コラム

150カ国を訪問した世界一周で未訪問となった国々とその理由


150カ国を訪問して私の自転車世界一周は終わりました。十分に世界を知りました。この結果に満足はしています。ただ、旅を深めれば深めるほど欲が出てきます。願わくば全部の国を周りたい。日本でしかビザが取得できないアルジェリアやパキスタン、外国人の入国が制限されているサウジアラビアやブータンと面倒な国ばかり残りました。アフリカは22カ国も未訪問国があります。バオバブの木があるマダガスカルには、今すぐにでも行きたい。

こんにちは、自転車で世界一周をした周藤卓也@チャリダーマンです。これからがあるので旅は終わりにしましたが、海外に飽きる事はありません。また、いつか旅ができるかもしれません。その時のために、未訪問国である国々をまとめてみました。これから海外を旅される方の役に立つ情報も少しはあるはず……。

◆国の数え方
そもそも世界には何カ国あるのでしょう。国の数え方としては「日本と国交のある国」と「国連加盟国」という2つの方法があります。日本と国交のある国は195カ国でプラス日本で196カ国。一方で国連加盟国は193カ国です。コソボ、バチカン、ニウエ、クック諸島の4カ国は、日本と国交はあるけれど国連未加盟。一方で、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は国連加盟国ですが日本と国交がありません。

私の「150カ国」という訪問国にはコソボとバチカンを加えているので「日本と国交のある国」が基準となっています。ちなみに、日本は含んでいません。ただ、もし北朝鮮を訪問することがあれば+1カ国とカウントするでしょうし、国の数え方は曖昧でいい気がしています。

コソボはセルビアから実質的には独立していますが国連未加盟。


香港、台湾、パレスティナは国としてカウントしていませんが独立した政府が存在しますし、「国ではないから旅をしない」なんてありえません。特に台湾は、世界一周の旅でも一、二を争う居心地のよい所でした。

香港はイギリスから中国に返還されましたが、一国二制度のもと、中国とは違う政治体系となっています。


中国と同じ中華文化圏ながら自由な空気が心地よい台湾。


日本はまだですが、数多くの国々がパレスティナを国家承認しています。


◆未訪問国のリスト
私は次のような感じで自転車で世界一周をしていました。


150カ国と13万1214.54kmを走破した自転車世界一周における記録の数々- GIGAZINE
http://gigazine.net/news/20160916-bicycle-around-the-world/

日本を除く150カ国を訪問しましたが、まだ未訪問国がこんなにも残っています。

・アメリカ大陸
4カ国:ベネズエラ、スリナム、ガイアナ、キューバ

・ヨーロッパ
1カ国:モナコ

・中東
4カ国:サウジアラビア、シリア、イラク、イエメン

・アジア
4カ国:タジキスタン、パキスタン、アフガニスタン、ブータン

・オセアニア
10カ国:パプアニューギニア、キリバス、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、クック諸島、ニウエ、サモア、ナウル、ツバル、パラオ

・アフリカ
22カ国:アルジェリア、リビア、南スーダン、エリトリア、ソマリア、ジブチ、カボ・ヴェルデ、コートジボワール、リベリア、ニジェール、チャド、赤道ギニア、サントメ・プリンシペ、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、アンゴラ、レソト、スワジランド、マダガスカル、セイシェル、モーリシャス、コモロ

アホウドリのフンでできた国、ナウルにも行ってみたい。


現時点で、未訪問国が45カ国あります。プラス北朝鮮。オセアニアは全部で16カ国、アフリカは全部で54カ国ありますから、この2つのエリアがかなり残りました。オセアニアの未訪問国はお金はかかりますが、航空券さえ揃えたら自由に旅できるので難易度は低め、アフリカの未訪問国はビザが必要な国も多いでしょうから、難易度は高いと見積もっています。

また、イギリスのスコットランド、スペインのカタルーニャ、フランスのニューカレドニアなどでは独立の動きがありますし、この先、未訪問国が増える可能性もあります。

◆100カ国を150カ国に
そもそも旅を初めた頃は、100カ国と10万kmが目標でした。オーストラリア一周、東南アジア縦断、アジア横断、ヨーロッパ周遊、アフリカ縦断、南北アメリカ大陸縦断を経て、ブラジルから飛んだチュニジアで100カ国達成。

100カ国目のチュニジア。


それで終わることもできました。ただ、そこから日本に、社会に戻ったところで私が戦える武器なんて何もなく、だったら旅を武器にできるようにと、150カ国まで訪問国を増やすことにしました。幸いにもこうして記事を書くことを仕事にできていますが、記事を書いていなければお金が尽きて、もっと早く旅が終わっていたことでしょう。

旅を延長したので、エジプトのピラミッドも……


インドのタージマハルもこの目で見る事ができました。


特にインドは濃い旅ができました。インド抜きの世界一周だったらモヤモヤが残りそうだったので、それなりに旅ができて良かったです。

結局、旅を終えたところで、出版も上手くいかず仕事にありつけず、「好きなことで生きていく」ことは難しく、だったら仕方ないと次の手に動いていたりもしていますが、世界一周は最高でしたし、こんな結果だとしても満足はしています。ここからがまた大変なのですが、人生で一つ、自転車世界一周はやり遂げているので、スイッチをあまりネガティブに入れないようにします。


100カ国訪問の目標を150カ国に変えたので、私の旅は無駄が多くなっています。アメリカ大陸を縦断し終えた後にまたカリブ海を訪問していますし、太平洋の島国やニュージーランドには、オーストラリアでワーキングホリデーをしているうちに行くべきでした。エジプトからエチオピアへの南下もタイミングを逃して、マレーシアから戻ったりしています。合計で50万円位は無駄に使っているでしょう。

100カ国と違って150カ国をやろうとすると、未訪問国はあまり増やせません。世界一周で150カ国以上の訪問を目指すなら、行ける内に行っておくのが鉄則だと思います。私が旅に没頭していた2007年~2016年まで、アフガニスタン、イラク(クルド人自治区)、シリア、イエメン、南スーダンもタイミングが合えば訪問できました。

◆未訪問国となった理由
次の国々はこうした理由から訪問することができませんでした。


・キューバ
メキシコのリゾート地、カンクンから訪問のチャンスがあったのですが、中米に雨季が近付きつつあったので断念。アンパンマンのようにチャリダーマンも水に弱いので、雨はできるだけ避けていました。2014年冬に折りたたみ自転車を携えカリブ海の島国を周りました。その時にも訪問のチャンスがあったのですが、ビザ(ツーリストカード)の取得の見当がつかず、ルートに組み込むことができませんでした。

・サウジアラビア
ビザ(査証)が必要な国ですが、そのビザが取れません。観光客の受け入れに積極的なドバイのあるアラブ首長国連邦やカタールと同じ湾岸諸国にありながら、正反対の政策を取っています。厳格なイスラム国家であるがゆえに、人権侵害が横行しているという批判も多く、外部の人間は入れたくないのでしょう。ただし、聖地メッカがあることからイスラム教徒であれば巡礼ビザが取得できるようになっています。

・パキスタン
査証(ビザ)が必要な国です。2009年当時、中央アジアから中国のウイグル自治区を経由して、カラコルム・ハイウェイの「クンジュラブ峠」を越えていくルートではアライバルビザが取れました。そのときはユーラシア大陸横断でしたので、針路を西に取りました。それからしばらくして、そのルートのアライバルビザが取得不可に。現在は、日本の大使館でしか観光ビザを取得できないようです。

・シリア
2010年2月、ユーラシア横断を達成してトルコのイスタンブールに到着。そこから南下してエジプトに向かうルートもありました。その頃ならシリアも普通に旅できました。でも、私は旅のしやすいヨーロッパを先に回りました。訪問国を増やすことで、自転車世界一周に弾みをつけました。その後、アラブの春の混乱から内戦に突入。イスラム国の台頭もあり、現在は旅ができる状況ではありません。

・レソト、スワジランド
2012年5月、南アフリカの希望峰、ケープタウンに到着。そこから、一時帰国を挟んで7月からのアラスカスタートによるアメリカ大陸縦断を狙っていたので、レソトとスワジランドをやる余裕がありませんでした。約3年日本を離れていたので早く帰りたくもありました。100カ国訪問ならパスで良かったのですが、150カ国訪問なら抑えておきたい国でした。隣国である南アフリカからのアクセスは容易。

・南スーダン
2011年にウガンダから陸路のルートがありました。興味はそそられたのですが、お金がかかりそうで断念。2012年に友人が訪問しているのですが、国境でアライバルビザが取れたようです。その後、政治的な対立が軍事衝突に発展。現在、外務省の海外安全ホームページでは南スーダン全土が退避勧告となっていて、自由に旅ができる情勢ではありません。

・ソマリランド
混乱が続くソマリアとソマリランドは別の国。ソマリランドはジブチの隣、旧英領ソマリランドの大部分を統治しています。2015年、エチオピアでソマリランドのビザが取れました。ルートもありました。だから、狙ってはいました。でも、そのときはエチオピアのビザがシングルでした。ソマリランドに入国しても、空路で脱出する必要がありました。エジプトの首都カイロでエチオピアのダブルビザを取るべきでした。そうしていたら、エチオピアから陸路でソマリランドを往復できました。でも、その時のエジプト入国は紅海のリゾート地フルガダという都市。エジプト中部のルクソールが近く、北部の首都カイロに寄りませんでした。そのまま南部アスワンまで一直線。アスワンでスーダンビザを取得、スーダンでもエチオピアビザを取得できましたが、事前の情報通りシングルビザでした。また、インターネットで調べても、この年の旅人はきわめて少なく、イスラミック・ステートの活動も心配でした。安全を第一に考え、パスしました。

◆全カ国制覇


死ぬまでに「全カ国制覇したい」という目標があります。ただし、これは必ずやるとはいえないささやかな願い。

旅を終えたので社会復帰を果たす必要があります。万が一くらいで結婚できるかもしれないし、そうしたら子どもを育てることになるでしょう。お金がかかります。でも、私が次に追いかけたいのはこちら。人並みの家庭を築きたい。一人で旅するより誰かと生きていくことの方が断然難しいと思っています。だから、これからは自転車で世界一周のような大きな旅は考えていません。

でも、全カ国訪問の目標はけっして諦めてはいません。これからだって、人以上に稼ぐことはゼロではないと、淡い可能性は捨てることなく生きていくのです。諦めたらそこで試合終了です。子育ても老後も、何とかできる勝算つけば、また自由に世界を周りたいと夢見ています。もちろん家族の了承を得て。実際にそのような旅をしている人にペルーで会いました。彼は40代にも関わらず会社経営を成功させてて、数ヶ月単位で世界を旅していました。

口だけで終わるかもしれません。でも、目標を掲げることでワクワクした人生を送れるのなら、それはそれで悪く無く、これまでもそうだったように、最期までやりたい事を追いかけ続けたいと思っています。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak
Facebookページ https://www.facebook.com/chariderman/
DMM講演依頼 https://kouenirai.dmm.com/speaker/takuya-shuto/)

チャリダーマンは人生を駆けた自転車世界一周を一冊の本にするという夢があります。興味を持っていただける出版社、編集者の方いましたら、ご連絡いただけると幸いです。

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in コラム, Posted by logc_nt

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