インタビュー

ITmedia Biz.ID編集部に行ってきました


泣く子も黙ってまた泣き始める大手IT系ニュースサイト「ITmedia」の新ジャンルである「ITmedia Biz.ID」編集部に行ってきました。

お仕事にお役立ちな情報を出すことで最近注目を浴びていますが、どういう経緯でこのようなちょっと異色のニュースサイトができあがったのでしょうか?そのあたりの事情含め、誰も知らない実態に迫ってきました。

そもそも他ニュースサイトからのインタビュー自体に応じてくれるのが非常に珍しいのではないかと。というわけで、ある意味貴重なインタビューです。編集系のお仕事に興味ある人も必見、そのあたりの実態にも迫っています。
◆見違えるようにキレイになったオフィス環境


以前のITmediaはネットランナー編集部などがあることで有名な赤坂だったのですが、お引っ越しして今は千代田区の国際ビルに移動していました。以前のITmedia編集部の惨状を知っている身としては、環境が激変してキレイになっていることにびっくり。ものすごくIT企業らしい雰囲気を醸し出しているじゃないですか。以前は良くも悪くも雑誌の編集部っぽかったのに…。

ITmedia Biz.ID編集部(以下Biz.IDと省略):
おお、インタビューの録音はGIGAZINEはノートパソコンでするんですね、外付けマイクなら確かにできますね、いいなー。うちもやったことあるんですけど、あとで録音聞いたらキーボードの音だけだった時があって、あの時は焦りましたねー。

GIGAZINE(以下Gと省略):
さすがITmedia Biz.ID編集部、インタビューのスタイル自体にも注目しているあたり、記者っぽいです。

Biz.ID:
いやいや~。(周囲を見回しながら)それにしてもすごくベンチャーっぽくなりましたよね。以前とは大違い。

G:
以前はネットランナー編集部と変わらないぐらいのレベルでしたよね?ほかのソフトバンク系IT関連雑誌編集部と同じ感じだったような…。

Biz.ID:
前はやっぱり、そんな感じでしたね。今のここはもう、見違えるようになりました。特に@ITの備品がカッコイイんですよ。一面ホワイトボードが貼ってあったり、とにかくいろいろなところでカッコイイ。それと、実はパーティションがちゃんと切れているところで仕事するのは初めてですね。ソフトバンク以外のDNAが入ってきたな、という感じです。
ただ、前よりは机の奥行きは多少狭くなりました。なので、CRTモニターは置けないです。代わりに液晶モニターになって近代的になりました。これはかなりウレシイ。
そういえばGIGAZINEも以前の記事で、最初の頃のすごいオフィスの写真が上がってましたが、あれは本当なんですか?

G:
本当です(笑) 何の冗談なんですか、というレベルで読者の想像の閾値を突破していたために、これはコラージュだろ?と言われたりもしたのですが、リアルです。残念ながらIT系に限らず、大体のオンラインメディア系のニュースサイトの編集部ってそんなものすごくベンチャーっぽくこぎれいなところって少ないですよね。写真だと見映えする場合が多々ありますが(苦笑)

◆社会に影響を与えるメディアになりたい

G:
ITmedia全体というか、Biz.ID編集部自体では、どういう方向性を目指しているんでしょ?

Biz.ID:
メディア論として考えれば、ページビューが伸びるのはやはりうれしいので、たくさんの人に読んでもらえる記事にしていきたいです。開設してからビューの伸びも悪くないので、やはり社会的な影響力が欲しいですね。以前にどこかで聞いた話で、インターネットは暇な人の文化であって、暇な人が盛り上げる、働いている人は忙しいから見ていられない、と。だからニュースサイトとしては、そういう忙しい人にこそ読んで欲しいですね。そのためのITmedia Biz.IDという位置づけです。

G:
GIGAZINEも確かにそういう人が多く読んでいる感じがしますね。以前の負荷騒動の時にも書きましたが、とにかく昼の12時から13時ちょっと過ぎまでのアクセスがものすごく多い。ドメイン別に見ても会社からのアクセスがけっこう多い。働いているけれどもある程度目新しい情報とか、ためになる情報とか、話のネタになるものを求めている感じは受けますね。

Biz.ID:
実は今までのITmediaはバリバリ働くビジネスパーソン層は取りこぼしていた部分だったんです。今、ITmedia Biz.IDで取り上げているジャンルというのはその取りこぼした層をターゲットにしています。たとえば、マイクロソフトの各種オフィス関連ソフトの使い方について解説しようとすると、今までのITmediaのジャンル分けだと実はなかなかうまくできないんですね。これだ!とぴったりくる部分がない。このままではちょっとまずいだろう、ということで今までのITmediaのいわゆる「隙」を埋めるためにITmedia Biz.IDというのを立ち上げるに至ったわけです。
また、はてなブックマークのボタンを配置したり、いろいろと実験的な要素も入れてます。これはそういう要素を取り入れることで今までとは違った層の人たちに読んで欲しいという意図があるためです。いろいろな人たちに読まれて欲しいですね。

G:
今までやったことのないジャンルの開拓ということは、まさにイバラの道ですね。オレ達の前に道はない、オレ達の通った後に道ができる、という感じを受けます。

◆ITmedia Biz.IDの運営体制

・編集部の様子


・大体スタッフは全部で何人いるのか
内訳は非公開です。基本的に記者は記名記事ですので、数えてみてください。これはよく勘違いされるのですが、そんなにたくさんはいません。テレビ番組とかに出てくるいわゆる「編集部」像というのは、新聞とかの大規模なものをモデルにしているのでたくさん人がいるのですが、実際にあんなに大勢の編集部員を抱えているのは、IT系のニュースサイトだとほとんどないと思います。

・1日のおおまかな一般的スケジュール
【ITmedia Biz.ID編集長の多忙な1日】
10時~ 文具メーカー 取材@都内
11時~ 動画系教育コンテンツ提供企業と打ち合わせ
13時~ ファイナンス系コンテンツ企業と打ち合わせ
15時~ Web2.0系企業インタビュー
17時~ 採用面接
19時~ 採用面接
23時~ 帰宅

【ITmedia Biz.ID編集スタッフのふつーの1日】
10時~ 自宅で記事の掲載作業
11時~ 出社。メールをチェック
    3分LifeHackingや各種連載モノの校正・掲載作業
13時~ 取材(達人の仕事術、記者発表にも行きます)
15時~ ちょっと遅めの昼食。最近は辛いカップラーメンにハマる(※GIGAZINEの「食」ジャンルを読んでいるため)
16時~ 記事作成。できれば翌日分も用意したい(苦笑)
23時~ 帰宅

Biz.ID編集部は基本的に出勤はフレックスで、ミーティングがなければオフィスへの出社も必須ではなかったりします。自宅からも作業が可能で、編集部スタッフのコミュニケーションも、
・インスタントメッセンジャー (MSN +α)
・メーリングリスト
・グループウェア(Ariel)
などで行っています。

・昼食などはどうしているのか?
外食70%、食べない20%、コンビニ弁当10%
(ある編集部員の典型的な昼食はコンビニ弁当40%、カップラーメン40%、外食20%ぐらいです)
時間がいつも違うので、そのときどきで変わります。編集長はミーティングに忙殺されて食べないというか、食べられない場合が多いです。とてもかわいそうです。

・編集部の自慢
LifeHack、GTDを専門に扱う唯一のWebサイトです。デジタルグッズ、サービスを仕事にどう活用していくか、次々と現れる最新のグッズやサービスを速攻で紹介していきます。

会社自体の特徴は以下の通り。
・地下1階から有楽町線の入り口があってそのまま雨に濡れないで出社可能。ビックカメラに行くにも雨に濡れない。全部地下でつながっているわけです。
・全部地下で移動できるため、傘を忘れがちでもあります。何度となく忘れる。
・なぜかマッサージチェアが置いてある(オムロン製)


・会議室のほとんどに、壁備え付けのホワイトボードが置いてある


・会議室は、十二支の各方位の名前が付けられている(子、寅など)。ただ、数字の方がわかりやすいとは思うのですが…。


十二支のコンセプトは「SPEED」です。「SPEED」→「時」→「十二支」というわけです。年、月、日、時間など古来より「時」を示す「干支」を方位などの要素と掛け合わせてオフィス上に展開しました。

・また、同じビルの3階下に、取材対象の企業などが入っているため。対象企業では「エレベータでは私語をつつしむように!」という厳命があったとか、なかったとか。

・記事作成や取材で苦労したエピソードや伝説のエピソード
取材先の方が記事にできないようなことを話してくださったとき。しかもそれで取材時間の大半をすごしてしまったとき。

・こんな読者の方に読んでもらいたいという想定している読者層
オレは仕事法を、こんなに工夫しているぜ!という方に、さらに仕事法を工夫するためのヒントをITmedia Biz.IDは提供していきます。インターネットとパソコンを普通に使っているビジネスマン、ディバイドのこっち側にいるような人たちを狙っています。ニュースサイトというと、どちらかといえば「上の方の人たち」を相手にすることが多いわけですが、それ以外の人たちもいるわけです。例えば20代後半の人たちで転職して今からがんばるという人もいるわけです。そういう人たちががんばるための仕組みみたいなのを見せてあげたい。やはり職業柄、先端部にいる読者をを狙いたくなるのですが、そういう人たちは情報を自分で取ってくる傾向が強い。だから、自分で取ってくることがまだできないけど、そういう上を目指すことに興味のある人に読んでもらいたいです。こんなことができるんだ、という提案をしていきたいですね。

・サイト閲覧のコツ
記事を開くと、タイトルの下に「トラックバック」「ブログに書く」「はてなブックマーク」などのボタンが並んでいます。これらを使うと、記事を読むだけでなく、読んだあとの情報発信が簡単に行えます。

・こんなシステムで運営してます
サーバOSや台数などの構成は残念ながら非公開です。ただ、ITmediaが動き出してから一度も落ちたことはないはず。そういうシステムで動いています。

・今後の方針
コンテンツとしては、Webサービスの使い方/解説や、文房具、プリンタ、スキャナなどのコンテンツ強化していきます。文房具というのは変わっているとは思いますが、こだわる人はこだわるわけです。ある意味、文房具というのはロングテールの商品だからです。また、他社のサービスとの連携も含め、これまでのWeb媒体の常識を打ち破っていきます。自前で開発するよりも他社サービスで既にある程度できあがっているところのものと協力してやっていく方がいいと考えています。また、Biz.IDへのご要望がありましたら、できる限り実現していきますので、どしどしお寄せ頂ければと思います。

◆ニュースサイトの本質は「中に人がいる自動販売機」

Biz.ID:
しかしこうやって見てみると、本当にニュースサイト全般に言えるのですが、ものすごくハードワークですよね。おそらく一般の方の想像以上に。

G:
出版系の中でもIT系雑誌は斜陽なので将来性が薄いみたいに言われていますが、それでも仕事のきつさで言うとニュース系サイトよりもたぶん楽な面が多いはずです。とりあえず編集に憧れている人がいるなら、まずは雑誌系の編集を経験した方がいいとは思いますね。発行日を中心とした校了、取材、企画みたいな1ヶ月単位の流れというか、リズムがあるので。休めるときは休めますしね。

Biz.ID:
基本、IT系ニュースサイトは毎日更新し続けるので、休む暇はないし、ストックしておいたネタがどんどんなくなってくるし、忙しくても取材とかいろいろあるので大変です…。鬼か悪魔のような編集長に「よーし、次、取材行ってこ~い」とか忙しい最中に言われるわけですから、泣きそうです(苦笑)

G:
こういう編集系の仕事をしたい人がいるのであれば言っておきますが、自信を持ってオススメできない職種ではありますね…。来たらしんじゃう!という感じで、ついでに家庭も崩壊するぞ!と。

Biz.ID:
仕事は確かにたいへんですけど、急成長中のオンライン媒体っていうのはやりがいがありますよー。GIGAZINEもそうだと思いますが、ページビューが日々増えていくのを見るのは我が子の成長を見守るようで、楽しいものです。来年も新しい媒体を作っていく予定なので、一緒に苦労したい人、募集中! ってとこでしょうか。

G:
我が子といっても実際の子どもと違ってずっと面倒を見続けて行かなくてはならないのでその点は大変ですよね…。

Biz.ID:
確かに日々終わらない感じがしますね…。

G:
普通の読者から見ると、ニュースサイト編集部というのは無限の人的リソースと潤沢な資金を持っている、みたいなイメージがありますが、実際には「自動販売機に見えるけど、その中には本当に人が入っている」という感じですよね。

Biz.ID:
まさにそんな感じですね。1つの記事を作るのも大変です。

G:
あと、何かありますかね?

Biz.ID:
そうですね…逆にGIGAZINEの今回のインタビュー記事に誘発されて、読者の方からこういうネタやってほしいとか、こういうネタ知ってるけどどうかな?とか、ITmedia Biz.ID編集部に教えて欲しいです。取材しに行きますので!GIGAZINEのインタビューに応じるぐらいなので柔軟に応じます!

G:
というわけで、イバラの道を突き進むITmedia Biz.ID編集部からお送りしました~。


次回、「livedoorコンピューターに行ってきました」…乞うご期待。

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in インタビュー, Posted by darkhorse_log

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