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テスラ・モデルSの「オートパイロットモード」で初めての死亡事故が発生

By Al Abut

アメリカ・フロリダ州の高速道路で、テスラのモデルSに搭載されている「半」自動運転機能の「オートパイロットモード」の使用中に、ドライバーが死亡する事故を起こしていたことを、アメリカ運輸省の国家道路交通安全局(NHTSA)が公表しました。

A Tragic Loss | Tesla Motors
https://www.teslamotors.com/blog/tragic-loss

Tesla driver killed in crash with Autopilot active, NHTSA investigating | The Verge
http://www.theverge.com/2016/6/30/12072408/tesla-autopilot-car-crash-death-autonomous-model-s

テスラのモデルSは、OTAによるソフトウェアアップデートによってさまざまな機能の改善・追加が可能であり、さながら「走るスマートフォン」とでも言うべき特長を持っています。完全自動運転走行を目指して改良を続けている「オートパイロットモード」も、アップデートによって進化するプログラムで、記事作成時点では、ドライバーがハンドルを握ることを前提に、レーン(車線)に合わせてステアリング操作を行う「オートステア」や、車線変更を自動で行う「オートレーンチェンジ」などの機能が追加されています。

テスラのモデルSが全自動運転実現へ一歩前進、ソフトウェアをバージョン7.0へアップデート - GIGAZINE


ちなみにモデルSのオートパイロットモードによって事故が防がれた瞬間のムービーが、モデルSユーザーによって投稿されています。

Autopilot Saves Model S - YouTube


正確な操作性で非常に高い評価を受けていたテスラのオートパイロットモードを使用していたドライバーが死亡するという事故が発生したのは、2016年5月7日。フロリダ州ウィリストンの高速道路上で、オハイオ州に住む40歳の男性が運転するモデルSと大型トレーラーが衝突事故を起こし、男性が死亡したことがハイウェイパトロールによって報告されたとのこと。なお、事故に関しては、テスラからNHTSAにただちに報告が行われ、死亡したモデルSのドライバーがオートパイロットモードを使用中であったことが判明しています。

テスラによると、事故原因は、モデルSが中央分離帯のある幹線道路を走行中に、大型トラックがモデルSの前方を垂直方向に横切ったため、モデルSがトラックに潜り込む形で起こったものだとのこと。事故自体はモデルSに非がない特異な状況下で起こったようですが、不幸なことに、晴天の青空が背景だったため、白いトレーラーの車体をうまく認識できずに自動ブレーキが効かなかったというトラブルが重なって痛ましい事故につながったようです。

事故がNHTSAから公表されたことを受けて、イーロン・マスクCEOは哀悼のツイートを行っています。


事故報告を受けてテスラは公式ブログで、あらためて「オートパイロットモード」がベータ版であり、自動運転機能はハンドルを握り通常運転するドライバーを補助する機能であることを強調しています。デフォルト状態でOFFになっているオートパイロットモードは、ドライバー自身が責任を取る前提で使用するべきものだというわけです。

テスラのオートパイロットモードのベータ版運用に対しては、同じく自動運転技術を開発する自動車メーカーから批判の声が上げられています。自動運転カーを開発中のボルボの技術者は、「テスラのオートパイロットモードは、あたかもあらゆる運転操作を機械が行ってくれるような印象を与えますが、そうではありません。ドライバーはオートパイロットモードでも自動車の動きに責任を持たなければならないのです。ボルボやGMなど自動運転技術に取り組む多くの自動車メーカーは、自動運転機能を非公開でテストしています。自動運転機能が完成するまでユーザーに提供されることはありません」と述べ、ベータ版をユーザーの責任のもとテストさせているとテスラの姿勢を批判しています。

今回発生した死亡事故に関してテスラは、累計1億3000万マイル(約2億キロメートル)のオートパイロットモード運転で初めて発生した死亡事故であると明らかにしています。アメリカ国内での死亡事故が1件発生するまでの平均走行距離は9400万マイル(約1億5000万キロメートル)、世界平均では6000万マイル(約9600万メートル)であることを考えると、オートパイロットモードがただちに危険と言うことはできません。しかし、死亡事故が起こったことで、自動運転カーの開発のあり方などについての議論が巻き起こる可能性はありそうです。

・2016/07/07 11:25
テスラモータースが、7月5日に掲載されたフォーチュンの記事には誤りがあると公式サイトでリリースを発表しました。

フォーチュンの記事とは「事故発生の報告までに8週間かかっているが、その間にテスラモータースとイーロン・マスクCEOは1株215ドル(約2万1700円)で合計20億ドル(約2020億円)分以上の株を、事故について言及することなく処分している」と指摘したもの。ちなみに、事故の発表があったあとテスラの株価は212ドル(約2万1400円)から206ドル(約2万800円)まで下がり、その後、216ドル(約2万1800円)以上まで回復しています。この件について、フォーチュンでは記事掲載前にテスラモータースに確認を取り、マスクCEOから「事故はテスラの株価に影響を与える材料ではないと判断した」という旨の返信を得たそうです。

Elon Musk Says Autopilot Death "Not Material" to Tesla Shareholders - Fortune
http://fortune.com/2016/07/05/elon-musk-tesla-autopilot-stock-sale/

一方で、テスラモータースは、事故が起きたフロリダ州へテスラモータースの担当者が向かったのは5月18日以前ではなく、また、社内調査も5月末までかかっていたと説明。また、テスラが証券取引委員会に提出したForm 10-Qの中から「新技術に関する誤用や失敗があって、乗り物の挙動が結果的に人を傷つけたり死亡させた場合、製造物責任の対象になりえる」という文言をフォーチュンが引き合いに出したことについても「事故とは関係なく作られた書類の中から定型的な表現を抜き出した」と指摘。そもそも、フォーチュンからの問い合わせがあったときに事実確認のための時間が欲しいと言ったにも関わらず、それを無視して、誤解されかねない記事を掲載したと、フォーチュンを非難しています。ちなみに、フロリダの事故について、テスラモータースに対して製造物責任の請求は来ていないとのことです。

Misfortune | Tesla Motors
https://www.teslamotors.com/blog/misfortune

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