スマホ向け次世代有機ELの製造コストがLCD以下に下がり、採用デバイスが増加する見込み
By TechStage
有機EL(OLED)パネルの一種である「AMOLED(Active Matrix Organic Light Emitting Diode)」とは、SamsungのGalaxyシリーズやAppleのApple Watchといった小型デバイス向けに採用されているディスプレイの1つです。AMOLEDは視野角の広さや高い輝度、低電力消費といったメリットがあるものの、複雑な構造であるため製造コストが高いというデメリットがありました。しかしながら、AMOLEDの製造コストが一般的なLCDの生産コストを下回ったことが判明し、今後はAMOLEDを採用する製品が増加する可能性がでてきました。
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http://english.etnews.com/20160324200001
韓国のニュースメディアのETNewsが報じたところによれば、市場調査会社のIHS Technologyの調査によって2016年第1四半期におけるAMOLEDとLCDの製造コストが判明しました。5.0インチフルHDにおけるAMOLEDの製造コストは14ドル30セント(約1620円)で、LCDは14ドル60セント(約1650円)になり、初めてAMOLEDの製造コストがLCDの製造コストを下回りました。
2015年第4四半期の時点における両者の製造コストは、それぞれ17ドル10セント(約1940円)と15ドル70セント(約1780円)で、AMOLEDの方が1ドル40セント(約160円)上回っていたのですが、わずか3カ月で逆転したことになります。ETNewsは製造コストが下がった理由について「AMOLEDの製造コストが突如下がったのは製造ラインの稼働率が上がったことや、製造ライン自体の減価償却が完了したことにあるのではないか」と予想。製造コストがLCDを下回ったことで、ハイエンドのスマートフォンだけでなく、ローエンドのスマートフォンでもAMOLEDの採用が増える可能性がでてきたとのこと。
ETNewsは、GalaxyシリーズでAMOLEDを採用し続けているSamsungについても言及。Samsungは中国の巨大スマートフォンメーカーへAMOLEDを供給し、2015年後期から小型および中型のAMOLEDの製造ラインを拡大したことで、製造ラインの稼働率が最大で90~95%まで上昇。SamsungがAMBLEDを供給している中国のスマートフォンメーカーはハイエンドだけでなくミドルレンジのスマートフォンにもAMOLEDを採用しており、製造コストの低下はSamsungにとって追い風になるかもしれません。
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また、Apple WatchでAMOLEDを採用しているAppleが、2017年に5.8インチのAMOLEDディスプレイを発売するといううわさもあります。台湾のKGI証券のアナリストであるミンチー・クオ氏は2017年に登場するiPhoneは本体がガラス製で、端末全体がカーブしたものになると話しています。さらに、2017年に登場するiPhoneは、ついにAMOLEDを搭載する可能性があるとのこと。これは、十分な供給が確保された場合に限るとされており、製造コストが大幅に下がったことによってどのような影響があるのか気になるところです。
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