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ボルボが「自動運転車」であることを隠した状態の走行実験を実施へ、その目的は?


2020年ごろの実用化が目指されている自動運転車をめぐり、世界中の企業で開発が進められています。すでにGoogleは公道上での走行実験を始めているほか、2017年ごろからはさらに多くの企業が自動運転車を公道に投入して開発を始める予定となっているのですが、自動車メーカーのボルボがロンドンで2018年から開始する予定の公道実験では、自動運転車であることを全く表記しないシークレット状態で車両を走らせ、他のドライバーの反応の違いを調査することになっています。

First self-driving cars will be unmarked so that other drivers don’t try to bully them | Technology | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2016/oct/30/volvo-self-driving-car-autonomous

Driverless cars to be unmarked to stop motorists bullying them 
http://www.telegraph.co.uk/technology/2016/10/31/driverless-cars-to-be-unmarked-to-stop-motorists-bullying-them/

自動運転車の開発を進めているボルボは、2018年から100台の試験車両を交通量の多いロンドン市内に投入し、実際の環境での走行実験を開始する予定を立てています。同社の技術部門の責任者であるErik Coelingh氏によると、この計画の興味深いところは、外観からは自動運転車であることが全くわからない状態で実験が進められるところにあるとのことです。


これは、Googleが進めている自動運転車の走行実験のように、通常の自動車とは明らかに見た目が異なる車両が使われているのとは正反対の試みとなるのですが、その目的はなんと「一般ドライバーによる迷惑運転を避けるため」とのこと。これまでの実験からは、一部のドライバーは自動運転車が走っていることに気づくと、後ろから距離を詰めて煽り立てたり、追い越しざまに急な車線変更を行うなどして自動運転車に不要な負荷を与えてくることが多かったそうです。

Coelingh氏はこの取り組みについて「外観からは自動運転車であることが全くわかりません。純粋な科学的な見地から言えば、自動運転車であることがわかる車両と、そうであることを隠した車両を走らせ、他のドライバーの反応の違いを検証するのは興味深いことになるでしょう。私は間違いなく、自動運転車であることが書かれている場合は他のドライバーによる急ブレーキや急ハンドルに遭遇すると考えています」と語っています。

By Craig Sunter

2018年から始まるボルボの実験では、100人のボランティアスタッフが4輪駆動車に乗って自動運転の公道走行実験を実施する予定とのこと。ボルボでは、同社の車両に関連する死亡事故や大けがの発生を2020年までにゼロにすることを目標に掲げており、自動運転車がその大きな役割を果たすと考えているとのこと。

基本的に自動運転車は道路法規に沿った運転を行うため、「流れ」に合わせて走りたいドライバーから邪魔者扱いされるというのはなんとなく納得のいく話。はたしてボルボの試みがどのような結果につながるのか、実験結果が気になります。

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in ハードウェア,   乗り物, Posted by darkhorse_log

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