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効果なしと論じられたフェニレフリンを含む風邪薬をドラッグストア大手が棚から自主撤去

by jtrummer

風邪薬の成分の1つであるフェニレフリンは、鼻づまりの効果があるといわれていました。しかし、フェニレフリンを経口投与すると効果がないということがこれまで多くの臨床試験や研究で示されており、2023年にアメリカ食品医薬品局(FDA)の諮問委員会がフェニレフリンの経口投与に効果はないと結論づけました。これを受けて、アメリカのドラッグストア大手であるCVSが店頭からフェニレフリンを含む経口風邪薬を撤去していると報じられています。

CVS to pull some cold, cough products with phenylephrine off shelves | Reuters
https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/cvs-health-remove-cold-medicine-with-phenylephrine-shelves-wsj-2023-10-19/


CVS ditches common cold meds after FDA advisers say they’re useless | Ars Technica
https://arstechnica.com/health/2023/10/cvs-ditches-useless-cold-meds-but-not-bogus-homeopathic-products/


フェニレフリンはアドレナリン作動薬の一種で、血管収縮薬として使われています。薬の中には経口投与だと体内の酵素の働きによって不活性化してしまうものがありますが、フェニレフリンはその影響を受けず作用すると考えられていました。しかし、2023年9月にFDAの諮問委員会が「フェニレフリンの経口投与には鼻づまりの治療効果がない」と全会一致で結論づけました。

市販の風邪薬や抗アレルギー薬に使われる抗鼻炎成分について「経口摂取では効果なし」とアメリカ食品医薬品局の諮問委員会が判断 - GIGAZINE


記事作成時点でFDAはまだフェニレフリンを有効成分リストから削除していませんが、FDAの諮問委員会が経口投与したフェニレフリンの治療効果を否定したことで、将来的にフェニレフリンを含む風邪薬の承認を取り消す可能性は高いと考えられます。

こうした動きを受けて、アメリカのドラッグストア大手であるCVSは、2023年10月に一部の風邪薬やインフルエンザ薬を自主的に棚から撤去していることを明らかにしました。

by Mike Mozart

CVSは「フェニレフリンを唯一の有効成分とする少数の経口充血除去剤をCVSの店頭から撤去しますが、消費者のニーズを満たすために他の充血除去剤や風邪薬の提供は継続します」と述べています。CVSの広報担当者は、IT系ニュースサイトのArs Technicaに対して「FDAの諮問委員会による決定が変更のきっかけとなりました。私たちはFDAの指示に従うつもりです」とコメントしました。

CVSと競合する薬局チェーンであるウォルグリーンは、「私たちはFDAの規制に従っており、状況を見守っているところです」とコメントしています。

フェニレフリンが1976年にFDAによって承認されたきっかけになった研究には重大な欠陥があることがわかっており、2015年に発表された臨床試験結果でも効果がないであろうことが示されていました。また、その後の薬理学的研究により、フェニレフリンは腸内で代謝されてしまい、生物学的に利用可能な活性薬剤は1%未満しか残らないことがわかりました。そのため、Ars Technicaは「薬局の棚からフェニレフリンを含む製品が排除されるということは、研究者と消費者の両方にとって長年待ち望んでいた勝利です」と評価しています。

by Mike Mozart

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in メモ,   サイエンス, Posted by log1i_yk

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