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「世界で最もビザを取るのが難しい国」を全世界196カ国を50年かけて制覇した旅人が語る

by John Barker

編集者・撮影監督・広告代理・弁護士などさまざまな仕事を経ながら50年かけて全世界196カ国を制覇したのがAlbert Podellさん。世界中を旅する時にビザの取得が必要になってきますが、中にはなかなか発行してくれない国もあります。世界中を周ったPodellさんが、自身の経験の中で「最もビザが取りにくかった国」を公開すると共に、どうやってそれらの国に入国することができたのかを語っています。

The Countries Where It's Most Difficult to Get a Visa - The Atlantic
http://www.theatlantic.com/international/archive/2015/09/countries-difficult-visas-travel/403267/

サウジアラビア

by Din Zainal

サウジアラビアはイスラム教徒以外の観光ビザを認めることがないため、Albert Podellさんは2000年から2009年までの間、ビザを取ることに失敗し続けたとのこと。自称ウルトラリベラルなユダヤ人の無神論者であるPodellさんは「全世界196カ国を制覇するにはイスラム教徒に改宗し、コーランを暗記するしかないのか……」と途方に暮れていたそうです。特にバーレーンにあるバーレーンとサウジアラビアを結ぶ海上橋「キング・ファハド・コーズウェイ」をドライブしている時には、すぐそこにサウジアラビアがあるのに入国することはできず、悔しい思いをした様子。

なぜ旅行者のビザを認めないのか?ということを領事館の官吏に理由を尋ねてみたところ、「サウジアラビアは石油によって十分なお金を得ることができるし、旅行者がもたらすわずかなお金など、我々には必要ないのです。メッカに毎年200万人ほどやってくる巡礼者は問題ないのですが、保守的な国民の中には非イスラム教徒がやってきてリベラルな考え方を扇動するのを望まない人もいます。また、過激派の人々に旅行者が殺されたり傷つけられたりするのも困りますから」という答えを得たとのこと。

最終的にPodellさんはアメリカ・ミシガン州の旅行代理店に頼み、中東で調査を行う考古学教授のチームにひっそり参加させてもらうという形で旅行を取り付けてもらったとのこと。代理店への仲介料金と航空費込みで9000ドル(約107万円)の旅となったそうです。

キリバス

by United Nations Photo

キリバスは太平洋上に位置するギルバート諸島、フェニックス諸島、そしてライン諸島の一部等を領土とする国家。2006年にPodellさんがキリバスに行こうと思い立った時、キリバスは貧しすぎてアメリカに領事館を保有していませんでした。その代わり、世界中に名誉領事を有しており、Podellさんはホノルルで普段はサーフィンをしている領事からビザを取得するように勧められたとのこと。そして結局、南太平洋を旅している時にフィジーの領事からビザを得たそうです。なお、現在は日本およびアメリカ国民はビザなしでキリバスに入国できます。

チャド

by European Commission DG ECHO

チャドはアフリカ中央部に位置する国家。チャドの入国方法も非常に特殊で、ビザを取得するには首都であるンジャメナにあるホテルに予約する必要があります。2012年の話ですが、ンジャメナにある2~3のホテルではビザの申請書を配布しており、チャドに入国したい人は一晩300ドル(約3万5700円)でホテルを事前に予約して申請書をゲットする必要があるのです。

しかし、予約が終了したからといって、そこで終了ではありません。Podellさんは空港で職員に賄賂として50ドル(約5900円)を要求され、断っても、「アメリカの大使館から来訪の要請があった」と嘘をついても、職員は「金、金、金」と繰り返すばかりだったため、結局15ドル(約1780円)を支払う羽目になったとのこと。

ナウル

by Hadi Zaher

ナウルは太平洋南西部に浮かぶ珊瑚礁のナウル島にある共和国。ナウルはかつて国土から取れる豊富なリン鉱石を輸出することで、国民が働かなくても豊かな生活を送れた国でした。しかし2006年に資源がつきると、国民たちは働くことを余儀なくされます。そこでナウルは自国をタックスヘイブンにすると共に、パシフィック・ソリューションの一環として難民キャンプを設立しました。難民としてオーストラリアに逃れて来た人々は強制送還の運命にあるのですが、オーストラリアによってビザが認められた一部の人々はナウルへと避難できるわけです。

この政策のため、ナウルに入国するのも非常に難しかったのですが、ナウルは2008年に制限を緩め、旅行者などもビザを取りやすくなっています。2001年から2007年までビザを取ろうとして失敗していたPodellさんですが、2011年には航空会社を通じてビザを取得できたとのこと。

ロシア

by stella gassaway

世界の多くの人はロシアのビザを取得するために簡単な21個の質問に答えればいいだけなのですが、アメリカ人の場合、「旅行中にお金を支払う予定の人や組織」「過去十年間で訪れた国」「現在、および過去2つの仕事」「通った教育機関の全て」「火器・爆弾・核兵器・生化学的なものの訓練を受けたかどうか」といった41個の込み入った質問に答えなければいけません。質問が非常に細かい上に、記入漏れがあれば入国できなくなるため、ロシアは「ビザの申請がむちゃくちゃ面倒」という意味でリストに入っているようです。

ソマリア

by The U.S. Army

南アフリカ、アフリカの角と呼ばれる地域を領域とする国家であるソマリアは、長きにわたって内戦を続けており、国内ではテロも横行しています。観光による流入はもちろん必要なのですが、旅行者が殺されたり誘拐されたりという事態を防ぐため、あまり積極的な旅行者誘致を行っていません。そのため、数少ないホテルは主に外交官やNGOの宿泊先として使用されます。

また、ソマリアではビザの取得と共に衛兵を雇うことが可能。兵士は4~6人で1チームとなっており、チームのリーダーが旅行者の側につき、屋根の上からはスナイパーが旅行者の周囲の安全を確認します。Podellさんが2012年にソマリアを訪れ衛兵を雇ったところ、その金額は1日750ドル(約8万9000円)でしたが、現在では1350ドル(約16万円)にまで値上がりしているとのこと。近年はソマリアを訪れる人が増加すると共に、危険も増しているからだとPodellさんは推測しています。

スーダン

by Freedom House

2004年から2007年の間、Podellさんはスーダンの領事館にビザの承認はまだかと尋ね続けたのですが、その答えは常に「ハルツームで審査中です」というものでした。

スーダンの2003年から発生しているダルフール紛争では非アラブ系の住民が何十万人も虐殺されました。そして現在、大統領のオマル・アル=バシールは集団虐殺に関与にしたとして国際刑事裁判所から逮捕状が出されています。内政が非常に不安定なため、スーダンは旅行者がカメラで国内を撮影することを避けたがっており、観光旅行者の数を制限するとともに撮影された写真は厳しくチェックされるのが現状です。

Podellさんは正規の方法ではなく、国連の友人に取り付けてもらうことで入国を果たしました。

イエメン

by Rod Waddington

アラブの春2011年イエメン騒乱と混乱状況が続いたため、イエメンも長い間、非常にビザが取りにくい状態でした。しかし2014年の1月、Podellさんは比較的内政が落ち着いている時にさっとビザを取得し正規の方法で入国できたそうです。しかし2015年の1月、イスラム教シーア派の一派であるザイド派の武装組織のフーシが政府の権力を掌握し、議会を解散して暫定政府の樹立を宣言したため、現在は再び入国しづらい状況になっています。

アンゴラ

by oneVillage Initiative

Podellさんが「最もビザを取りにくかった」とするのがアンゴラ。アンゴラは外国人を「ダイヤモンドを盗む人間」だと見なしているのに加え、アメリカは1975年から2002年まで続いたアンゴラ内戦を支持していたため、現在のところ観光ビザを発行されたアメリカ人はほとんどいません。2004年から2008年までビザを申請し続けたPodellさんですが、2012年の12月になって、外務省のコネを利用できるアンゴラの高官とつながりを持つことでようやく入国できたとのこと。石油採掘がさかんに行われていた時期ということもあり、首都・ルアンダでは交通渋滞と大きなクレーンの他に特に見所はなく、田舎の森林は美しいものの紛争のせいで野生動物は少なかった、とPodellさんは語っています。また、「おみやげは他の国の似たような物よりも5倍は高い」そうです。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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