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作業ロボットが導入されるAmazonのフルフィルメントセンターでは人間の新しい仕事が生まれている


2012年に倉庫を自動化するロボット開発企業の「Kiva Systems」を買収したAmazonはそれ以来、それまでは人間が行っていた倉庫作業の多くをロボットに任せるようになってきています。さもすれば「ロボットによって人間の仕事が奪われる」というケースの典型例になるかと思われた自動化の波ですが、実は人間が行う新しい仕事が生まれて両者が「共存」する環境も生まれてきているようです。

As Amazon Pushes Forward With Robots, Workers Find New Roles - The New York Times
https://www.nytimes.com/2017/09/10/technology/amazon-robots-workers.html

2012年ごろからAmazonが取り組みを進めてきた倉庫内の自動化は徐々に結果を残し始め、商品の運搬に関わる作業の多くがロボットによって担われることが多くなっているとのこと。アメリカ・ニュージャージーのAmazonフルフィルメントセンターで働いている女性ニサ・スコットさんが2016年末に最初に任された仕事は、商品を入れた黄色いプラスチックのカゴをひたすら移動させることでしたが、2017年夏になるとその作業は1台のロボットアームによって担われることになりました。


それ以来、スコットさんの仕事は「ロボットのお守り」をすることに変わったとのこと。ロボットは自分でカゴを見つけ、アームの先端にあるキャッチでつかんで持ち上げて移動させますが、スコットさんはその作業が問題なく行われているかを確認することを求められています。従来はひたすらカゴの移動を行う毎日でしたが、ロボットがやってきてからは単純な「反復作業」から解放され、少しだけ変化の多い「仕事」に仕事の内容が変化しています。スコットさんはその変化について「私にとっては、最も考え方の変化を求められることでした。単純な作業の繰り返しじゃなくなるからです」と話しています。


世界最大のオンライン小売り業者となったAmazonは、「従来の仕事の在り方を破壊する」と受け止められることが多いのですが、実は非常に多くの雇用を生みだしていることは見落とされがちです。Amazonの倉庫で働く人の数は年々増え続けており、2017年夏の時点ではアメリカのフルフィルメントセンターだけで12万5000人以上が働いています。そして注目すべきは、ロボットの導入が始まった2012年ごろ以降で雇用者数が8万人も増加している点にあります。また、Amazonはアメリカ国内に第2本社となる「HQ2」を2018年にも稼働開始予定で、5万人規模の新しい雇用を生みだすことになる予定ともなっています。

Amazonがアメリカ国内に「第2本社」を設立予定、複数の100万人都市からの立候補を受付中 - GIGAZINE


かつてAmazonの倉庫で働く人の仕事といえば、膨大な量の商品を在庫する広大な倉庫の中を、コンピューターが決めたルートにしたがって歩き回りながら商品を「ピッキング」して集めて梱包ステーションに届ける、というものでしたが、今やこの作業を行っているところはほとんど存在しない模様。倉庫内の商品がコンピューターによって管理されることに違いはありませんが、在庫倉庫に置かれていた商品はまず以下のように小さく仕切られたボックスの中に集められ……


そのボックスをのせたロボットが倉庫内を走り回って人間が待ち構える「ピッキングステーション」に商品を運び、そこで人の手によって必要な商品が集められるという仕組みへと変化しています。ロボット化が進んだ倉庫では、単純作業はロボットが行い、人間のほうが得意な商品のピッキングは人間に任される、という住み分けが行われている模様。


このようにして集められた商品は、倉庫内を結んだルートを駆け巡り、最後に梱包されてトラックに載せられて購入者の元へと出荷されていきます。ロボット化が進むことで倉庫から人がいなくなるのでは、と心配する声も以前は聞かれましたが、ひとまず現時点ではその心配は杞憂に終わっていると言えそう。むしろ、Amazonが提供している「即日配送サービス」はロボットと人の存在が欠かせない状況ともなっており、Amazon倉庫の自動化を担当するデイヴ・クラーク氏は、「人がいなくなるということはありません」と語ります。


しかし、今後も全く同じ状況が続く保証がどこにもないのは、Amazonに限らずどこでも同じことが言えます。ロボットによるオートメーションに注目する作家のマーティン・フォード氏は「私は今後、徐々に人の仕事がロボットに置き換えられると予測しています。一夜にして人間の雇用が消え去るようなことはありませんが、今のAmazonの雇用ペースが減速を始めた時、そのサインが現れたと言えるでしょう」と、今後の変化に注目する旨を語っています。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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