark Borkowski氏は「彼は並外れたショーマンでした。ニュースの作り方を知りつくしていたのです」と語っています。
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