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人類を幾度となく襲ってきた「パンデミック」の歴史


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを受けて、ついに2020年4月8日に日本でも緊急事態宣言が発令されました。COVID-19のパンデミックは世界中を揺るがしていますが、パンデミックが発生するのはこれが初めてではなく、長い歴史の中で人類は何度もパンデミックに襲われています。医学歴史家でジャーナリストのマーク・ホニフスバウム氏が、人類史におけるウイルス感染とパンデミックについてムービーで解説しています。

How pandemics spread - YouTube


運輸・物流技術の発展によって、世界は急速にグローバル化しています。それに伴い、人だけではなくウイルスも数時間のうちに世界中に運ばれるようになりました。


狩猟採集社会だった時代、人は同じ場所にとどまることなく、小さなコミュニティを形成して生活していました。そのため、感染症の流行は現代ほど続きませんでした。


しかし、およそ1万年前に人は農耕を行うようになり、家畜と共に暮らすようになりました。これによって、人と動物の間で細菌やウイルスの感染が進みました。


2010年に発生したハイチ地震では何千人もの人が仮設キャンプに住むことを余儀なくされました。数週間で仮設キャンプはコレラ菌の温床となり、不衛生な環境も相まってハイチ全土に流行することとなりました。


このように、細菌やウイルスの感染はあっという間に拡大します。特に世界規模で猛威を振るうのが、はしかウイルスやインフルエンザウイルス、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)などで、こうしたウイルスの感染が世界規模に拡大すると「パンデミック」と呼ばれます。


病原体には感染者の組織や骨に痕跡を残すものがあり、抽出されたDNAから特定されることもあります。例えば、古代エジプトのミイラから結核菌のDNAが検出されたこともあったそうで、人類は古来から目に見えないウイルスによって脅かされてきました。


2011年、イギリスのロンドンにあるペスト患者の埋葬地を研究していた科学者チームは、遺骨から14世紀に流行した黒死病(ペスト)の病原体であるペスト菌を回収し、そのゲノムを再構築して解読しました。


研究データによれば、1340年に中国で流行したペストが、シルクロードを通る貿易商人によって運ばれることでモンゴル帝国を経由してクリミア半島に伝わったとのこと。その後、1347年にペスト菌は地中海まで感染を拡大。


そして、1400年までにヨーロッパで3400万人以上の人が亡くなりました。


そんなペストをしのぐほど感染性が高いのがインフルエンザウイルスで、世界中で毎年流行しています。


また、インフルエンザウイルスは変異しやすく、豚や鳥といった家畜から人に感染するものもあります。


インフルエンザウイルスのパンデミックは、過去に少なくとも6回も起こっていますが……


その中でも特に死者が多かったといわれるのが1918年に起こったインフルエンザウイルスのパンデミックで、「スペインかぜ」という俗称で呼ばれます。


スペインかぜは、第一次世界大戦中にフランス北部に渡ったアメリカ軍の兵士が寒気や頭痛、発熱を訴えたことから始まりました。


1918年9月にはアメリカのボストン近郊にある兵舎で兵士が次々と倒れて診療所に運ばれたとのこと。


当時の記録によれば、倒れた兵士の頬には2時間ほどで赤褐色の斑点が現れ、さらに数時間経つと耳から顔全体にかけてチアノーゼを起こし、呼吸困難に苦しんでなくなっていったそうです。


アメリカとフランスの間を移動する兵士たちは、船の中で鼻から血を流し、床は血の海になったとのこと。


そして、フランスから帰還したイギリス兵もインフルエンザウイルスをイギリスに持ち帰ってしまいました。


スペインかぜの勢いはすさまじく、1919年4月にパンデミックが収束するまでに、推定でアメリカで67万5000人、イギリスで23万人の死者が出たといわれています。また、インドでは1000万人以上が亡くなり、全世界での死者数は5000万人に達したともいわれています。


そして、飛行機で世界中の人が簡単に旅行できるようになったことで、ウイルスもあっという間に世界中にまん延するようになりました。その一例が、2003年に発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)の病原体であるSARSコロナウイルスです。なお、COVID-19の病原体である新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はこのSARSコロナウイルスの亜種といわれています。


2013年12月、SARSに感染した中国人医師が香港のホテルに宿泊。医師がチェックインしてから24時間以内に16人の宿泊客がSARSに感染し、そのうちの5人が数日後に国際便に乗ったことで、ベトナム、シンガポール、カナダにSARSコロナウイルスが感染拡大しました。


その後、香港-トロント間が渡航禁止となったため、パンデミックを避けることができたそうですが、それでも29カ国での感染が確認され、死者は1000人を超え、SARSの流行が収束するまで4カ月ほどかかったとのこと。


SARSの際はウイルスの拡大を迅速に抑えることができたといえますが、インターネットには陰謀論や風評被害が横行し、受けた経済被害は100億ドル(約1兆1000億円)にのぼるといわれています。


そして、この時もマスクが値上がりしました。


「『パンデミックは小規模の感染から始まり、やがて拡大するとその被害の深刻さは戦争や自然災害に匹敵する』と我々は歴史から学ぶことができます。今は昔と違い、大流行する前に被害を軽減する対応策が取れるのです」とホニフスバウム氏は2012年の時点で語っています。

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in 動画, Posted by log1i_yk

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