デジタル著作権管理がプラットフォームにユーザーを縛り付けている、とフリーソフトウェア財団が主張
By ActuaLitté
フリーソフトウェア運動を行う非営利団体のフリーソフトウェア財団は、デジタルコンテンツの著作権を保護するための技術の総称「デジタル著作権管理(DRM)」について、著作権を保護するものではなくユーザーの権利を害することになっていると主張しています。
"DRM is Used to Lock in, Control and Spy on Users" - TorrentFreak
https://torrentfreak.com/drm-is-used-to-lock-in-control-and-spy-on-users-161108/
フリーソフトウェア財団はアメリカ政府に対して、DRMを回避するデジタルミレニアム著作権法(DMCA)の迂回禁止条項を廃止するように要求しています。また、フリーソフトウェア財団は、DRMは「著作権保護」という名のもとでユーザーの権利を妨害しているとも主張しています。
2015年、米国著作権局はDMCA法に関する協議を開始しました。その中で、DMCAの迂回禁止条項である合衆国法典第17巻1201条は、DRMで保護されたコンテンツやデバイスを改造することを公に禁止するための条項です。過去数か月にわたって、多くの人々がこの条項に関するコメントを発しており、著作権に関わる産業グループのほとんどはこの厳しい規制を維持することに賛成しているのですが、フリーソフトウェア財団のようなデジタル分野の権利を主張するようなグループから反対意見が噴出しているのが現状というわけ。
DMCAの迂回禁止条項に反対するグループのほとんどが、DRMは有益な部分よりも有害な部分が大きくなってきており、中には「純粋に邪悪な規制だ」と主張する人もいます。GNUやLinuxなどのソフトウェアの権利者であるフリーソフトウェア財団は、「技術的な保護手段やDRMは、著作権のあるモノに対して正当な役割を果たせていません」とコメント。つまりフリーソフトウェア財団は、著作権はあくまで口実でありその真の目的は「ユーザーを整理してコントロールする」所にこそあるとしており、コンテンツを生み出す企業はDRMを通すことで、ユーザーが簡単には他のプラットフォームに乗り換えられないように特定のサービスに縛り付けている、と主張しているわけです。
フリーソフトウェア財団は、「企業はDRMを使い、実際の著作権法とはほとんど関係ない方法で収入を最大限に引き出せるようにとユーザーを違法にコントロールしています。実際、DRMのような制限はユーザーが著作権法の下で本来持っているはずの『フェアユース』のような正当な権利を技術的に妨げるものに成り下がってしまっています」と、現行のDRMがいかに一般ユーザーに不利益となっているかを指摘しています。
By WOCinTech Chat
また、DRMはユーザーをコントロールするだけでなく、さまざまな個人データをテクノロジープロバイダに送信することで「スパイ」のような役割もになっているとのこと。「DRMにより、コンテンツを作り出した企業は(コンテンツを利用する)ユーザーをスパイできるようになりました。また、そうして得たユーザーの個人情報を利益に替えることもできます」「DRMは頻繁にインターネットへの接続を口実にしてユーザーに情報を入力することを求めます。そうして得たユーザー情報はプログラムによってDRMプロバイダーに送信されます」とフリーソフトウェア財団はコメントしています。
現行の著作権法の下でもDRMを迂回する方法はいくつかあるそうですが、フリーソフトウェア財団いわく「これは十分ではない」とのこと。そして、唯一の解決策は「DMCAの迂回禁止条項を完全に撤廃すること」とも述べます。いきなりDMCAの迂回禁止条項を完全に撤廃するというのは現実的ではないとしても、既存の規制を少しでも緩める必要性が出てきているとフリーソフトウェア財団は主張しています。
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