試食

「スターバックス ヴィア」はインスタントコーヒーを超える存在なのか、「ネスカフェ プレジデント」と比較


スタバが開発した粉末状コーヒー「スターバックス ヴィア」をスタバ店頭で出されたコーヒーと飲み比べてみましたが、今度は家庭で最も一般的に飲まれているといえるインスタントコーヒーと飲み比べてみました。

「スターバックス ヴィア」は公式サイト上ではインスタントコーヒーとは一切書かれておらず、代わりに「プレミアム・スティックコーヒー」などと呼ばれていることから、「インスタントとは違うのだよ、インスタントとは」という自負が見て取れます。その自信の表れなのか、一本あたりの単価が約100円と比較的高額であることを考慮して、インスタントコーヒーの中では価格帯が高めの「ネスカフェ プレジデント」と飲み比べてみました。

詳細は以下から。味の比較をするためにかなり高めの「ネスカフェ プレジデント」を買ってきました。近所のスーパーで買える中では相当高いです。


ロゴマークもプレジデントの名に恥じぬ風格です。


原材料はコーヒー豆のみ。「スターバックス ヴィア」はコロンビア産の豆のみ使用していましたが、こちらはタンザニアやケニアなど複数の国のものを使っているようです。


パッケージに「2gのプレジデントに140mlのお湯が適量」とあったのできっかり計ります。


粉をお皿に出してみました。左が「ネスカフェ プレジデント」、中央が「イタリアンロースト」、右が「コロンビア」


「ネスカフェ プレジデント」は粒が大きく、「スターバックス ヴィア」は完全な粉末で、どちらかというと「ネスカフェ エクセラ」に近い感じですね。


「ネスカフェ プレジデント」は2グラムに対して140mlのお湯が適量とパッケージにあったので、計って注ぎ入れます。


一方、「スターバックス ヴィア」は180mlのお湯に溶かすよう書いてあったのできっちり計量して注ぎます。ほぼ同じグラム数ですが、こちらの方が入れるお湯の量が40ml多いということで、風味がそれだけ強いのでしょうか。


お湯を注いだ状態はこんな感じ。左が「ネスカフェ プレジデント」、真ん中が「イタリアンロースト」、右が「コロンビア」です。


色は3つともほぼ差がありません。


まず「ネスカフェ プレジデント」を飲んでみたところ、酸味が強めで香りも強く、インスタントコーヒーとしてはかなりの高品質で、とても飲みやすい味です。次に「イタリアンロースト」を飲んでみると、インスタントコーヒーではまず味わったことのない苦みが感じられ、かなり新鮮味を感じました。その後「コロンビア」を飲んでみると、さらに苦みが強くて驚いてしまいました。ミスタードーナツで出されるようなブラックコーヒーを思い浮かべて飲むと面食らってしまいそうなパンチの強さなので、コーヒーが得意でないという人にはかなりキツイかもしれません。しかしながらこれまでなかった味の切り口で攻めていて、インスタントコーヒーっぽさというのがないのが印象的でした。1本あたり約100円とかなり割高な値段で、ドリップ式のコーヒーよりも場合によっては高くついてしまうのが最大のネックですが、普通のインスタントコーヒーは飲み飽きた、という人は試す価値があるかもしれません。


最後に、あらゆる銘柄のインスタントコーヒーを飲みまくる編集部員による評価を記しておきます。編集部員いわく、「手間と金をかければおいしいに決まっている、だからこそいかにして手間をかけず金もかけずにおいしいコーヒーを作れるかが各メーカーの技術の見せ所だと信じて疑わない」とのこと。ちなみにスターバックスのコーヒーも飲んだことはあるし、コーヒーは大好き。一番好みの飲み方はカフェオレとのことなので、ブラックだけでなく実際にカフェオレも作って試飲してもらいました。

■コロンビア


・超苦い。ブラックで飲むにはあまりにも苦い。ミスドのコーヒーみたいなものを想像すると痛い目に遭う。
・逆に言えばもうまっくろくろすけなコーヒーを飲みたい人には向いている。通常のインスタントコーヒーは苦みが足りない!と考えている人向け。
・カフェオレにすると苦みが残り、「珈琲+フレッシュミルク」程度の味になるだけなので、あまりカフェオレとしてはおすすめできない。
・クルミのような風味はない。ただしクルミを食べたあとに残るあの口の中をきゅっとされる感触だけはある。
・なめらかな口当たりとは言い難い。一口目から強烈なパンチがお見舞いされる。万人向けではない。良くも悪くも「スタバ」のコーヒー。
・仕事前の景気づけにはぴったり。だがリラックスしたいならコレはアウト。覚醒系のコーヒー。改善の余地があるような味。

■イタリアンロースト


・苦いがコロンビアよりは弱い苦み。ただしインスタントコーヒーでは確実にありえない苦さがほとばしる。甘みがかき消されるレベル。
・香りはよい感じだが、お湯を入れて数分もしないうちに香りが吹っ飛ぶ。そのため、香りを楽しみたいのであれば紅茶を出すような感じでフタをするべき。
・カフェオレにすると非常にマッチする。香りが飛んでも味はしっかりと残り、冷たくなってもおいしい。上等なカフェオレが完成するのは評価に値する。
・スモーキーな香りと言うよりも若干焦げ臭く感じる。というか香りは最初は強烈、次第になくなると言うより、「あっという間」に消えて無くなる。
・さっぱりした後味と言うよりも、口の中にいつまでもコーヒーの風味がこびりつく感じ。もう一杯飲みましょう、ではなくてこれでいいや、という味。
・ゆっくりと落ち着いてリラックスしたいならこっち。ずるずると味わいながら飲みたい。完成度はこちらの方が高い。

■総評


・3本で300円はあり得ない。お得感は一切無い。はっきり言って高すぎる。これが1本50円なら絶賛レベル。つまりそういう味。
・インスタントコーヒーをなめているのではないかと思えて仕方がない。店頭のスタバの味を再現できるようにがんばっているらしいが、遠く及ばない。
・つまり本当はもっとスタバの味に近づけることができるが、店頭のコーヒーと食い合うのであえてこのあたりにしました、という印象がある。
・しかし既存のインスタントコーヒー市場には今まで無かった味であることも確かなので、そういう新規性は非常に評価できるし、チャレンジ精神がある。
・価格が高いためなのかパッケージにはかなり凝っており、ホテルでチェックインして部屋にコレがあったら「お!」と思えるプレミア感は十分ある。
・ギフトとして送るのにも適したハイクオリティなデザインと質感はかなりグッド。人前に出して恥ずかしくないインスタントコーヒー。
・来客に出せるレベルのコーヒーとしては十分に合格しているし、目の前で作っても「スタバか!ほほー!」という感じのブランドイメージ補正がかかるため、これまで培ったスタバのブランドの強さが生かせる。
・パッケージ全体が高級感のある雰囲気で統一されており、隅々まで気配りがされているのがよくわかるが、実用性という観点は抜け落ちている。箱になるとフタの使い勝手が少し落ちるのが難点。
・全体的にiPodのように「箱を開けて中身を出すまでのわくわく感」はかなりある。逆にそのせいで過剰な期待をされるかもしれない。ちょっと公式サイトの説明文も煽り過ぎ。
・最近のインスタントコーヒーではまずありえないほど溶けにくいため、かなりしっかりとかき混ぜないと、泥水になる。つまり、飲み終わった時に底の方に泥のように残る。なので良く溶かさないとダメ。
・そもそも最近のインスタントコーヒーでお湯を注ぐだけでさらっと溶けきらないものはほとんどあり得ないため、そういう点の技術の弱さを感じる。

良くかき混ぜないとこんなコトになってしまうため、要注意。通常のコーヒーのノリで作るのはアウト。


・個包装なので香りがいいのは当たり前。瓶で出した時に本当の力量が分かるのかも。
・香りや味の技術開発は真剣にやったのだが、使い勝手や実用性という「インスタントコーヒー」として求められている点がわかっていない。
・公式サイトでは一切「インスタントコーヒー」とは書いていないため、「インスタントのような下等なコーヒーとは違う!」という高級感狙いなのかも知れないが、もうちょっと真摯に作る必要性を感じる。
・なので、まだまだ「ベータ版」、つまり開発途中のコーヒーというのが結論。さらなるのびしろは感じるし、いくらでも改善点があるので、今後の改善次第では大化けする可能性は非常に強く感じる。
・だが現時点ではまだその土俵に立っていない。スタバというブランドによりかかっているからこそなんとか戦えるという感じ。自立するにはまだいくつものハードルがあるが、それを超えるだけの潜在的能力は感じられる。
・現時点でべたぼめすることは不可能、今後に期待としか言えない。が、逆に言えば「今後が期待できる」味。
・あと、味のターゲットがよくわからないのも惜しい。既存のスタバをぶっつぶすクオリティに高めたいのか、インスタントコーヒーとしての最高峰になりたいのかがわからない、どっちつかずになっているのが惜しい。
・良くも悪くも破壊的イノベーションを感じるので、個人的には「スタバの店頭に行く必要はない」レベルにまで高めて欲しい。それなら100円でも喜んで買えるし、余所のメーカーを駆逐できる。

特にスタバに思い入れが強いわけではない編集部員の意見がこんな感じなので、スタバファンの人がこの商品をどう評価するのかが知りたいところ。ブロガー限定の先行試飲セットが抽選で当たるらしいので、自分のブログを持っている人は挑戦してみるのもいいかもしれません。

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in 試食, Posted by darkhorse_log

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