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第5世代iPadをバラバラに分解、初代iPad Airとの違いはどこか?


2017年3月21日、Appleは真っ赤な新色iPhone「(PRODUCT)RED Special Edition」などと併せて第5世代となる「iPad」を登場させ、3月25日からの予約受け付け開始・翌週からの出荷という予定を発表しました。新しいiPadは1つ前のモデルとなるiPad Air 2よりもわずかに本体が厚くなるのですが、これは初代「iPad Air」と同じ寸法の本体となっているため。そんな新型iPadを、さっそくiFixitがバラバラに分解し、初代iPad Airとの比較を実施しています。

iPad 5 Teardown - iFixit
https://www.ifixit.com/Teardown/iPad+5+Teardown/85098

これが新しいiPad(以下文中では「iPad 5」)。新型とはいえ、これまでのiPadシリーズと共通のデザインテイストで、特にiPad Airとの違いはホームボタンが指紋認証可能なTouchIDに変更されているところ以外は見当たらず。ただしよく見ると、iPad Airではベゼル周囲の仕上げがピカッと光るダイヤモンドカット仕上げだったのに対し、「iPad 5」ではマット仕上げとなっており、落ち着いたイメージをかもし出しているとのこと。


X線による内部写真はこんな感じ。従来のiPad同様、内部で最も容積をとっているのは2つの大きなバッテリーパックで、心臓部となるロジックボードはごく小さな基板に収められています。


背面に目をやると、「iPad 5」のモデル名は「A1822」であることがわかります。


「iPad 5」(上)とiPad Air(下)を重ねてみると、新旧の違いが浮き彫りに。iPad Airでは音量ボタンと並んで音声のミュートボタンが配置されていましたが、「iPad 5」ではこれが廃止されています。また、本体上部の中央部分にあるマイクとスピーカーの穴が、長穴から丸穴に変更されていることもわかります。


そしてここから分解のスタート。iFixitオリジナルのiOpener Fix Kitを駆使して全てのパーツをバラしていきます。まずは、前面ガラスパネルと本体を接着している接着剤を柔らかくするために本体を温め、吸盤でパネルを持ち上げてピックを差し込むことでゆっくりとパネルを外します。この時、力を加えすぎるとパネルのガラスが割れるので要注意。


ガラスパネルが外れたら、ディスプレイパネルを取り外します。iPad Air 2はガラスパネルとディスプレイパネルが一体型でしたが、「iPad 5」は初代iPad Air同様に別体となっているため、修理が容易であるとiFixitは記しています。


ピックを使って、バッテリーパックを傷つけないように分離させます。


ホームボタンの裏側には、TouchIDを搭載したことによる変化が見てとれます。TouchIDの動作を担うチップ「NXP 8461A1」が赤丸の部分に実装されています。


X線による内部写真には、チップをハンダ付けするための5×5のボール・グリッド・アレイがバッチリ写っています。


「iPad 5」のTouchIDボタンは文字どおりの「ボタン」で、iPhone 7世代で採用された感圧式のホームボタンではありません。そのため、X線写真で見ると、丸いTouchIDボタンの真下には機械式の接点が見えています。ちなみに、くし状に並んでいるのはLightning端子の配線とのこと。


ディスプレイパネルの裏側にはLCDタイミングコントローラーの「DP655」(赤枠)が実装されています。これは初代iPad Airと同じものが使用されているとのこと。


初代iPad Air(左)と「iPad 5」(右)を並べてみると、内部には大きな違いはないことがよくわかります。そんな中、ロジックボードの下にある銀色の四角いWi-Fiモジュールの大きさが、新しい「iPad 5」では小さくなっています。


初代iPad Airの内部


そして「iPad 5」の内部。どちらのモデルもバッテリー容量は32.9 Whで、これはiPad Air 2の27.9 Whに比べると大きなものとなっています。


ロジックボードに搭載されているのは、左からWi-Fiモジュールの「Apple/USI 339S0038 」(紫)、Apple製品の多くで使われているタッチコントローラーの「Broadcom BCM5976 」×2(黄)、USB充電制御用の「NXP 610A38 」(青)、Apple製「Apple 343S001441-A0」(黄緑・左)、そして「iPad 5」の心臓部である「Apple A9プロセッサ」+Samsung K3RG1G10BM-BGCH 2 GB LPDDR4 RAM (赤)、NFCコントローラーの「NXP 67V04」(水色)、32GBのNANDフラッシュストレージ「SK Hynix H23QEG8VG2ACR」(オレンジ)、そしてApple「338S1213」(黄緑・右)などとなっています。チップはiPad Proシリーズで用いられている「A9X」ではなく、iPhone 6sシリーズおよびiPhone SEに用いられている「A9」が使われていることからも、新しい「iPad 5」はハイエンド向けのモデルではないことが伺いしれます。


これで「iPad 5」の分解は完了。iFixitはこのモデルの分解しやすさを10段階評価で下から2番目の「2」と判定。かなり分解しにくいモデルと判定した理由についてiFixitは「ガラスパネルが全周にわたって接着されているので、外す時に割れやすい」「各パーツが大量の接着剤などで固定されているので取り外すことがそもそも難しい」「LCDディスプレイがガラスパネルに両面テープで固定されており、取り外し時に破損しやすい」「ホームボタンにはLCDディスプレイを取り外さないとアクセスできない」などの点を挙げています


なお、初代iPad Airとの共通点が多いということで、iFixitでは初代iPad Airのディスプレイをそのまま「iPad 5」に取り付けてみたところ、なんとほぼ完全に動作したとのこと。そんな様子を含む分解作業のムービーが併せて公開されています。

iPad 5 Teardown Review! - YouTube

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in ハードウェア,   動画, Posted by darkhorse_log

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