1周目からセーフティーカー導入など大波乱のブラジルGPを制したのはレッドブルのマーク・ウェバー
10月18日(日)深夜、F1世界選手権ブラジルGPが開催されました。2009年のF1世界選手権のチャンピオン争いはすでに3名のドライバーに絞られており。そのうち2名は旧ホンダチームを引き継ぎ今年から参戦しているブラウンGPのジェンソン・バトンとルーベンス・バリチェロ、残る1名はレッドブルのセバスチャン・ベッテルです。
バトンは序盤からかなりのポイントを稼ぎ、このレースで表彰台に上がれば(3位以内)チャンピオン決定なのに対し、他2名はバトンを表彰台に上らせないようにした上でポイントを稼がねばならず、特にベッテルはこのレースで2位以内に入らないとチャンピオンの可能性がなくなるという厳しいレースになりました。結局、レースを制したのは日本GPでは欠場することになったレッドブルのマーク・ウェバーでした。
詳細は以下から。
前戦・日本GPまでの経緯は以下の記事でまとめていますが、ジェンソン・バトン(ブラウンGP)が85ポイントでトップ、ルーベンス・バリチェロ(ブラウンGP)が71ポイント、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)が69ポイント、この3人にチャンピオンの可能性がある状態でブラジルGPが開幕しました。
2009年F1世界選手権の日本GPでS.ベッテルが優勝、チャンピオン争いはさらに次戦以降へ
各ドライバーのレース前状況は以下のような感じでした。
■ジェンソン・バトン
ブラジルGPで3位以内ならアブダビGPを待たずにワールドチャンピオンに決定。これは、3位の場合はバトンの総獲得ポイントが91ポイントとなり、たとえバリチェロが今後2戦で優勝したとしても総獲得ポイントは91ポイントまでしか伸びず、同ポイントの場合は優勝回数が多いドライバー(=バトン)がチャンピオンになるため。
■ルーベンス・バリチェロ
決着をアブダビGPに持ち込みたいバリチェロは、バトンが4位以下に沈んだ上での好走が求められる。具体的には、バトン4位の場合はバリチェロ優勝、バトン5位・6位の場合はバリチェロ2位以上といった具合。
■セバスチャン・ベッテル
バトンとの差が16ポイントのベッテルは「バトンがブラジルGPで5位以下」「自身は残り2戦でともに2位以上(ただし2位2回ではダメ)」が必要となる。
さらに、チャンピオン争いからは脱落しているものの来年に向けてパフォーマンスを見せる必要がある他ドライバーの思惑も絡んできて、レースは大波乱の様相を呈しました。
1周目、ヘイキ・コバライネン(マクラーレン)が大きくスピン、コースを大きく逸れてよけるジャンカルロ・フィジケラ(フェラーリ)。
ヤルノ・トゥルーリ(トヨタ)がエイドリアン・スーティル(フォースインディア)とサイドバイサイドで接触。
スーティル、トゥルーリともレースに復帰できずリタイア。
スーティルに詰め寄るトゥルーリ。かなり激しく怒っていました。
なお、スピンした形となったスーティルのマシンはその後コース上まで滑っていき、走行中のフェルナンド・アロンソ(ルノー)が巻き添えを食らってリタイアしていました。
キミ・ライコネン(フェラーリ)も1周目でフロントウイングを破損し、いきなりピットインすることに……。
しかし、同時にピットインしていたコバライネンが給油リグ(給油装置のノズル)をつけたまま発進、ガソリンをまき散らすことになり、その後方にいたライコネンは一瞬炎に包まれました。
ブラウンGPのピットクルーに給油リグを抜いてもらったコバライネン。
レース中盤の約10周ほど、ワールドチャンピオンを目指すバトンは小林可夢偉(トヨタ)に頭を抑えられる。最後は1コーナーのブレーキング勝負で、チャンピオンへの執念を燃やすバトンが小林をかわしていきました。
小林が中嶋一貴(ウィリアムズ)の前にピットアウトし、これをインから抜こうとした中嶋はコース内側へはみ出してフロントウイングを失い、コントロール不能に陥ってタイヤバリアへ。
年間通して戦っているドライバーの中で唯一ノーポイントの中嶋。そろそろ実績が欲しいところ。
上位を走行していたニック・ハイドフェルド。マシン後方から白煙が上がったためリタイヤしました。
レースは終盤までウェバーとバリチェロがトップを争ったものの、ラストぎりぎりのところでバリチェロがパンクしたため、ウェバーが逃げ切って優勝しました。2位は今期初表彰台となるロバート・クビサ(BMWザウバー)、3位は17位スタートだったルイス・ハミルトン(マクラーレン)でした。
バリチェロは前述のパンクのため車列に沈み、ベッテルも伸びなかった結果、4位でゴールしたバトンがワールドチャンピオンになりました。なお、ブラウンGPはコンストラクターズ(製造者部門)もワールドチャンピオンになり、二冠を達成。
チャンピオンは決定しましたが、F1世界選手権は11月1日(日)のアブダビGPまで続きます。今年あまり成績を残せなかったドライバーにとってはここが最後のアピール場所なので、意外なドライバーの意外な踏ん張りが見られたりするかもしれません。このブラジルGPで初レースながらも10位に入ったトヨタの小林可夢偉は、もう一度チャンスをもらえるのでしょうか。
追記:
ピットストップで給油ホースを引きちぎった件でコバライネンが25秒のペナルティを受けたため、9位から12位に降格。小林可夢偉は9位となりました。
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