テスラの自動運転「オートパイロット」で人命が救われる
テスラが販売しているEVに搭載される自動運転モード「オートパイロット」では、自動走行中に立て続けに交通事故が発生と報じられ、実際に死亡事故が発生していたこともあったのですが、今度はそのオートパイロットモードが人命を救うに至ったという事例が報じられています。
Self-driving Tesla SUV saves Branson man's life
http://www.ky3.com/content/news/Self-driving-Tesla-SUV-saves-the-day-389392262.html
「テスラ・モデルXのオートパイロットで命を救われた」と語っているのは、アメリカ・ミズーリ州に住むジョシュア・ニーリーさん。弁護士であるニーリーさんは勤務先から自宅に戻る道中で急病に襲われましたが、偶然にもオートパイロットモードがオンになっていたため、無事に生還することができたと話しています。
そんなニーリーさんがアクシデント発生時のことを語るムービーがこちら。
ニーリーさんは2016年7月にテスラの「モデルX」を購入しました。「これは究極のガジェットですね。今まで見た中で最もクールなテクノロジーだと思いましたし、ましてや自分で所有できるなんて思ってもいませんでした」と、命を救われたこともあってか相当お気に入りの様子。
モデルXを購入して数週間後、娘の誕生日に勤め先から高速道路「インターステート65号線」を通って帰宅している最中に、ニーリーさんの体に変調が訪れました。
「経験したことのない痛みに襲われました」とアクシデント発生時を振り返るニーリーさん。その時ニーリーさんの体に起こっていたのは、肺の血管に血の塊が詰まる肺塞栓症と呼ばれる症状でした。この病気は激しい痛みと呼吸困難を引き起こすもので、最悪の場合は命を落とす危険もある重大な病気です。
しかし、アクシデント発生時はオートパイロットモードがオンになっていました。このモードでは、目的地まで自動で操縦してくれると言うわけではありませんが、現在走っている道路からはみ出ないように走行を継続し、衝突の危険が生じた場合などには自動でブレーキをかけて停車するようになっています。
またドライバーが無意識の状態に陥ったことが推測される場合には、自動で路肩に停車する機能も備わっているとのこと。幸い、ニーリーさんは意識を保ったままでしたが、運転に集中できる状態ではなかったので、症状が落ち着くまでオートパイロットに運転を任せて高速道路を走行。その後、高速道路から数ブロックの場所にある救急病院まで自分で運転してなんとかたどり着くことができたとのこと。
ニーリーさんは、オートパイロットが自分の命を救ってくれたと語っています。もしもオートパイロットが使えなかった場合、とにかく路肩にクルマを停めて救急車の到着を待つほかなく、その間に症状が悪化して命を落としてしまっていた可能性もあります。さらに、自分で路肩にクルマを寄せられたかどうかも定かではなく、最悪の状況だと中央分離帯や道路脇、またはほかの自動車に衝突して「原因不明の事故死」ということになっていた可能性すらあったというわけです。
その後、ニーリーさんは医師の処置を受け、現在は回復に向かっているとのこと。「この世に完璧なテクノロジーなど存在しませんが、現時点のレベルでは普通の自動車よりも安全だと思います」と、オートパイロットの性能を評価するニーリーさんでした。
テスラのイーロン・マスクCEOもこのニュースをリツイートしています。
https://t.co/3fD7zlmTr9 #Tesla @elonmusk Branson man thanks self-driving car for driving to hospital during medical emergency. #ThanksRobot
— KY3 News (@kytv) 2016年8月7日
実際にオートパイロットモードがニーリーさんの命を救ったか、と問われると、そこにはさまざまな要因が絡み合っているため、一概に「イエス」とは言えません。とはいえ、今回のアクシデントで高速道路走行中の急病発生時でもそのまま走行を続けて衝突を回避したり、一時的に運転を肩代わりしたことでニーリーさんの負担を軽減したりと、オートパイロットモードによる実績には見過ごせないものがあり、これらは一部の自動車に備わっている「車線キープ機能」などによってもたらされる安全性能のたまものと言うことはできそう。ニーリーさんが言うように、完全に安全な技術というのは存在しないかもしれませんが、新しい技術で従来にはなかった安全性能が実現されているというのは、自動車技術の発展の上で評価すべき点と言えそうです。
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