ハトがスパイ容疑でインド当局に身柄を拘束される
by M.G.N. - Marcel
パキスタンから潜入したスパイ容疑で、2015年5月28日(木)にインド当局がハト1羽を拘束しました。レントゲンを撮るなどして、現在、身元の調査が進められています。
Pakistani 'spy pigeon' arrested in India - BBC Newsbeat
http://www.bbc.co.uk/newsbeat/article/32928909/pakistani-spy-pigeon-arrested-in-india
'Spy' pigeon from Pakistan jailed in Pathankot - The Times of India
http://timesofindia.indiatimes.com/india/Spy-pigeon-from-Pakistan-jailed-in-Pathankot/articleshow/47464562.cms
ハトが発見されたのはインドとパキスタンの国境付近のマンウォルという村。5月27日の朝、理容師の息子である14歳の少年がハトを捕まえたところ、羽にウルドゥー語で文字が書かれていることに気づき、ハトを警察にまで連れていったとのことです。
以下の写真に写っているのが実際に拘束されたハト。
ハトは詳しく調べられ、レントゲンまで撮られましたが、今のところ不自然な点は見つかっていない様子。しかし、現在も「スパイの疑いがある」として地域警察で保護されています。
「ハトをスパイ容疑で拘束する」という言葉は冗談のように聞こえますが、動物がスパイ容疑で捕まることは今回が初めてではありません。ハトはハッキングされることなく、かつ風景に溶け込むため、機密情報をやりとりする安全な方法として比較的最近までよく利用されていました。
例えば、2012年にはカプセルを足につけた伝書バトが発見されたのですが、歴史学者たちが調べたところ、このハトが運んでいた情報は第二次世界大戦のD-デイの最中にナチス・ドイツ軍に占領されたフランスから送られたものだということが判明。暗号化されたメッセージが解読されたところ、メッセージはイギリス軍の落下傘兵が送ったもので、落下傘兵が無事敵陣のすぐそばに着陸したことや、イギリス空軍の爆撃命令について連絡するものでした。
このほか、1960年代にCIAはサイボーグの猫スパイを作るために20万ドル、今日の価値に計算すると200億円以上をかけていました。猫は外科手術によって胸にバッテリーパックを入れられ、耳にはマイクロフォン、背骨から尻尾にかけてアンテナがつけられていたのとのこと。猫はソ連大使の足下をかすめて会話を録音するよう訓練されましたが、外に出されたところタクシーに引かれて死亡してしまい、実際には活躍することはなかったと言われています。
近年で言うと、2008年にはイランの核関連施設付近でハトがスパイとして捕獲されており、2013年には羽に機械が取り付けられたコウノトリがナイル川でスパイ容疑で捕獲され、ベトナムでは2014年に中国からのスパイだと疑われたハト16匹が拘束されています。しかし、調査が行われたところ、コウノトリに取り付けられていたのは国家緊密を収集するための機械ではなく、生態調査のための発信機器で、ベトナムで拘束されたハトはレースクラブのハトだったことが判明しています。
今回、インド当局によって捕らえられたハトからもカメラやチップなどは見つかっておらず、レース用のハトではないかとの見方もあります。しかし、カシミール地方はインドとパキスタンの双方が領土を主張している地域。軍が常駐することもあって警戒が強められており、このような背景から今回のハト拘束につながったようです。
なお、ハトの体に書かれてあるウルドゥー語については引き続き調査中で、当局は「もしハトがスパイだと判明すれば行動を起こしますが、そうでなければ、ハトにはいい暮らしを約束します」と話しています。
by Tricia J
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