日露戦争で東郷平八郎が座乗した記念艦「三笠」訪問レポート

1904年に開戦した日露戦争に決着をつけたのが、1905年5月27日から28日にかけて行われた「日本海海戦」。そこで日本の聯合艦隊旗艦を務めたのが戦艦「三笠」です。
「三笠」は日清戦争後、ロシアに対抗するための「六六艦隊計画」の一環として建造された艦で、完成前に海軍の予算が尽きてしまったため不法流用までして作られました。その期待に応え、日本海海戦で三笠をはじめとする聯合艦隊はロシアのバルチック艦隊を完膚無きまでに圧倒して殲滅、制海権を確保して日本を勝利へ導きました。
1921年のワシントン軍縮条約によって廃艦が決まった「三笠」ですが、現役復帰できない形での保存が許されて横須賀に保存されました。第二次世界大戦後は艦上にアメリカの軍人向けに「キャバレー・トーゴー」が開かれたり、艦上構造物を持ち去られてしまうなどひどい状況でしたが、復元保存運動のおかげで無事ほぼ完全な形に修復され、現在も横須賀に保存されています。
詳細は以下から。
記念艦「三笠」公式ホームページ|神奈川県横須賀市
http://www.kinenkan-mikasa.or.jp/
場所はココ。最寄り駅は京急・横須賀中央駅。
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三笠周辺は三笠公園として整備されています。

東郷平八郎提督の像。

記念艦の由来。保存されてすでに80年以上が経過しています。

海側から見た三笠。

艦首には輝く菊花紋章。

艦尾方面から眺める。軍艦旗(十六条旭日旗)がはためいています。

記念艦の入口。

乗艦には観覧券が必要です。一般500円、高校生300円、小・中学生は無料。

入口周辺には三笠のものではありませんが、大和やロシア側の主砲弾などの記念品が飾られています。


後部甲板から艦尾方面。マンションが建ち並んでいてちょっと違和感があります。

後部甲板から艦首方面。

第二砲塔のあたりは休憩所になっており、日よけがかけられていました。

三笠の主砲弾。

砲塔には三笠の戦歴が刻まれていました。

無線電信室。

バルチック艦隊を警戒していた仮装巡洋艦「信濃丸」からの「敵艦見ユ」の報は、対馬にいた巡洋艦厳島を経由してこの電信室で受信されました。

主砲は40口径30.5センチ連装砲。船体前部に1基、後部に1基備えられています。


副砲。40口径15.2センチ単装砲で、砲室内にハンモックが吊られています。

舷側を向いた対水雷艇用の40口径7.6センチ単装砲。

本来は20門あるのですが、現在は10門だけしかありません。

対水雷艇砲は主砲や副砲のように覆われていないので、防護用としてこのようなネットが用意されており、戦闘中に飛び込んできた砲弾の破片を防いでいたそうです。

もちろん実物ではなく模造品ですが、角度を変えることだけは可能。
60cm信号探照灯。僚艦に信号を送ったり、目標物を照らしたりするために使われました。

マストの高さは50m以上。

Z旗がはためいていました。
Z旗の説明。日本海海戦では「皇国の興廃この一戦にあり 各員一層奮励努力せよ」という意味で用いられました。

ここが露天艦橋です。

真正面に立つと東郷長官気分になれるかも。

実際に戦闘時、東郷長官はここで指揮を執りました。

足元にはその時に立っていた位置が示されています。左端のちょっと下がった位置にいたのが「坂の上の雲」で有名な秋山真之参謀、その右側の一番前にあたる位置にいたのが東郷平八郎長官、東郷の後ろに加藤友三郎参謀長、その隣に伊地知彦次郎艦長。

こうやって正面を見ても何があるわけでもありませんが、皇居の方を向いて固定されているそうです。

天気が良いと観光気分になりますが、艦内の至る所にこのような「勇士戦死のところ」という銘板が貼り付けられており、改めてこの艦が軍艦だったということを思い知らされます。

なお、艦内は部屋が当時のまま再現されているほか、数々の展示物が並べられています。これは長官公室で、中央のテーブルでいろいろな会議が行われたそうです。

生活スペースのようでありながら、部屋の隅に砲座が設けられています。

東郷平八郎の胸像。

東郷平八郎が軍令部に勤務していたころ使っていた机だそうです。

遺髪まで展示されていました。

よくわからない……。

艦長室には明治天皇の御真影が。

展示を見終えたら、かつては長官専用だったというラッタルを上がって甲板へ上がれます。

7月18日にオープンした日本元気劇場に戦艦三笠ミュージアムとして全長約80m、高さ約50mのモデルが再現されており、秋に放送されるNHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」はこちらを使って撮影するそうですが、実物もきれいな形で保存されているので、天気のいい時に訪れてみて下さい。
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