iPhoneはAppleに頼らずとも独自にアンロック可能、法廷闘争は終結へ

By John Karakatsanis

2015年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノで起きた銃乱射事件の容疑者が所有していたiPhoneをアンロックするように求めていた政府の要請をAppleが拒絶していた問題で、FBIが独自でアンロックに成功したことを発表しました。これに伴い、Appleとの法廷闘争は終結を迎えるものとみられます。

U.S. Drops Apple Case After Getting Into Terrorist’s iPhone - Bloomberg Business
http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-03-28/u-s-drops-apple-case-after-successfully-accessing-iphone-data-imcj88xu

Feds break through seized iPhone, stand down in legal battle with Apple | Ars Technica
http://arstechnica.com/tech-policy/2016/03/feds-break-through-seized-iphone-stand-down-in-legal-battle-with-apple/

FBIは現地時間の3月28日に開かれた法廷で、「第三者の協力」を得ることで事件を起こしたサイド・リズワン・ファルーク容疑者が使用していたiPhone 5cのアンロックに成功し、内部に保存されていたデータを取り出すことに成功したことを明らかにしました。アンロック方法の詳細については明らかにされていません。

国家による捜査権とプライバシーの線引きが大きく問われたこの一件は、2016年2月にAppleが政府側のアンロック要請を拒否したことから大きな問題となり、法廷闘争にまで発展していました。しかしFBIは3月21日の週になって突如、Appleの力を借りることなく容疑者のiPhoneをアンロックできる見通しが立った」として、連邦治安判事による公聴会の延期を申し出ていました。

そしてその翌週にFBIはアンロック成功を発表。匿名を条件に取材に応じたFBI職員によると、内部のデータを一切破壊することなく取り出すことに成功し、現在はその詳細についての捜査が行われているとしています。その手法や、「第三者」が誰であるかなどの詳細は一切公表されておらず、「Appleにその手法を教えるのか」という問いに対してもコメントを控えたとのこと。事件を担当していたアイリーン・デッカー連邦検事は、「今回の訴訟取り下げは、最近になって得ることができた第三者による協力によって何も失うことなくiPhoneから情報を取り出すことができたという事実を受けてのものです」と語っています。Bloomberg Businessなどの取材に対し、Appleの広報は反応を見せていないとのこと。

デッカー連邦検事名で提出された文書に、その内容が書かれています。

Apple-Status-Report

「政府はファルーク容疑者のiPhoneに保存されていたデータへのアクセスに成功したため、2016年2月16日に下されていたAppleに対する政府への捜査協力をもはや必要としていない」という旨の記述が確認できます。