世界中で生産された食物の半分が食べられることなくムダに捨てられている
ストックホルム国際水協会(SIWI)、国連食糧農業機関および国際用水管理研究所によって示された概要によると、現在の食糧危機は世界中で生産された食物の半分が食べられることなくムダに捨てられていることにも原因があるそうです。
また、飢餓に苦しんでいる人が8億5000万人いるのに、食べ過ぎで肥満になっている人は12億人以上もいると指摘しています。
戦慄すべきムダに捨てられている食料の実態は以下から。
Half of All Food Produced Worldwide is Wasted
DEVELOPMENT: Wasted Food Is Also Wasted Water
例えばアメリカの場合、食料の30%にあたる483億ドル分が食べられることなく捨てられており、これは日本円に換算すると約5.1兆円分になります。
これは5億人の家庭を満たすのに必要な40兆リットルの水を垂れ流しにしているのに等しいそうです。というのも、食物を生産するには大量の水が必要であるため。食物をムダにすることは水をムダにしていることにもなっているというわけです。
さらにこれらの廃棄された食料は埋め立てられると腐敗してメタンガスを生成し、メタンは二酸化炭素の21倍も気候に影響を与える可能性があるとのことです。
ストックホルム国際水協会のジャン・ルントクビスト教授によると、これらのムダを現在よりも50%減らすことは十分に実現可能なレベルであるとしています。
また、国際水管理研究所(IWMI)のコリン・チャーターズ所長によると、「40年のうちに地球には人口に見合うだけの水がなくなり、そのころには現在の食糧危機が永続的な危機となる」そうです。
さらに、これらの事情によって食料価格がさらに高騰すると見込まれており、国際食糧政策研究所リサーチフェローのマーク・コーエン博士は以下のような予想をしています。
また過去の食糧価格高騰では、収穫シーズンが2~3回も巡れば供給が追いついて自然と価格が下がった。だが、もはやそれは期待できない。なぜなら、一つの作物に食糧、飼料、燃料という需要が集まって取り合いをしているからだ。草や木材を利用する繊維素のバイオ燃料研究が進まなければ、解決はない。それまで、これ以上の高騰はないかもしれないが、価格が下がることもないだろう。
この先、食料自給率が低いとされている日本の場合、お金をいくら払っても食料を輸入できなくなる時代がやってくるのかもしれません……。
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