全自動カーが普及すると交差点の信号待ちが消えて渋滞解消、こんなに効率化する

GoogleやBaiduが公道走行試験を開始して着々とそして急速に技術が高まりつつある自動運転車は、近い将来の道路交通事情を一変させると見られています。自動運転車が普及するとハンドルを握って運転する必要がなくなるだけでなく、交通事故による死傷者を激減させられるなど大きなメリットが期待できますが、それだけでなく交差点で停止する必要がなくなり交通渋滞を解消できる可能性があることが分かりました。

PLOS ONE: Revisiting Street Intersections Using Slot-Based Systems
http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0149607

The Scary Efficiency of Autonomous Intersections - IEEE Spectrum
http://spectrum.ieee.org/cars-that-think/transportation/self-driving/the-scary-efficiency-of-autonomous-intersections

自動運転車は周囲の状況を判断して自律的に走行できるだけでなく、交通システムからの指令を受け取ったり、周囲の自動運転車と交信したりできるため、調和のとれた交通ルールを実現させることが可能であると考えられています。MIT(マサチューセッツ工科大学)の研究チームは、自動運転車であれば可能な交差点での振る舞いについて説明した以下のムービーを公開しています。このムービーを見ると自動運転車は交差点で減速するだけで一時停止する必要がないことがよく分かります。

Light Traffic | MIT Senseable City Lab - YouTube


人間がハンドルを握って運転する場合、交差点では事故防止のために信号機が導入されており、最も単純な交差点である十字路では、どちらか一方の道路では赤信号で停車する必要があります。

これに対して自動運転車だけの世界では交差点にさしかかると前後左右の自動車の状況によって自動的に減速して、一時停止することなく交差点に進入し、通過することが可能。一時停止しないことで交差点での待ち時間をほぼなくし、渋滞がないシステムが完成します。

上が自動運転車の世界で下が現実世界。停止する自動車は赤色で表示されており、信号機による一時停止が必要な交通システムでは、無駄が多いことは一目瞭然。

これは全自動運転車の交差点システムを図示したもの。交差点に進入する場合で、左右を横切る自動車や前方から右左折してくる自動車がない場合、そのまま交差点を通過することが可能。また、前方や左右から衝突しそうな自動車があれば自動的に減速することで、その自動車をやり過ごすことができるため、交差点に進入するすべての自動車は一時停止する必要がなくなります。さらに、一時停止をしないことで、エネルギー効率の観点からも圧倒的に優れています。

レーン数が増えると一時停止を余儀なくされる自動車も出てきますが、全体として見れば交通渋滞を起こさせない効率的な交差点システム「autonomous slot-based control(ASBC)」は、信号システムをはるかに上回る効率性を実現できます。以下のムービーを見れば自動運転車による調和のとれた交通システムASBCがどのような物かが一発で理解できます。

Untitled - Vimeo -


このような交通渋滞を起こさせないASBCは、航空管制システムをイメージすれば分かりやすいとのこと。どの自動車が交差点に侵入でき、また侵入できないのかをコントロールする中央管制官がいれば、全体として極めて高い効率を実現できるというわけです。

MITの研究によると、十字路に2秒ごとに自動車が侵入する場合、一般的な信号機によるシステムでは自動車1台あたり99秒の遅れが生じてしまうのに対して、自動運転車のみでASBCを導入すれば遅延時間は1台当たり2.5秒に抑えられるとのこと。交差点を通過する分だけ無駄な時間を解消できる可能性があります。

交差点で停止することは渋滞を誘発し、経済活動の停止を余儀なくされるだけでなく、ドライバーをイライラさせたり時には衝突事故の原因になったりするもの。ASBCは交差点での信号機システムのデメリットを解消できる可能性を持っているわけですが、実現には道路上の自動車がすべて自動運転車であることが前提条件となっています。