サイエンス

データ表示に円グラフを使うのは避けるべきという主張、その理由とは?


全体における割合を示す時、円グラフがよく用いられます。しかし、クイーンズランド技術大学の統計学者であるアドリアン・バーネット教授と研究員のヴィクター・オグオマ氏は「データの表示には円グラフを使うべきではない」と主張し、その理由を解説しています。

Here's why you should (almost) never use a pie chart for your data
https://theconversation.com/heres-why-you-should-almost-never-use-a-pie-chart-for-your-data-214576

円グラフは、円を扇形に分割し、その中心角で割合を示すグラフです。完全な円(360度)が100%で、180度であれば50%、36度であれば10%になります。日本の義務教育だと円グラフの読み方は小学5年生の時に習うので、ほとんどの人が円グラフを読むことができるはず。

例えば、以下はオーストラリアの主要政党である労働党(Labor)と、自由党と国民党の保守連合(Coalition)の支持率を示した円グラフ。円グラフを見ると、労働党の支持率がやや上回っているものの、接戦であることが一目でわかります。


しかし、カテゴリが3つ以上になると、円グラフの割合の大小が一目ではわかりにくくなります。例えば以下の3つの円グラフは5カテゴリを表示したものですが、各カテゴリの大小はぱっと見ただけではわかりません。もし円グラフの数字と角度が対応していない場合、見た人は間違ったデータを信用してしまう危険性があります。


さらに大量のカテゴリを表示する場合も、どの扇形が何のカテゴリを示しているのかを表示できず、円グラフはうまく機能しません。また、たくさんの色で扇形を分けると、色覚障害を持つ人には判別が難しくなります。


円グラフを3次元に表示したり斜めから見下ろすように表示したりするといった工夫もありますが、斜めになることで角度が変わって見えるため、正しくデータを表示しているとはいえません。


バーネット教授らは「統計学者は何十年にもわたって円グラフを批判してきましたが、『円グラフがそれほど悪いなら、なぜ円グラフがこれほど多く使われているのか』という理屈に反論するのは困難です」と述べています。

円グラフの代わりに使うべきグラフとして、バーネット教授らは棒グラフを使うことを提案しています。棒グラフであれば、カテゴリのわずかな大小も棒の長さで比較できるので、円グラフよりもずっとわかりやすくなります。


ただし、棒グラフでも3D表示にしない方がいい、とバーネット教授ら。実際に1992年のアメリカ大統領選挙の有権者数を世帯収入ごとにわけた棒グラフが以下。左の2D版は非常に見やすいですが、右の3D版は棒グラフの長さと縦軸の目盛りが合わず、数字を読み解くのが難しくなっています。


バーネット教授らは「円グラフを見るたびに、私たちは2つの可能性を考えます。1つはグラフの作成者は自分たちが何をしているのか分かっていない可能性、もう1つは自分たちが何をしているのか分かっていて意図的に誤解を与えようとしている可能性です」と述べています。

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in サイエンス, Posted by log1i_yk

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