取材

手作りのテスラコイルが電光を放ち、自作の30トンプレスが空き缶をぺしゃんこにする「エクストリームDIY」の世界


秋葉原から歩いてすぐにあるアートセンター「3331 Arts Chiyoda」では2010年4月11日まで開館記念展「見る前に跳べ」を催していますが、その展示物の中でも異彩を放っているのが「手作りジェットエンジン」「ハンドメイド30トンプレス機」などの「エクストリームDIY」シリーズの展示。

ばちばちと電光を発しながらテクノの名曲「Popcorn」を奏でるテスラコイルを見ていると、実用品と芸術作品の境目とは一体なんなのかを考えてしまいたくなります。

詳細は以下。
開館記念展「見る前に跳べ」展示の中に、さらに区切られたスペースで展示が行われています。


鈴木ヒロシ作「自作ジェットエンジン」。オブジェのような見た目ですがプロパンガスで作動させることができるれっきとしたジェットエンジンです。


解説パネル。


自動車のスパークプラグ。


軽自動車のターボチャージャーを利用したタービン。


手作り感というかアナログ感というのか、そのようなものがぷんぷん漂っています。


荻野剛作「プラズマ発生装置」


解説パネル。


ポンプで中の空気を吸い出し真空度を高め、高い電圧をかけることでオーロラと同じ現象が発生し、発光する仕組み。


こんな感じで光ります。

YouTube - 荻野剛作「プラズマ発生装置」 from 「エクストリームDIY」


荻野剛作「ホームメイド30トンプレス機」。油圧ジャッキを応用し、人力で30トンもの圧力をかけることを可能にしたスーパープレス機です。


解説パネル。


30トンプレスでぺしゃんこにされたものたち。元々薄い外国のコインがさらに平らになっています。


実際の作業はこんな感じ。

YouTube - 「ハンドメイド30トンプレス」で小型のガスボンベを平らにする


そして手前にあるのが極限の薄さまで押し固められた空き缶。もはや薄い金属の円盤にしか見えないレベルにまでつぶされています。


荻野剛作「超超高圧反応容器」。要するにハイパー圧力鍋。中を超高圧にすることで固体、液体、気体を超えた「超臨界」状態を作りだし、様々な原料の加工を行います。


解説パネル。


すきまを埋めるパッキンがゴムだと間に合わないため、ガソリンエンジンのシリンダーに使うような薄いアルミニウムのパッキンが使われています。


中川基作「コーラを分解してみた」


解説パネル。この薬品を適切に混ぜ合わせることで、あの世界的に有名な炭酸飲料をコピーすることが可能とのこと。


荻野剛作「エトセトラ」は超精密注射器。「テフロン湯のみ」は文字通り化学的に安定し酸やアルカリにも強いテフロンから削りだしたもの。すべてのムダを削って機能のみを追求したこれらの機器にはまさしく「用の美」が備わっている気がします。


荻野剛作「浮上物体」薄い金属片が箱の磁石の上で浮かんでおり、指で触れるとゆらゆらと動きます。


解説パネル。


実物はこんな感じ。アルミの1円玉との動きの違いに注目してください。

YouTube - 荻野剛作「浮上物体」 from 「エクストリームDIY」


荻野剛作「ハイパワーキャノン」。「I'm not a bomb!(ボク爆弾じゃないよ!)」と書いてある赤いラベルがパイプ爆弾ではないことをアピールしています。


解説パネル。水だけでなくガソリンやエタノールなどの可燃物を高圧で撃ち出せる「大人の空気砲」とのこと。


どれくらい大人向けかは後ほど動画で詳しくご覧ください。


そして、部屋の一番奥、柵に囲まれた向こうにあるのが荻野剛・鈴木ヒロシ作「ソリッドステート テスラコイル」。


うっかり近づくと人体に向かって電気が流れるので演奏中は近寄れません。また、ペースメーカーなどを着用している人は実演中は展示室に近づくことができません。

YouTube - 荻野剛・鈴木ヒロシ作「ソリッドステート テスラコイル」の演奏その1


あまりに電圧が高いため漏れた電磁波で蛍光灯内のガスが励起し、コイルが放電する度に輝きます。

YouTube - 荻野剛・鈴木ヒロシ作「ソリッドステート テスラコイル」の演奏その2


そしてテクノ音楽初期の名作「ポップコーン」を奏でるテスラコイル。まさにピッタリの曲といえるのではないでしょうか。

YouTube - 荻野剛・鈴木ヒロシ作「ソリッドステート テスラコイル」の演奏その3


このシーケンサーを使ってテスラコイルを制御しているそうです。


今回のプレゼンター「秋葉原つくってみたラボ」の皆さん。左から所長・八谷和彦氏、中川基氏、荻野剛氏、鈴木ヒロシ氏。


最後に少しお話を伺うことができましたが「DIYをやっているとそこらに落ちているガラクタがすべて材料に見えてくる」というコメントがとても印象的でした。

自分が食べているものや使っているものがどういう仕組みをもっていて、どういう風に作られているのか。仕組みを追求する「ハッキング」、ものを作り出す「DIY」、そして自己表現を追求する「アート」の3者は同じものを別の角度から見たものなのでしょうか。

開館記念展示「見る前に跳べ」は4月11日(日)まで行われ、開館時間中の毎時0分にはテスラコイルの演奏実演も行われます。自分の目で見て、手で触れてみると新しい発見があるかもしれません。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「果汁0%のフルーツジュース」を人工甘味料や添加物をふんだんに使って作ってみた - GIGAZINE

「青いコンビニご飯、薬で柔らかくしたビーフ乗せ」を科学の力で作ってみた - GIGAZINE

「大空を埋め尽くすパンツの群れ」実体化、「空飛ぶパンツ」一斉飛行セッション in 空フェス! - GIGAZINE

in 取材,   サイエンス,   動画,   アート, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.