サイエンス

「週末だけの運動」も「毎日の運動」も体に与える影響はほぼ同じだということが判明

by Mateus Lunardi Dutra

過去に行われた研究から、週に150分の運動が健康な体を作って長生きにつながるということが判明していますが、忙しいとなかなか毎日運動することが難しいもの。しかし、2017年1月9日に発表された最新の研究によると、「150分の無理のない運動もしくは75分の高負荷運動」というWHOが推奨する運動量を週に1~2回まとめて行っても、1週間を通して毎日運動しているのと同じ効果を得られることが判明しました。

Association of Leisure Time Physical Activity With Risk for Mortality | Cardiology | JAMA Internal Medicine | The JAMA Network
http://jamanetwork.com/journals/jamainternalmedicine/fullarticle/2596007

‘Weekend Warrior’ Workouts are Beneficial as Just 20 Minutes of Exercise a Day
http://europe.newsweek.com/weekend-warrior-recommended-daily-exercise-workouts-20-minutes-540467

'Weekend warrior' workouts tied to longer life | Reuters
http://www.reuters.com/article/us-health-fitness-weekends-idUSKBN14T27R

調査を行ったのは、イギリス・ラフバラー大学の研究チーム。研究チームは、1994年から2012年の間にイギリスとスコットランドの健康調査に回答した平均59歳の男性・女性6万3591人を対象に調査を実施。調査では回答者を、平日は運動を行わず週末にまとめて推奨量分の運動をする「週末戦士のグループ」と「1週間をかけて推奨量分の運動するグループ」「週に2日以上は運動するが推奨量未満のグループ」「まったく運動をしないグループに分け、それぞれの回答内容と、調査中に死亡した8802人の死亡診断書に書かれた死因を比較しました。

調査の結果、「週末戦士のグループ」「1週間をかけて推奨量分の運動するグループ」「週に2日以上は運動するが推奨量未満のグループ」という3つのグループは、いずれも「まったく運動をしないグループ」と比べてがんや心疾患、早期の死を迎えるリスクが少ないという結果に。ここまでは当然と言えるのですが、加えて、「1週間をかけて推奨量分の運動するグループ」における病気や死を迎えるリスクが「週末戦士のグループ」「週に2日以上は運動するが推奨量未満のグループ」の結果とあまり変わらないということも判明しました。

by Carlos Newsome

具体的に言うと、「週末戦士のグループ」は全く運動しないグループと比べて全体的な死亡リスクが30%低く、心疾患については40%、がんに関連した疾患については18%も死亡リスクが低かったとのこと。一方で、「1週間をかけて推奨量分の運動をするグループ」は全体的な死亡率が35%低く、心疾患のリスクは41%、がん関連のリスクは21%低かったとのこと。また、「週に2日以上は運動するが推奨量未満のグループ」は心疾患のリスクが37%、がん関連のリスクが14%低く、「まったく運動しないグループ」に比べると、いずれのグループの疾患・死亡リスクは一様に低く、運動のペースや量でそこまで差は生まれませんでした。

ただし、今回の調査は回答者の90%が白人であったことや、データが「本人による回答」に依存していることなどから、全ての人に当てはまる完全に正しいデータとなっているとは言えません。「1時間の運動のうち20分はロッカールームでの準備だった」ということもありえるためです。また、今回の調査によって「運動と死亡・疾患リスクの間の関係」が示されましたが、「その理由」「どのような運動がよいのか」という点は、調査では明らかになっていません。運動によって幸福感がもたらされることはよく知られており、メンタル面への作用が大きいということも考えられます。

by Jeremy Thies

今回の調査結果を受けて、ジョージワシントン大学の研究者であるHannah Arem氏は「理想的な運動習慣は個々人の健康状態や何をゴールとするかによります」とコメント。一般的に示される運動の推奨量は、運動を行うタイミングやペースは関係なく、行う運動の激しさを考慮に入れた上での「総合量」について示すものだとArem氏は語っています。なお、Arem氏によると、推奨量に達するためには最低でも、毎日1.6kmを20分で歩くこと、45分間の自転車の運転を週に2日行うこと、無理のないペースでの35分間の水泳を週に2日行うこと、160m/分のランニングを45分毎週行うこと、などが必要とのことです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
「運動は健康にいいがダイエットに最適な方法ではない」という理由とは? - GIGAZINE

たった1分の激しい運動をエクササイズに組み込むことで運動時間を5分の1に短縮できることが判明 - GIGAZINE

24時間年中無休で運動不足ぼっち初心者でも習慣化に成功する「エニタイムフィットネス」まとめ体験レポ - GIGAZINE

脳に良いのは「軽い運動」と「激しい運動」のどちらか? - GIGAZINE

たった6秒激しく運動すれば健康を維持できることが明らかに - GIGAZINE

運動は13種類ものがん発症リスクを減少させる - GIGAZINE

座りすぎによる健康への影響は普通の運動では回復できていない - GIGAZINE

運動は老化を遅らせることができるのか? - GIGAZINE

in サイエンス, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.