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ベーシックインカムの大規模実験を始めたYコンビネータのサム・アルトマンがベーシックインカムを語る


スタートアップ専門インキュベーターのYコンビネータを率いるサム・アルトマンCEOは、「ベーシックインカム」の可能性を高く評価しており、ベーシックインカムがどのように機能するのか、それとも機能しないのかを確かめるべく大規模な社会実験をスタートさせています。そんなアルトマン氏が、Spectacleのインタビューでベーシックインカムについて語っています。

The Great American Share | Spectacle Magazine
https://spectacle.com/001/sam-altman-interview-universal-basic-income/

アルトマン氏のベーシックインカム実験については、以下の記事を読めばよくわかります。

働かなくても生きていける「ベーシックインカム」の大規模な実験を「Yコンビネータ」が計画中 - GIGAZINE


アルトマン氏は、人間の潜在能力を解きはなったり、アメリカを世界で競争力ある地位にとどめるためには、すべての市民に住まい、食料、安全など生活に最低限必要なものを無条件に与えることがカギとなると考えています。アルトマン氏はスタートアップ専門のインキュベーターのYコンビネータのかじ取りをしていますが、Yコンビネータの仕事はある意味、ベーシックインカムに通じると考えているようです。つまり、起業家たちが自らの使命を果たせるようにサポートするうえで、条件をつけずに資金を一定期間提供することがありますが、これは最低限の資金援助によって人間の活動を支えるベーシックインカムと似ている側面があるというわけです。

By TechCrunch

Q:
アメリカ・オークランドでベーシックインカムの社会実験を行っていますね。

アルトマン:
依然としてパイロットプログラムです。想像以上に人々にお金を渡すことが難しいということが明らかになってきました。州や地方、中央政府などと連携して、実験に参加している人の社会保障が悪化しないように調整する必要があります。お金を渡すことで収入が増え食糧援助プログラムの適用外になるようなことを避けるためです。

Q:
どれくらいの規模ですか?

アルトマン:
数十世帯が1000ドル(約11万円)から2000ドル(約22万円)のお金を毎月受け取ります。

Q:
被験者はどうやって選んだのですか?

アルトマン:
ランダムです。コンピュータープログラムが彼らを選びました。

Q:
(お金を)受け入れなかった人は?

アルトマン:
私が知る限り、受け入れなかった人はいません。

Q:
被験者に会いましたか?

アルトマン:
誰とも会っていません。距離を置いています。私は明らかに「ベーシックインカムは良いアイデアだ」というバイアス(偏った考え)をもっているので、仮にベーシックインカムが悪いものだという結果が出ても受け入れられるように、結果にバイアスを与えたくないのです。

Q:
「ベーシックインカム」の実験で、探求している疑問は何ですか?

アルトマン:
私が関心があるのは、「どのようにして人間は潜在能力を最大限に引き出すのだろうか?」という疑問です。私は、リソース(資源)が信じられないほど不均等に分散していると感じます。世界中にいる私たちみんなのために素晴らしいことをできる人がたくさんいるのは明らかです。アートを作ったり起業したり。しかし、彼らはそれができません。50年後、人間が食べられないとか眠る場所がないという恐怖に突き動かされて、憎むべき上司のためにいやな仕事についたり、本当に望んではいないことをやらされているという未来は馬鹿げて見えるでしょう。

Yコンビネータは人がやるべきことを追求できるように手助けするためにベーシックインカムのようなものを提供する好例だと私は考えます。Yコンビネータからの"ベーシックインカム"を受けなければAirbnbやRedditはこの世に存在しなかったでしょう。私自身について振り返ってみると、Yコンビネータ・プログラムを通じて1万2000ドル(約130万円)が私の会社に投資されました。私たちは生きていくためにそのお金を使いました。サーバーを購入したり、プロジェクトを進めたり。しかし、その大部分は生きるためでした。多くの人がYコンビネータから資金を得ました。完全に失敗した人もいます。しかし、お金を与えられなければ決して始めることのできなかった企業を生み出した人もいます。

Q:
たしかにYコンビネータは素晴らしい手本です。ただ、誰にでもお金を渡すならば大半のお金が無駄になると多くの人が心配しています。

アルトマン:
たとえ百万人がお金を浪費したとしても、その中の一人がAppleを作るならOKです。

By mac_filko

ロボットが登場したら多くの職を変え、雇用を失わせたりしますが、「商品やサービスのコストは下がる」ということを人々は忘れています。

多くの人が目的を持たないと感じ、失業率が4%だと不幸せに過ごします。伝統的な職業が、これらの解決になるとは思いません。仕事の定義は常に変化します。過去100年間でテクノロジーが雇用を失わせるペースは一貫しており、75年ごとに約50%の職が変化をしています。今、私たちが「仕事」と呼んでいることを、数千年前の自給的な暮らしをしていた人はきっと笑うでしょう。

Q:
幸せとは何かという定義は変わりつづけていると思います。結婚や人間関係に関する定義もそう見えます。

アルトマン:
たしかにそうです。郊外に建てられるMcMansionは、たいていの場合、人を幸せにしないことが明らかになりました。もちろんそれを好む人がいるのは知っていますが。


人間は他人よりも優れていたいという欲求が強いので、いろんな方法で「ゲーム」に勝とうとします。私たちは、父やその友達がMcMansionを欲しがるのを馬鹿げていると思います。彼らはFacebookの写真にどれだけ「いいね」がつくのか気にするのを馬鹿げていると思います。学者はウォール街のトレーダーが金儲けをするのを馬鹿げていると感じ、ウォール街のトレーダーは学者が論文の引用数を競うのを馬鹿げていると感じます。人は競争し差別化できるものを見つけます。それはすべて同じゲームである必要はないのです。

Q:
ベーシックインカムは、より良い社会のために必要性を理解しておくべき「権利」のようなものものです。

アルトマン:
人間は保守的で、既知のものを好み、大きな変化を恐れるものなので、社会的な契約の大きな変化を実現するのは本当に難しい。権利を求める戦いは、振り返ってみるといつの時代も明らかですが、探し求めているときは本当に難しいものなのです。

Q:
一度受け取ると「これなしでどうやって生きていたの?」と言い始めるでしょう。

アルトマン:
「(この権利を)絶対に私から取り去ることはできないぞ」とね。

Q:
もっと小さな変化から起こり始まらないでしょうか?都市レベルである必要はなく、田舎で始めるとか。

アルトマン:
たしかに。私は徐々に始まると思います。私たちがやっているような形で。子どもたちはベーシックインカムを理解します。子どもたちが、「どうしてホームレスの人は寝床がないの?十分な食べ物がないの?」と両親に尋ねますが、これは根本的に間違いのように思えます。私たちはある点で教わらなかった世代です。しかし、世代の移行がここで起こっていると私は考えます。それは大きな戦いになるでしょう。怒り狂う人もいるでしょう。アメリカの終わりのようにののしる人もいるでしょう。


Q:
人はアメリカが始まって以来、アメリカの終わりについて話してきました。

アルトマン:
何か失われたような感覚があるのだと思います。私たちは「アメリカの世紀」の終わりの子どもたちなのです。アメリカは永久に世界を支配するのだという信念を持つ文化で育ちました。このことでアメリカの例外主義と楽観主義が生まれました。今、成長して大人になってみると、それは明らかに真実ではない。大きな考え方の変化があります。ほとんどの20代の若者が「自分たちの暮らしは親世代のものより悪い」と考えているという事実は、考えの大きな転換です。これはかなり違った新しい考えで、かなり悪いものだと私は考えます。

Q:
しかし、その考え方は私たちが「より良いもの」だと定義するやり方にも依存しますね。

アルトマン:
まったくそうです。つまり、問題を解決する方法とは、「常に再構築すること」なのです。

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