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種目選択に迷ったら、遺伝子にきいてみよう


親子でレスリング選手、姉妹でフィギュアスケート選手などの例もあるように、スポーツで大成するには環境や努力も重要ですが、遺伝による才能の存在も無視できないもの。では柔道選手と野球選手の子供はどちらのスポーツをやれば才能を生かせるのでしょうか?ACTN3という遺伝子を調べれば、瞬発力系のスポーツと持久力系のどちらに向いているかはわかるそうです。

このACTN3検査がアメリカで商品化され、サッカーママたちの心を騒がせている模様。


詳細は以下から。Sports May Be Child’s Play, but Genetic Testing Is Not - NYTimes.com

ACTN3とは、α-アクチニン-3というタンパク質をコードしている遺伝子で、このタンパク質は速筋線維のみ発現していることがわかっており、速筋線維の形成を促進したり、速い筋収縮を要する運動(跳躍、ボクシングなど)に有利となるように糖代謝を変化させたりします。このACTN3のアミノ酸配列の中で577番目のアルギニン(R)というアミノ酸をコードするコドンから終止コドン(X)へと置き換わる変異が30~40%という高頻度で存在するそうです。

なんだか小難しい話のようですが、要はACTN3という遺伝子には577番目がRR、RX、XXである三通りの遺伝子型があり、それを調べることによりスプリント・パワー系の種目(短距離走、砲丸投げなど)と持久力系種目(マラソン、競歩など)のどちらに有利か分かるということのようです。

2003年にオーストラリアで429人の白人アスリート(うち50人はオリンピック代表)を分析した結果、スプリント・パワー系の種目のオーストラリア代表の男性のうち53%がRR型で、これは一般の人の2倍近くの頻度だったそうです。さらに、35人の女性短距離走者と25人の男性オリンピック代表短距離走者のうちXX型は一人もいなかったとのこと。

人種別に見ると、XX型はアジア人で25%、ヨーロッパ系白人で20%、アフリカ系アメリカ人で13%、バンツー系アフリカ人では1%の割合、RR型はアジア人で25%、ヨーロッパ系白人で36%、アフリカ系アメリカ人では60%、バンツー系アフリカ人では81%の割合とのことで、NBAやNFLで黒人が多く活躍しているのも、オリンピックの100メートルの決勝進出者が黒人ばかりなのも納得です。ちなみにアフリカ系の中でも西アフリカ系はRR(スプリント・パワー型)、東アフリカ系はXX(持久力型)が多いそうですが、たしかにケニアやエチオピアは長距離に強い印象があります

しかし、二度オリンピックに出場したスペイン人の走り幅跳び選手(自己ベスト8.26メートル)がXX型のACTN3遺伝子を持っていたように、「XX型だからNBAプレイヤーにはなれない」「RR型だから箱根駅伝の夢はあきらめた方がいい」と一概には言えないようです。

なお、このテストはオーストラリアでGenetic Technologies Limited社によって5年前から販売されており、今年アメリカでもAtlas Sports Genetics社より発売されましたが、すでに日本では2005年から株式会社スポーツスタイルによって1万8900円で販売されているそうです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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