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日本各地の生活コストを算出して暮らしやすさを比較できる「生活コストの『見える化』システム」

by Japanexperterna.se

経済産業省が開発した、地域の暮らしやすさを貨幣価値で比較できる「生活コストの『見える化』システム」が公開されました。自分の現在の環境や、「10年後にはこういう生活を送っているはず」という仮想の環境を条件設定することで、日本の各都市で暮らした時に発生する生活コストを算出・比較できるシステムになっており、その人にとっての各地域の暮らしやすさの貨幣価値まで計算してくれるようになっています。

生活コストの「見える化」システム(METI/経済産業省)
http://www.meti.go.jp/policy/local_economy/seikatsucost/index.html

まずは上記URLにアクセスして「『見える化』システム(EXCEL形式:21.433KB)」というリンクからExcelファイルをダウンロードします。ファイルサイズは約22MBとなっています。


ダウンロードしたファイルはマクロを含む「xlsm」形式のファイルとなっているため、サービスを利用するためにはMicrosoft Excel 2007以降など「xlms」形式をサポートする環境と設定が必要です。問題がなければ「mierukasystem.xlsm」というファイルをクリック。


ファイルが開くとこんな感じ。


「一部のアクティブコンテンツが無効にされました。」という表示が出る場合は「オプション」をクリックして、現れたウィンドウの「このコンテンツを有効にする」と書かれている項目の2カ所にチェックを入れ、「OK」をクリック。


「利用規約に同意いただいた方はチェックを入れてください」にチェックを入れたら、まずは「地域の家計収支を見る」を選択してみます。


最初の画面が表示されました。この画面では、地域ごとのデータを絞り込むための条件設定を行います。


「1.地域(市区町村)を選ぶ」「2.家族構成を選ぶ」「3.収入(仕事)を設定する」「4.住宅の取得方法や条件を設定する」の4つの項目について選択していきます。地域はメインとなる地域と比較したい地域を選択できるようになっており、今回は東京都世田谷区をメインに、青森県つがる市を比較地域に選択しました。


家族構成は「夫婦と子どもが1人の世帯」を選び、さらに子どもは「中学生」であることにしました。


それぞれの項目には「説明を見る」というボタンが配置されており、それぞれの項目の説明を確認しながら、項目選択や入力をスムーズに行えるようになっています。例えば「3.収入(仕事)を設定する」のところでボタンをクリックしてみると「収入額に応じて、消費支出額を計算します。設定した収入額が多いほど、消費支出の総額も大きくなります」というように、選んだ項目によって結果にどう影響が出るのかを知ることができます。


収入の入力方法には「収入額を直接入力する」と「地域の業種別平均賃金額を読込む」の2つがあり、「収入額を直接入力する」を選択すると「年齢」と「0~2000万円の範囲内の年収額」を入力できます。1人目の収入は直接「30~34歳」「500万円/年」と入力しました。


2人目は「地域の業種別平均賃金額を読込む」から入力してみます。


職業は「医療、福祉」、年齢は「30~34歳」、最終学歴は「大学・大学院卒」を選択して「OK」をクリック。


すると、1人目は直接入力のため「500万円/年」と表示され、2人目は東京の場合が「514万3000円」、青森の場合が「362万2000円」と表示されました。同じ年齢・学歴でも東京の方が150万円ほど年収が高くなっていることが分かります。


「4.住宅の取得方法や条件を設定する」に関しては、取得方法を「購入する」、価格と広さの決め方は「家の広さ(床面積)を決めてから、その広さを得るために必要な購入価格(家賃)を見たい」を選択。これとは反対に、価格を決めてから広さを選択することもできます。「設定画面を開く」をクリックすると……


条件入力画面が現れます。ここにも「延床面積について説明を見る」といったような用語説明のボタンがあるので、これまで家の賃貸や購入を考えたことがない人でも迷わずに決めていけるようになっていました。


条件は以下のように設定しました。購入するのは「築10年」の「既存住宅」で、延床面積は120平方メートル、住宅の坪単価は60万円/坪を想定し、建ぺい率は50%の2階建。「上記の条件での住宅価格を表示する」をクリックすると、「7506万円」と算出されると共に、「借入金額」「返済期間」「金利」などが自動的に表示されるので、特に問題がなければ「住宅の広さから購入価格を計算する」というボタンをクリックします。


同じ条件設定でも、東京都の場合は住宅価格が7506万円、青森県の場合は1198万円であることが表示されました。メインである東京でローンを組んだ場合、月額返済額は28万9769円になるとのこと。


全ての入力・項目選択が終了したら「5.結果を見る(検索実行)」をクリックします。


しばらく待つと、以下のような集計表が表示されました。


結果の上部には先ほど入力した設定条件が表示され……


その下に東京都世田谷区と青森県つがる市で生活した場合の収入・支出が比較表示されます。


細かな支出項目を見てみたところ、ほとんどの項目について「東京が少し高いかな」ぐらいだったのですが、「住居」の項目は大きな差が出ました。同じ条件の物件について、東京であれば年額347万7228円の支出があるのに対して、つがる市は年額55万4988円。


この結果、収支を差し引きすると、東京で暮らすと1年で8万6318円のマイナスが出るのに対し、つがる市の場合は220万4817円も貯蓄できることになります。


「設定条件」の隣にある「家計収支の詳細を見る」ボタンをクリックすると……


さらに細かな生活コストの内訳を見ることができます。


また、設定条件である「夫婦と子どもが1人 中学生」の世帯の平均家計消費支出額ランキングも、見ることができます。


全国で見ると、鹿児島・熊本・沖縄、と西日本の平均消費支出額が少なめ。


関東の場合はランキング10位中8位を群馬が占めました。


東京都内だと以下のようになります。


さらに「この地域の移住支援情報を見る」というボタンもありました。


残念ながら東京都世田谷区には特に移住支援情報は無し。「見える化」システムはベータ版のため、今後情報が追加されるのかもしれません。


「条件設定シートに戻る」をクリックすると……


条件を設定する最初の画面に戻りました。


条件設定画面の右上にある「初期画面に戻る」をクリックすると……


一番最初の画面に戻ってきました。次は「地域の暮らしやすさ指標の貨幣価値を見る」というボタンを選択します。


まずは検索条件の設定から。先ほどと同様に地域や家族構成を選んでいくわけですが……


少し違うのは、「3.年代と居住地の選択の好み(志向)」を選ぶところ。年代は「30歳代」で、居住地を選ぶ際の好みは「利便性志向」と「郊外・農村志向」の2つがあるうち、「郊外・農村志向」を選択しました。


さらに、暮らしやすさ指標を選びます。デフォルトでは全てにチェックが入っているので、ここは触らなくてもOK。


最後に「5.結果を見る(検索実行)」をクリックします。


しばらく待って、表示された結果がコレ。


東京都世田谷区と、比較地域として選択した沖縄県石垣市の貨幣価値が比較表示されています。例えば、通勤通学時間について言うと、東京都世田谷区が「46.5分」で年間あたりの貨幣価値が「6万5484円」となっているのに対し、沖縄県石垣市の通学時間は「29分」で年間あたりの貨幣価値が「27万1368円」となり、石垣市の方が20万5884円分、貨幣価値が高くなっています。反対に、地域の求人倍率について言えば東京都世田谷区が「1.55倍」で貨幣価値が13万992円なのに対し沖縄県石垣市が「0.7倍」で貨幣価値が「0円」となっており、世田谷区の貨幣価値が13万992円分高いというわけです。


総合評価を見てみると、沖縄県石垣島の方が28万6909円高くなっています。


条件設定画面に戻って、他の条件は変えず、居住地選択の好みだけを「郊外・農村志向」から「利便性志向」に変えてみると……


総合評価としての貨幣価値は、東京都世田谷区の方が沖縄県石垣市よりも14万3736円高くなりました。


データを分析すると「同じ23区でも、99%保育所に入れる荒川区から半分以下の目黒区まであり、知っていれば回避できる困難もある」というようなことも分かるようになっており、今後、データを駆使して自分の生活状況に適した居住地選びが行えるようになるはずです。

同じ23区でも、99%保育所に入れる荒川区から半分以下の目黒区まであり、知っていれば回避できる困難もある。マスコミは保育所不足とか社会派ぶって不安を煽るだけではダメで、積極的に生きる知恵を提供し、ダイナミックな社会作りに貢献すべき pic.twitter.com/T3x4NpXysF

— 小林 大祐 (@dkoba)

なお、「見える化」システムは現在ベータ版で、システムを使用した結果に関しては全て自己責任となる、とのこと。また商用利用する場合は経済産業省の許可が必要で、有償無償を問わずデータを第三者に譲渡・貸与・配布することはできません。

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in レビュー,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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