Wikipediaを閉鎖させないために必要な金額はいくらなのか?


Lift07というイベントにゲストスピーカーとして招待されたWikipediaを運営する非営利団体ウィキメディア財団理事長フロランス・デヴォアールから衝撃的な発表が行われた。それは、このまま寄付が順調に伸びなかった場合、あと3ヶ月から4ヶ月以内にWikipediaは資金不足からサーバが維持できなくなり、閉鎖するかもしれない、というもの。つまり、Wikipediaがネット上から消滅する可能性がある、と。

しかし、Wikimediaのスポークスパーソンである広報担当のサンドラ・オードネスによると、Wikipediaはすぐに閉鎖するわけではないし、その前にさらに多くの資金調達の努力を可能な限り行うとのこと。

では、一体どれぐらいのコストがWikipediaの運営にはかかっているのかを見てみましょう。
まず、Wikipediaがこのままだと閉鎖するかもしれないというLift07というイベント(新技術が我々の社会にどういう影響を与えるかということについてのカンファレンス)におけるウィキメディア財団理事長フロランス・デヴォアールの言葉を伝えた海外の代表的なブログは以下の通り。

Wikipeda could shut within 3-4 months: Wikimedia

Via Digitalis >> From Lift07, an appeal for funds - A Lift07, un appel pour eviter la disparition de Wikipedia -

Wikipedia Next on the Auction Block?

Rough Type: Nicholas Carr's Blog: Wikipedia's cash crunch

広報担当による「今すぐ閉鎖というわけではない、まずはできる限りの努力をする」というコメントは以下から。つまり、文脈の問題でああいうように言っただけであって誤解をしないで欲しい、と。


Wikipedia: On the brink? Or crying wolf? | NetworkWorld.com Community

で、必要な資金というか、運営コストは以下の通り。

What we need the money for - Wikimedia Foundation

現段階では1ヶ月あたり約7万5000ドル(約911万円)がコストとして支払われているというわけです。しかしこの中にはどんどん増える転送量による課金額やサーバがこれ以上増えた場合のコストなどは含まれていません。というわけで、このままだとどれぐらい必要になるのかを試算してみましょう。

まずハードウェアについて。2007年6月までに約167万ドル(2億円)の資本支出(固定資産を事業に使用するために改造したり、性能を向上させたり、耐用年数を延長させるような追加支出。要するに設備投資のこと)が必要。内訳は今年の2月中に300台分で83万4000ドル、さらに6月に追加の300台で同じく83万4000ドルが必要という計算になっています。

次に帯域に課金される金額については、2007年6月には1ヶ月で6万2000ドルだった転送量課金が1ヶ月あたり10万ドルにまで到達する見込み。結果、予算としては2007年6月の時点で1ヶ月13万7000ドル(約1664万円)ほど計上する必要があるとのこと。これは成長率が不確定要素であり、実際のところどれぐらいオーバーするかが不明であるため。

サーバをホスティングする代金とその管理(オペレーション)については2007年6月には2万7000ドルを準備する必要があり、1ヶ月あたり3万8000ドル(約461万円)に。これに加えて、現在のサーバの増加速度だとラックの数は20個についてケージ4つ分で1900ドル、1つのセットアップごとに1350ドルが必要に。そして全部合計すると最終的には1ヶ月あたり17万5000ドル(約2125万円)に。

また、Wikipediaを運営する財団で雇用している人員に支払う費用が、いろいろなサーバが増えたり、組織の拡大によって1ヶ月で3万2000ドルから10万ドル(約1214万円)に。

最後に、Wikipediaを運営する上での特別な支出(Wikimania 2007やWikisummit 2007などのイベント開催に必要な資金)が30万ドル(約3644万円)……。

要するにいくら必要なのかというと、少なくとも3ヶ月で87万5000ドル(約1億円)を集めなくてはならず、6ヶ月では165万ドル(約2億円)を集めなくてはならない、と。

一応、寄付以外にもWikipediaのロゴなどが入った各種グッズが販売中です。

Store - Meta

寄付は以下から。

寄付 - Wikimedia Foundation

2006年度の会計監査の結果は以下に。

すべての人に知識の贈り物を - Wikimedia Foundation

確かにこれだけの金額が必要となると、多少広告を貼った程度では維持できませんね、たぶん。GoogleとYahoo!とマイクロソフトから資金援助を受けるとか、全世界のありとあらゆる大学から資金援助を受けるとか、何か根本的にこの増加するコストを解決する方策を採らないと、焼け石に水になりそうです……。

最後に、わかりやすく2006年度にどれぐらいのコストが必要だったかというグラフが以下にあります。

Image:WM-expenses-graph-2006.png - Meta

Image:WM-expenses-pie-2006.png - Meta

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in Posted by darkhorse

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