次世代Androidと自動車の融合が何をもたらすかがGoogleとクアルコムのカスタム「マセラティ」でわかる
Googleは、自動車のカーナビやインフォテインメントシステムと連携する「Android Auto」の提供をアメリカで開始していますが、その機能をより高めたシステムの開発も進められているようです。Googleがデモ用に使用しているマセラティの車両では、車両との統合をさらに強めた次世代の車載用Androidの姿を垣間見ることが可能です。
Google and Qualcomm are showing the future of Android in cars | The Verge
http://www.theverge.com/2016/5/18/11704960/google-qualcomm-maserati-future-of-android-cars
マセラティに搭載された次世代の車載用Androidが動作している様子は以下のムービーで見ることができます。
Google’s Maserati is running Android - YouTube
これが車載用Androidのデモを行うためにカスタマイズされているマセラティ・ギブリ。日本での販売価格は900万円台の車両で、Googleと通信技術開発企業のクアルコムが車載用Androidの開発のためにカスタマイズしている車両とのこと。
運転席まわりは大きく変更されており、通常のインパネのかわりに巨大なディスプレイを搭載。まるで、テスラ・モデルSのような状態になっています。
ディスプレイにはもちろんさまざまな情報を表示可能。Android Autoと異なるのは、画面の2分割表示が可能なところ。例えば上部には操作メニューと下部にはマップを表示させる、といった使いやすさを考慮した表示になっているのが特徴とのこと。これは、記事「「Android N」は一体どれぐらいパワーアップしたのかまとめ、3大テーマは「性能」「セキュリティ」「生産性」」でも触れられているマルチウィンドウ分割機能と同等のものと思われます。
また、現状のAndroid Autoよりもさらに踏み込んだ車内装備のコントロールも可能。以下の画面では、ディスプレイでエアコンの調節を行っています。ハンドルやアクセル・ブレーキといった重要な部分のコントロールはできませんが、より車両そのものに深く組み込まれるAndroidとしてのコンセプトカーになっています。
また、メーター周りもディスプレイ化され、再生中の音楽や電話の相手など、通常のメーターに加えていろいろな情報を表示できるようになっています。
メーター周りのカバーには、いかにも3Dプリンターで出力したという模様が残ったまま。
エアコンの操作画面はこんな感じ。タッチだけでなく、音声によるコントロールも当然考えられているはず。
「左前席上げ」や「右前席上げ」、「シートポジション1」など、これはドアガラスやシートの調整を行う画面でしょうか。まさに車両装備に深く食い込んだシステムになっていることがわかります。さらに、タッチだけでなく音声によるコントロールも当然考えられているはず。
メーター部には、ガソリン残量や速度のほかにアーティスト名を表示
この車両はデモ用に開発されたもののため、実際に市販されるのはまだまだ先の話になりそう。ディスプレイで全てを一元的にコントロールするのは確かにすごいことですが、一方で、ダイヤル式のコントロール方式には手の感覚で操作できるというメリットが存在しているのも事実。安全面においても道路から目を離さずに操作できるという利点もあるので、そのあたりまでを考慮したUIの開発として、おそらく今回のGoogle I/O 2016で発表になった音声操作可能なアシスタントデバイス「Google Home」のような仕組みを、「ユーザーひとりひとり専用のGoogle」を目指し人工知能・自然言語処理技術・機械学習などを駆使した会話形式アシスタント「Google Assistant」のようなもので実現するのか、あるいはそのあたりは外部化してスマートウォッチ「Android Wear 2.0」のような形で実現するのか、それともまったく違う形になるのか、いずれにしても自動車を運転する概念を大きく変えていくことになるターニングポイントになるはずです。
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