メモ

お金は人をハッピーにする、ただし隣人よりお金持ちな場合に限る


四半期~数年間という短い期間では経済成長の停滞や微減があったとしても、過去数十年間という長いスパンで見ると日本を含む「先進国」「経済大国」と呼ばれるような国では例外なく経済は成長していて、GDPは右肩上がりで国民の平均所得も右肩上がりとなっています。つまり平均的な家庭は30年前や40年前より「お金持ち」になっていて、昔より欲しいものを買うことができ、快適な生活を送れるようになっているはずです。

では昔より速いクルマに乗ることができ、快適な家に住むことができ、長いバカンスをとれるようになった人々が、昔より「幸福」になった気がしないのはなぜなのか?というのは当然の疑問ですが、その答えは「三丁目の夕日」的な感傷論ではなく、「去年よりお金持ちになっても、周囲よりお金持ちにならないと意味がない」というシビアなものであったということが、イギリスで行われた調査により明らかになっています。

詳細は以下から。Money only makes you happy if it makes you richer than your neighbors

ウォーリック大学心理学部のChris Boyce博士らによる研究では、過去7年間のBritish Household Panel Survey(イギリス世帯パネル調査)の「所得」と「生活満足度」に関するデータを分析しました。論文は「Money and Happiness: Rank of Income, Not Income, Affects Life Satisfaction」(金銭と幸福:所得ではなく所得順位が生活満足度を左右する)というタイトルでPsychological Science誌に掲載される予定です。

研究は当初、「所得」と「生活満足度」のかかわりを明らかにする目的で始められたのですが、その後「所得」より「所得順位」(性別・年齢・教育レベル・居住地域などが同じ人々の集団の中での順位)の方が「生活満足度」にずっと強く相関することが明らかになりました。つまり、「いくら稼いでいるか」より「周囲と比べて稼いでいるか」の方が重要なわけで、前年より年収が上がったとしても前年よりハッピーになったと感じるとは限らず、仮に減棒され前年より年収が下がったとしても、同僚がより大幅なカットを受けていた場合には満足度が上がるということも考えられるわけです。


Boyce博士は「わたしたちの調査では、集団の中でのある人の所得の順位が、その人の生活満足度に最も強く影響するのに対し、その人の実際の所得額や全体の平均所得には、生活満足度への有意な影響は見られないということが判明しました。どうやら、年収が100万ポンド(約1億3600万円)あったとしても、友達はみんな200万ポンド稼いでいると知っていたら、ハッピーにはなれないようです」と語っています。

「お金持ちになってお金持ちの友人とばかり付き合うようになった」「もっとお金持ちになったのでもっとお金持ちの友人と付き合うようになった」ということを繰り返していると、どんなに稼いでも「生活に満足」できないということなのかもしれません。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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