高速道路の追越車線をゆっくり走行することはスピード違反行為よりも有害
高速道路の追越車線をゆっくりと走行するドライバーを目にすることがありますが、このような行為は交通事故の原因となるため避けるべきであることが知られています。Voxが作成する以下のムービーを見れば、なぜ追越車線をゆっくり走るべきでないのかが一発で理解できます。なお、ムービーはアメリカの交通規制をベースに作成されているので、日本とは左レーン・右レーンの概念が逆であることには注意が必要です。
Why you shouldn’t drive slowly in the left lane - YouTube
世の中には2種類のドライバーがいます。一人は、左レーンをゆっくり走るドライバーにイライラする人。
Vox編集部だと彼のような人。
もう一人は左レーンをゆっくり走ることがまったく気にならない人。
私のような人です。
しかし、一般的に追い抜き用の「追越車線」という意味合いのある左レーンに速度の遅いドライバーが居座ると、後ろからきた速いドライバーの追い抜きで大きな支障が生じ得ます。
右レーンから追い抜けなかったあるドライバーが強引に路肩からの追い抜きを試みたところ……
追い抜こうとした自動車に接触。
さらには右レーンを走っていたトレーラーも巻き込んだ大事故になってしましました。
相対的に速度の遅いドライバーが左レーンにいると……
後ろからきた速いドライバーは、左レーンの遅いドライバーを追い抜くために右レーンに車線変更をして……
再び左レーンへ車線変更をする必要があります。
相対的にたった時速5マイル(時速約8キロメートル)遅いドライバーが左レーンにいるだけで……
先ほど見たような多重クラッシュが発生し得るのです。
最もよい交通スタイルは、「左レーンは追い越し用にのみ利用する」ということが分かっています。
速いドライバーは左レーンを走行すれば、事故につながる危険性の高いレーンチェンジは劇的に減ります。
さらに速いドライバーが後ろから来た場合は、左レーンを走るドライバーは右レーンに車線変更をすれば……
万事解決。これが徹底されれば渋滞や事故が劇的に減ることが分かっています。
しかし、実際にどうなっているかというと、以下の映像の通り左レーンは混んでいて右レーンがガラガラという有り様です。
しばしば「左レーンは追い越しのためだけに利用しましょう」という注意がなされますが、ほとんど守られていません。
車線変更の危険性は実証されており、スピード超過走行の場合よりも高いことさえ分かっています。
相対的に時速5マイル(時速約8キロメートル)遅いドライバーは、時速5マイル速いドライバーよりも交通事故を引き起こす危険性が高いことも分かっています。
この事実をもとにして、アメリカの多くの州では左レーンをゆっくり走ることが禁止されています。
29州では周りよりも遅い速度で走行する自動車は右レーンを走行することが義務づけられています。
より厳しい11州では、左レーンは追い越しにのみ利用できると定められています。
これまではスピード違反ほどは注意されてこなかった左レーンのゆっくり走行は、近年、危険性ゆえに警察の取締対象となってきています。
ワシントン、テキサス、オハイオなどの州では、左レーンのゆっくり走行を取り締まる大々的なキャンペーンが行われています。
「あなたが停車を求められたのは、左レーンをゆっくりと走行していたからです」と、ドライバーに説明する警官。
他にも左レーンをゆっくり走るべきでないことを示すはっきりとした事実があります。
それはドイツのアウトバーン。
速度制限のないこの高速道路ですが……
事故発生率はアメリカのフリーフェイを下回ります。
この原因は、右レーンが走行車線で左レーンは追越車線というルールが守られているから。
交通事故を減らし、快適な交通環境を実現するために、多くのドライバーが走行車線と追越車線の意味をしっかりと理解し、ルールを守ることが求められています。
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