ハードウェア

Amazonが触覚を持つ倉庫用ロボット「Vulcan」を発表


Amazonが、触れた商品の一部を「感じる」ことができる新型倉庫ロボット「Vulcan」を開発したと発表しました。Vulcanは2本腕のロボットで、物体との接触を力覚センサーで検知しながら、片方の腕で倉庫内の商品を並び替え、もう片方の腕で商品をチェックしながらつかむことが可能です。

Introducing Vulcan: Amazon's first robot with a sense of touch
https://www.aboutamazon.com/news/operations/amazon-vulcan-robot-pick-stow-touch

Amazon debuts a warehouse robot with a sense of 'touch' | TechCrunch
https://techcrunch.com/2025/05/07/amazon-debuts-a-warehouse-robot-with-a-sense-of-touch/

Amazonはドイツで開催される技術展示会で、Vulcanを発表しました。Amazonはこれまで物を持ち上げるロボットを複数開発していますが、このVulcanは物体との接触を検知できる機能を搭載しているのが大きな特徴です。


Amazonは「コインを投げた時、聴覚はコインがどの方向に跳ねたか、視覚はコインの位置を正確に把握するのに役立ちます。そして、地面から手に取るという最後の重要な動作では触覚に頼り、指を組むタイミングやポケットに投げ込むタイミングを正確に判断しているのです」と述べています。

VulcanがAmazonの倉庫で実際に動作する様子は以下のムービーから見ることができます。

Meet The New Amazon Robot That Can Feel What It Touches - YouTube


Amazonのフルフィルメントセンターでは、ロボットに載って運ばれる棚に在庫を保管することで効率を最大限に高めています。棚は細かく分割されており、各区画には平均10個の商品を収納可能。しかし、棚の1区画から在庫を取り出したり新たな在庫を収納したりする作業は、これまでロボットには困難とされていました。


Vulcanは物体に接触するタイミング、そしてどれぐらいの力を加えているかを把握することが可能なので、商品を損傷することなく取り扱うことが可能。そのため、狭い棚に在庫商品を出し入れすることが可能になっているというわけです。


これがVulcanの腕のうち、商品をつかんで棚に出し入れするためのもの。大きなクリップのような形状をしたハンドでつかみ、内側にあるベルトコンベアで商品を押し込んだり引き寄せたりできます。また、クリップでつかむのではなく吸盤による吸引で商品をグリップできるタイプもあるそうです。


Vulcanが片方の腕で、棚に取り付けられているロープ製の仕切りを持ち上げます。クリップ状の腕が商品をつかみ、スタンバイ。実はこのVulcanの腕にはカメラが取り付けられており、事前に棚の中をチェックしながら、補充するべき商品とそれを補充できる場所を特定しています。


クリップ状の腕からプレートのような部品が飛び出し、棚の中にある商品を動かします。


できた隙間に、つかんでいる在庫商品を補充。プレートとクリップに力感センサーが搭載されているので、商品を傷つけることなく的確に棚へ在庫を補充できるというわけです。


VulcanはAmazonで取り扱われている商品100万点のうち、最大75%を処理できるようになるとのこと。商品をつかむときの力加減はAIによって決定されます。


高い棚の上部での在庫管理は、これまで人間の従業員がはしごを使って取り扱っていたとのことで、「人間工学的に不適切で非効率的な作業に時間を費やしているという認識から、Vulcanの開発は始まりました」とAmazonは述べています。


Amazonによれば、Vulcanはヨーロッパとアメリカの各フルフィルメントセンターに段階的に展開される予定とのことです。

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in ハードウェア,   動画, Posted by log1i_yk

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